正統派「ナポリタン」を食べさせる店というものが、な
かなか見つけられない。
それで、仕方ないので自分で作ることにした。
ここで言う正統派ナポリタンというのは、茹で上げスパ
ゲティーを使わない、ケチャップ味の、ハムも出来れば
プレスハム、あとは玉ねぎピーマンなどの具材で、それ
らをフライパンでざっと炒めたスパゲティーのことだ。
嘗て、「純喫茶」などでは定番メニューであったあれだ。
クラフトの粉チーズとタバスコでもあれば、もうパーフェ
クト。
手元にあるスパゲティーはディチェコのものだが、それ
を使う。
全く意味のない使い方だが、わざわざそのためにママー
スパゲティーを買うのもなんなので。
こしがなくなるくらいに茹で、そこにバターを絡めその
まま放置。
ここもバターを使う必要はなく、できればサラダオイ
ルだ。
なるべく安い材料を使うのが、正統派への道なのだ。
30分以上はそのまま放置した方が良さそうだ。
兎に角この場合、麺のこしはない方が良い。
まずフライパンで、スパゲティー以外の具材をバター
で炒め(手元にマーガリンがないので)、そこに先ほ
どのスパゲティーを投入。
良く炒めたところで、ケチャップ、塩コショウで味付
け。
ケチャップ大目が味のポイント。
ざっと炒めて出来上がりだ。
ステンレスのお皿とか、鋳鉄製のお皿がベストだが、
ないので普通のお皿に盛る。
ゆで卵を脇に添え、これもあればキャベツの千切りも。
さてさてお味の方は。
全体としては、あのナポリタの味だ。
口の周りにケチャップが纏わり付くのも、ナポリタンを
食べる時のお約束。
麺の状態が、イメージしているのとは微妙に違うよう
な気がするが、こんなものであったような気もする。
ナポリタンとして食べれば、それなりに美味いと思う。
しかし、ちょっと違うというのは、やはり事実なのだ。
ここで、何かが違うと感じるのは、記憶の中で統合さ
れた「ナポリタン」のイメージというのは、味以外の
記憶も含め抽象化され、すでにどこにもない味となっ
ているからなのだからと思う。
つまり、「失われた時を求めて」の世界なのだ。
昔食べたものが美味いというのは、殆どがそういうも
のだ。
甘美な記憶にとどめるならば、そのままにしておくの
が一番なのかもしれない。
まあ、「ナポリタン」程度のことであれば、全く問題
にもならないが。