昨日の続きになるが、Yが持ってきた例の「ミシュラン」、
当然中を見せてもらった。
散々Yに毒を吐きつつ辿り着いた結論は「貧乏人は来
なくて良い」だった。
本国でも、星付に一生縁のない人のほうが圧倒的に多
いというのは聞いたことがあるが、今回の日本版ミシュ
ランも、結果的には殆どの日本人には縁のない世界の
できごとであろうというものである。
要するに、高い。
敷居も高いし、値段も高い。
だからYなど、買ったはいいが「こんなところ行けな
いですよ」とぼやくことしきりである。
「別に行かなければ済むことだよ」と当然のことこち
らは言うが、Yとしてはそれでも「参考までに行って
みたいじゃないですか」と言う。
一体何の参考だ。
しかし、こんなところが一般的な感想なのかも知れな
い。
あとYが不満だったのは、何故か浅草辺りの店がない
事で「ミシュランの傾向が判らないですよ」と言った。
ミシュランの傾向も何も、そんなに判るほどYは広く
は知らないし、ミシュランの基準は調査員の基準なの
だから、掲載されている店で判断するだけの事だ。
それで判断すれば、庶民的な店、つまり浅草辺りの店
は対象ではない事は一目瞭然。
始めに言った「貧乏人は来なくて良い」が基本的な店
選びの基準であろう。
つまり、この程度の金額で高いと思うような人間は、
端から相手にしていないということだ。
そのことをよくYに言い聞かしたのは言うまでもない
が、それでもまだ、どこか不満そうであった。
と、いろいろ話題を提供してくれたミシュランである
が、本の体裁は普通のガイドブックだし(写真が半分
文章半分、本国のは写真なし)、情報量も少ないし
(星付のみ)、本国の物と比べると大分安っぽいとい
うか軽っぽい印象である。
これは伝統の違いもあるだろうが、明らかにアジアを
見据えた、成金相手の戦略ではないかとどうしても思
えてしまうのである。