ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

グラタン

2007年12月13日 | 食べ物


洋食の代表的な料理「グラタン」を、改めて食べると
いう機会は、あまりない。
元はフランス語の「gratiner」辺りだと思うが、立派
な日本の食べものだ。
ファミリーレストランのメニューにはありそうだが、街
の洋食屋では今でも出しているのだろうか。
昔は、かなり高級なイメージがあって、ご馳走の部類
だったが、「ラザーニア」などの進出とともに、その
勢力は衰えていったように思える。
今は、店のものというより家庭の味なのだろうか。

何故急に「グラタン」かというと、久しぶりも久しぶ
り(店で食べたのは何十年ぶりかもしれない)、つい
に店の「グラタン」を食べるという機会が訪れたから
だ。
ベシャメルソースのグラタン、具には海老が。
しかも、普通大体どこも同じ味で、それほど美味いと
思うものでもないのだが、美味かったのだ、これが。
店は、蓼科の、山の中というほど山ではないが、夜に
なると周りはしっかり暗くなる林の中。
しかも、そこは洋食屋ではなく本来は蕎麦屋。
看板にはしっかりと「蕎麦」とある。
確かに、昼は蕎麦だけなのだが(人気店で夏場はなか
なか入れないらしい)、夜に予約のみでコース料理を
出しているのだ。
和食中心で、その中に洋食も入り、最後に蕎麦で締め
という、全体で言えば「創作料理」という分類になる
か、そういうものを出すのだ。
そもそもここの御主人が、長く東京で洋食屋をやって
いたので洋食が入るということらしい。
専門だけあって(しかしこれは美味いの保証にはなら
ないが、何故かというと美味くない専門店は五万とあ
るから)、グラタンがいやに美味かったのだ。

りんごをくり抜き、そこに具を詰めるという、舟形の
容器の熱々グラタンという正統派のグラタンではなかっ
たが、これがりんごは焼きりんごとなり、器さら全部
食べられるもので、想像したよりりんごの部分も不味
くなく、全体でなかなか結構なものであった。
基本的に、果物を合わせるのは好きではないが、今回
は納得であった。
海老の質も悪くないし、丁寧に作ったグラタンである
と、グラタンを食べて初めて思った。
それでは他の料理はどうだったかというと、鰹の出汁
をきちんととった炊き合わせ、薄味のものは薄味に、
素材の味を堪能できるような味付けをし、和食として
も充分美味しいものであったと思う。
全体に、素材がちゃんとしているのだ。
これは、一番大事なことなのだが、田舎だと、「えっ」
っと思うようなものに良く出会うので、かなり新鮮で
あった。
結構な品数で、しかも丁寧な料理が出て3800円、
お値打ちであると思う。

長年続けた洋食屋をやめ、ちょっと蓼科でのんびりし
ようと思ったところ、めちゃめちゃ忙しくなってしま
い、本来の目的とは違う状況に戸惑っている、という
のがどうやら本音らしい。
もうシーズンは、夜の営業はしないということだ。
あるレベルを維持するには、そういうことは必要だ。
店の名前は「蕎茶寮いけ野」という。
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