外の看板の蛍光灯がチカチカしているのを
報告しながら、「更科」に入店。いつもの
ように田舎そばの大盛りを食べ、蕎麦湯を
飲みつつ新聞を(スポニチ)見ていると、
一人の男性客が入ってきた。初めて来たよ
うである、メニューを入念に見ながら暫く
考えている。そして注文を聞いたときに発
した言葉は「お勧めは何ですか?」、また
かとそれを聞いた私は思った。蕎麦屋に来
てお勧めもないだろう、蕎麦に決まってる
だろうが、とこころの中で呟いた。基本は
盛り蕎麦なのだから、それを食べるのが蕎
麦屋の基本である、と当たり前のように思
うのだが、どうも世間的にはそういうもの
でもないと思わされる昨今の状況なのであ
る。
今回の客以外でも、しょっちゅうそういう
場面に遭遇する。傾向としてはうるさそう
な客、つまり結構味にはうるさいよ、といっ
たタイプに見える人間ほどそういう質問を、
さも良い質問であるかのような態度で発す
る。だから聞いてると余計に腹立たしくな
る。味にうるさいよタイプなら、尚更食べ
るものは決まってくるだろう、盛りしかな
いだろう、と。でないなら、自分の好みと
いうものがあるのだから、天ぷらでも鴨で
もそれに沿ったものを注文しろ、と言いた
い。反論としては、その店独自の売り物が
あるのではないか、ということになるのだ
ろうが、それだったら大体メニューに書い
てある。何のためのメニューなのだ。入念
に見ていたのは見逃さないよ。
以前にも書いたが、食べ物ブロガーもこう
いう傾向にある。何だか、インターネット
の普及に比例して、鬱陶しい客が増えつつ
ある状況のようである。自分の基準ではな
く、流布している情報が基準の人間が多す
ぎるのだ。