神々は論じ合った。
──我々はついに完璧なるものを創造した。永久に我々を讃えるものとしての生命を。今や満ち足りた。
──完璧であるのか。果たして。なるほど生命とはかつてない発明だった。知覚を持ち、自らを再生産する能力を備え、それが故に永遠である。そこがしかし、心配なのだ。
──なぜ。
──彼らは今までの被造物とは一線を画する。自己を再生できるのだ。それも、種によってはかけ合わせという、ほとんど無限の可能性を秘めた形で。その意味は重い。彼らは世代交代を繰り返しながら存続する。刻々と複雑化し、多様化しながら。その活動の予測は神々である我々にも困難なのだ。星の終わりが彼らの終わりなのか、それとも星をも飛び越えて彼らは増殖するのか。
生命誕生以前の存在物はすべからく一定の寿命を持っている。この度我々が創造したあの、生命という永遠に再生産し複雑化する機構を内包する輩だけは、予め定められた寿命がないのだ。そこが気がかりである。個々の小さな生命体には寿命があっても、生命という大きな実験には終わりがない。それは恐ろしいことではないか。
(つづく)
──我々はついに完璧なるものを創造した。永久に我々を讃えるものとしての生命を。今や満ち足りた。
──完璧であるのか。果たして。なるほど生命とはかつてない発明だった。知覚を持ち、自らを再生産する能力を備え、それが故に永遠である。そこがしかし、心配なのだ。
──なぜ。
──彼らは今までの被造物とは一線を画する。自己を再生できるのだ。それも、種によってはかけ合わせという、ほとんど無限の可能性を秘めた形で。その意味は重い。彼らは世代交代を繰り返しながら存続する。刻々と複雑化し、多様化しながら。その活動の予測は神々である我々にも困難なのだ。星の終わりが彼らの終わりなのか、それとも星をも飛び越えて彼らは増殖するのか。
生命誕生以前の存在物はすべからく一定の寿命を持っている。この度我々が創造したあの、生命という永遠に再生産し複雑化する機構を内包する輩だけは、予め定められた寿命がないのだ。そこが気がかりである。個々の小さな生命体には寿命があっても、生命という大きな実験には終わりがない。それは恐ろしいことではないか。
(つづく)