最近流行の賞味期限偽装問題ではなく、賞味期限の現
実的意味を考えさせられる体験をした。
と言っても、大袈裟な事ではなく、日常的に体験する
事の些細な一つに過ぎない、と思う。
例えば、一日二日賞味期限が切れたからと言って廃棄
する人は少ないと思う。
殆どは問題なく賞味できるのが現実だ。
黴が生えたとか、酸っぱくなったとかであったら流石
に控えるだろうが、賞味期限に関しては、そこまでぎ
りぎりのラインではない。
しかし、それがもし一年以上経っていたらどうだろう
か。
そんな賞味期限から一年以上経過したものを昨日賞味
した。
正確には、一年と4ヶ月。
ものはアンチョビ。
瓶詰めのアンチョビで、いつ買ったかは記憶にないも
のだった。
アンチョビペーストを使うようになってすっかり出番
が少なくなってたのだが、久しぶりにペーストがなく
なって、急遽出番が回ってきたのだ。
相当持つものだと思ったので、賞味期限など気にした
事がなかったのだが、ガラスを通して見たアンチョビ
が、何やら普通とちょっと違うものを纏っている。
黴のような白いものが付着していたので賞味期限を確
認すると、去年の7月であった。
流石にこれはだめかと思ったが、一応味を確認してみ
ることにした。
元々が塩漬けで、しかもオイルに包まれているので、
黴が生えるというのはあまり考えられない。
一嘗めすると、間違いなくそれはアンチョビであった。
しかも旨味が増している。
超熟成のアンチョビということではないか。
黴の味は一切しないから、あの白い物質はアミノ酸の
結晶か、と好意的に解釈して使う事にした。
ただ、旨味は強くなっているが、香りは普通のアンチョ
ビと比べると、ちょっと違う。
魚臭さが強いというか、干物の古くなった臭いに近い
ようなものを感じた。
香りに関しては、あまり良くはない。
「キャベツとアンチョビのフェデリーニ」で食した。
旨味が強いので、味はある。
でも、やはりちょっと香りが強すぎるか。
しかし、不味くはない。
不味いのは、最近買ったバリラのジェノヴェーゼだ。
サイドメニューで、「蛸とジャガイモのジェノヴェーゼ」
(なんだかトラットリアみたいなことになっているが、
名前をつければそうなるということ)も作ったのだが、
どうにも「ジェノヴェーゼソース」が美味くない。
スーパーでビン入りを買うときに、日本製とこのバリラ
のものを比較して、日本製は例によって余計な調味料
が入っていて却下。
結果、バリラという選択肢しかなくて買ったのだが、
どうもへんな味付けがしてあって、いやにマイルドな
のだがバジルの香りのシャープさがない。
以前買ったイタリア製はこんなことはなかった。
インスタント的味とでも言えばよいか。
要するに、ぼけた味だ。
そんな今一美味くない「蛸とジャガイモのジェノヴェーゼ」
と賞味期限大幅越えの「アンチョビとキャベツのフェデリー
ニ」。
どうなるかと思ったが、特別体に変調はない。
つまり、結構大丈夫なものは大丈夫であるということだ。
賞味期限よりは、体に聞けということか。
もっとも、体に変調をきたした時はすでに手遅れなの
で、それはそれで困ったことではあるが。