カフェのT君から、今度は好きな「男性ヴォーカル」を
という要望があった。
男性ヴォーカルの場合、声フェチの占める割合は女性ヴォー
カルほど大きくはないと思うが、それでも少しはそうい
う部分も出てくるのだろうか。
「まずは、チェットベイカーですね」(T君)
「やっぱりね」(私)
「あの脱力系ヴォーカルは癖になります」(T君)
「それは言える」(私)
「次は、ジム.モリソン、ロバート.ワイアットです」(T君)
「ドアーズ、ソフトマシーンか、でもT君、彼らは個人
というよりグループだから、今回はソロに限定しよう」(私)
「そうなると、ピーター.アイバースあたりですかね」(T君)
「これもちょっと脱力系だね、考えてみるとT君の場
合、女性ヴォーカルもそんな感じの軽いのが好きだか
ら、一貫してると言えば一貫してるね」(私)
「そうですね、キーワードは、軽い脱力系ってところ
ですかね」(T君)
「今度はこっちの番だけど、まずはブライアン.イーノ」(私)
「いいですね、しかし、イーノもちょっと僕の好みに
近い系ですよね」(T君)
「今の系の使い方、ちょっとおかしいんじゃないの系
だよ、それは置いといて、イーノだけど、曲も良いし
というより、元々一番好きだったミュージシャンだか
ら」(私)
「ヴォーカルというより環境音楽のイメージですから」(T君)
「もっと一般的なイメージの男性ヴォーカルでは、ジャ
クソン.ブラウン」(私)
「これまた意外な」(T君)
「ちょっとカントリー色が入って、イーノとは全く関
連ないけど、声も好きだし、昔から好きなんだよね、
自分にとっては箸休め的ヴォーカルかな」(私)
「フランス料理のあとの日本蕎麦、とか」(T君)
「というより、デュシャンのあとのゴーギャンに近い
かな」(私)
「もっと判り易く、ピカソのあとのモネで良いんじゃな
いですか」(T君)
「あと、その系統でジム.クローチ、ニルソン、レオン.
ラッセルなんかも好きだよ」(私)
「なんだか渋いところばかりですね」(T君)
「もう一人忘れてた、ジョージ.ハリスン」(私)
「ビートルズの」(T君)
「ソロになっても好きだったから」(私)
「全体的に、ハスキー系のような」(T君)
「ジョージ.ハリスン、ニルソンはそうだけど、残り二
人はちょっとだみ声系?」(私)
「ジム.クローチって名前だけで歌知らないんですよ
ね」(T君)
「なかなか良いんだよね、あの声が」(私)
「確か、悲劇的な死に方でしたよね」(T君)
「30歳かそこらで飛行機事故」(私)
「結構そういう人多いですね、アメリカは」(T君)
「ジョン.デンバーもそうだっけ、それとリトルフィート
のローウェル.ジョージとか、ああ、あれは薬中か」(私)