ゲロゲロ少年Yから借りた二本のDVDのうちの一つ、クロード・シャブ
ロルの「不貞の女」を見る。元々この監督の映画、特別良いと思った
のはないのだが、何故かYが持ってきたので(その理由を聞くのを忘
れた)じゃあ見るか、ということになったのだ。
内容はタイトルで想像出来るように、不倫の話。簡単に言えば、三角
関係のもつれから起こる殺人事件。何だかテレビの二時間サスペン
スのような内容である。実際、美しい妻の浮気を知ったブルジョアの旦
那が思わず相手を殺し、証拠隠滅のために死体を沼に埋め、それを
知らない妻は浮気が発覚するのを恐れ、捜査する刑事に嘘をつかざ
るえないという如何にもな内容である。画質がこれまた悪く、くすんだ
ような色で昔のメロドラマでも見ているような気分になり、見てる間じゅ
う一体どこが良いんだろうと考え続けていた。クローズアップを多用す
るところも好きではないし、しかし、適度な省略は悪くないしと、中途半
端な気持ちで見続けて、最後の場面。多分、この場面を撮るためだけ
に監督はこの映画を撮ったのではないか、と思えるようなもの。劇的と
かそういうものではないが(ある意味劇的か)、犯人である父親を遠く
から見つめる息子と母親、植え込みを挟んで父親と交わす視線、カメ
ラはゆっくりそれをとらえていく、そして何の説明もなく唐突に終る、こ
の一連のショットは充分に魅力的であった。
結論から言うと、それなりに良い映画かとは思った。が、やはり好きに
なる程のものではなかったというのが正直なところ。同じヌーベルヴァ
ーグでも、好きな監督もいればいろいろである。一体何が違うのか。