ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

青の稲妻

2007年11月11日 | 映画


一番気の毒な死に方と言っても良いのが、飛び降り自
殺の巻き添えだが、この前、確か池袋だと思ったが、
そこで巻き込まれた人が、結局死亡したということだ。
石が落ちてきたというのなら、偶発的な事故で済むが、
人の場合は落ちる人の意思(死のうとしている)が介
在しているだけに、巻き込まれた方としてはたまらな
い。
死ぬなら、一人で、と思ってしまう。
どうも、繁華街のビルから死ぬ人には、最後の場面だ
けは人に知らしめたい、という意志が働いているよう
に思える。
痕跡だけはこの世に残したいと。
最後だけは、自分の意思で演出したい。
そうでなければ、ひっそりと、どこか山の中の崖、或
いは橋から飛び降りれば良い訳だから。
死の固まりが空から降ってくる。
下界には、そんなこととは無関係な日常的風景。
そんな情景が浮かぶ。

話題を変えよう。
関東学院の監督の顔、どこかで見覚えがあると思って
いたが、はたと気付いた。
あのちょっとしょぼい顔は、ジャ.ジャンクーの「長江
哀歌」に出ていた、主人公の一人「サンミン」ではない
か。
ランニングシャツでも着ればばっちりだ。
中国に行っても、全く違和感無さそうである。
そんなサンミン監督でも、部員が大麻栽培していると
は、まさか思わないだろう。
普通、そんなところまで指導はできないから、運が悪
いのか、はたまた、学生の質が落ちたのか、いや、大
麻に関しては昔の方が、つまりヒッピー全盛のころの
方が凄かったはずだからそうとも言えない。
これもたまたまな事件なのだろうか。
覚せい剤より良いだろう、という話でもないし、何と
も言い様がない。
もし、学生の間に蔓延しているのなら、それはそれで
大きな問題だが、テレビゲームだって大麻と同じよう
なものだし、つまりゲーム脳の方が考え方によっては
問題だし、という意見も出そうだが、そのゲーム脳と
いうもの自体まず信じるにたる理論なのかというとこ
ろから始めないといけないし、兎角、世の中は問題だ
らけである。

上手くまとめたところで、先日届いたジャ.ジャンクー
の「青の稲妻」だが、早速観賞した。
スクラップアンドビルドの現場が今の中国、そんな埃っ
ぽい風景が今回も中心である。
近代化されるハードの中に登場する人間が、どうにも
一昔前のダサダサ人間なのだが、それがまた、どうい
うわけか近未来的な世界の住人のように感じられる。
他の作品全てに共通するのだが、確かに日本で言えば
戦後間もなくの頃の世界のはずが、今を通り越して、
というより、生きている実感をもてない、現代を生き
る人間そのものの普遍的な世界を描いている、ように
感じられる。
近未来的と感じるのも、荒涼とした風景が、漠然と感
じている未来に対する不安を具現化したものそのもの
だからではないか。
などと考えられなくもない。
このように、もって回った言い回しが可能なのも、ジャ.
ジャンクーの映画の魅力の一つで、同時に、解り難
さの証明でもあるのだ。
コメント