経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

世界第5位に落ちる 日本のGDP

2024-04-27 07:29:59 | 世界経済
◇ 原因は成長政策の欠如とゼロ金利 = IMF(国際通貨基金)は「インドのGDPが25年中に日本を上回る」という推計を発表した。かつて日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国だったが、中国とドイツに抜かれて、現在は第4位。インドに抜かれれば、第5位に転落する。人口がバカ多い新興国だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、世界の多くの人たちに「日本は老衰した昔の経済大国」といったイメージを植え付けたりしてしまう。

発表によると、インドのGDPは25年に4兆3398億ドルに達する。一方、日本のGDPは4兆3103億ドルにとどまる見込み。この両者の逆転は、1年前の予測よりも1年早まったという。その理由は、大きく分けて2つ。まず日本の経済成長が遅すぎることだ。IMFの推計によると、24年の実質成長率はインドが6.8%、アメリカが2.7%なのに対して、日本は0.9%でしかない。巨額の予算を組んでカネをバラ播いても、成長にはあまり寄与していないことになるだろう。

もう1つは、異常な円安。各国のGDPを比べるために、IMFは米ドルに換算している。だから円安だと、ドル建ての数字は低くなる。たとえば22年初の円相場は115円だった。仮に現在も円相場がその水準にあるとすれば、ドルに換算した日本のGDPは確実に5兆ドルを超える。インドとの逆転劇はまだ先になるし、ドイツのGDPも上回って、世界3位の経済大国だと涼しい顔をしていられるだろう。

だから「GDP第5位」の話は計算上の問題だと、笑い飛ばすのも一つの方法だ。しかしIMFが発表すれば、日本のイメージが落ちることは避けられない。東南アジアの若者たちが、日本へ働きに来なくなるといった弊害も生じる。異常な円安は、日銀がゼロ金利に固執しているため。その日銀は週末の会議で、円安を是正するための政策を何もとらなかった。何を怖がっているのだろう。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +306.28円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
  
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多すぎる 予測不能 : 24年の世界

2024-01-01 08:24:07 | 世界経済
◇ 自然災害から紛争・戦争まで = 人間は未来を推測することは出来るが、完全に予知することは出来ない。だから常に予測不能の事象に脅かされているのだが、それにしても2024年は不明なことが多すぎる。そんななかで経済問題に限れば、まだある程度の推測が可能だ。たとえばFRBはことし何回か利下げし、アメリカ経済は不況に落ち込むことなくインフレの克服に成功する。その確率は5割を超えるかな--というように。

また日銀は4月以降にマイナス金利政策を離脱、日本にも「金利のある世界」が復活する。これによって経済は活性化するが、株価は一時的に下落するかもしれない。一方、ヨーロッパ経済はインフレが収まらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融緩和に踏み切れない可能性がある。さらに中国経済は成長率を4%前後にまで落としそうだ。--こんな推測も成り立つに違いない。

ところが経済から離れてみると、予測不能の問題がなんと多いことか。たとえば地球温暖化がもたらす異常気象。23年も洪水や干ばつ、山火事などが異常に多く発生した。ことしは、どうなるのだろう。世界が温暖化ガス防止のための有効な対策を打てない状況からみて、自然災害の猛威はさらに激しくなるのか。それが人間の生活にどんな影響を及ぼすのか。残念ながら、全く推測できない。

視野を人類の紛争や戦争にまで広げると、予測はさらに困難さを増す。ウクライナ戦争やガザ戦争の行くえは、誰にも判らない。ロシアとNATO(北大西洋条約機構)との全面対決、イスラエルとイランの直接交戦、朝鮮半島での緊張、台湾を巡る危機・・・。こんなに多くの問題を抱え込んだことが、かつてあったろうか。問題が爆発する可能性は小さいかもしれないが、確率はゼロではない。年頭に当たって、こういう考え方も頭の片隅に入れておきたい。
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世界は 高金利時代

