た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

2012年03月10日 | Weblog
(前掲「相性」のつづき)

 偶然性はそれを二、三回玉ころがしのように転がしてみれば必然性に化けるもので、結局我が家で仔犬一匹引き取ることになった。そうなるとやるべきことは山ほどある。ケージを買いに走ったり、育て方の本を借りたり、名前について協議したりと、どたばたしている間に引き渡しの時間になった。犬が来たら来たで、ケージの前でじっと観察していて飽きない。まさに犬に振り回される一日になった。
 なるほど仔犬というのは可愛い。別段犬好きではないと自認していたが、いざ目の前に実物が来ると、眺めても抱き上げても実に愛くるしい。どうしてこんなに可愛いのかと不思議に思ってしまう。そもそも可愛いとは何か。生命というものが、生命維持のために、生まれいずるものにその発信能力を、彼を取り囲むものにその受信能力を与えたということか。
 とりあえず散歩の苦労やワクチン代などの心配は後回しである。もし犬を飼うなら野生的に飼うぞ、と、腕に布を巻いて噛みつかせるくらいするぞ、と家人たちに高らかに宣言していた私であるが、その辺りもずいぶん怪しくなってきた。
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