2023-08-30 07:31:36 | 世界経済
◇ 異様な日本のゼロ金利政策 = 世界中の中央銀行がインフレと闘うため、次々と政策金利を引き上げている。世界はまさしく高金利時代。なかでも突出しているのが、南米のアルゼンチンだ。この14日にも中央銀行は、通貨ペソの2割切り下げと政策金利を118%に引き上げると発表した。物価上昇率が100%を超え、手が付けられなくなったからだ。このほかトルコの政策金利は25%、ブラジルが13.25%など。新興国の金利が総じて非常に高い。

先進国の金利も上昇を続けている。アメリカの政策金利は現在5.25%だが、FRBは9月も5.5%に引き上げるという見方が強い。このため10年もの国債の利回りは先週4.35%と、15年9か月ぶりの高さに上昇した。また物価騰貴が収まらないユーロ圏も、現在の政策金利4.5%をさらに引き上げる公算が大きい。イギリスの政策金利は5.25%、カナダは5.00%だが、アメリカやユーロ圏が利上げすれば追随することになりそうだ。

こうしたなかで、ひとり異彩を放っているのが日本。長期金利は日銀が1%までの上昇を容認したため、現在は0.7%に近付いている。しかし短期金利を対象とする政策金利は、なんとマイナス0.1%のまま。要するに世界のなかで、日本だけが‟金利のない国”となっている。日銀はこの‟ゼロ金利政策”を見直す考えを、全く持っていない。

世界は高金利、日本はゼロ金利。おカネは金利の高い方に流れるから、日本円は各国の通貨に対して安くなる。円の対ドル相場は先週146円後半にまで下落した。仮に日銀が金利を上げて円相場を117円に上昇させたとすると、輸入物価は2割ほど安くなる。そうせずに、政府はガソリンや電気・ガス料金の値上がりを抑えるために、何兆円もの税金を使う。どう考えても、おかしい。日銀は説明する責任があるだろう。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +56.98円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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スタグフレーション突入 /  ユーロ圏

2023-06-17 07:25:32 | 世界経済
◇ ドイツの落ち込みが目立つ = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は15日の理事会で、政策金利の0.25%引き上げを決定した。昨年7月からの引き締め政策で8回連続の利上げ、政策金利は4.0%になった。消費者物価は5月に前年比6.1%にまで上昇幅を縮小したが、まだインフレ圧力は強いと判断。ラガルド総裁は、今後も利上げを継続する姿勢を明らかにしている。

EU統計局は先週、ユーロ圏20か国の1-3月期GDP改定値を発表した。それによると年率換算の実質成長率はマイナス0.4%で、速報値のプラス0.1%から大きく下方修正された。その結果、ユーロ圏のGDPは昨年10-12月期に続いて2四半期連続のマイナス成長に。いわゆる理論上の景気後退に突入した。22年の成長率プラス3.5%に比べると、その落ち込み方がよく判る。

つまり現状は、インフレと不況が共存するスタグフレーション入り。政策的にインフレを抑制しようとすれば、景気が悪化。景気を刺激すると、物価が上昇してしまう。きわめて厄介な状態に陥った。それでもECBが利上げを続けたのは、まずインフレを退治しようという姿勢の表れだ、アメリカのFRBが利上げを見送った直後だけに、ECBの選択が目立つ。

ユーロ圏内でも、経済大国ドイツの悪化ぶりが著しい。1-3月期のGDPは、年率でマイナス1.2%。フランス・イタリア・スペインなどがプラス成長を維持したのに、主要国のなかではドイツだけが沈み込んだ。ロシアの天然ガスに依存し過ぎていたことが大きい。国民の間にインフレ・マインドが浸透してしまい、企業や商店による便乗値上がガ目立つという。シュルツ内閣は30兆円の財政支出をしたが、プラス成長を維持できなかった。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +220.59円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】  
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年後半に賭ける 23年の経済

2023-01-03 07:53:02 | 世界経済
◇ アメリカ・中国・ウクライナが焦点 = 「23年は前半が辛抱、後半に期待」--多くの専門家がことしの経済について、こうしたトーンで解説している。世界経済を動かす要因がみな、そういうトーンで一致しているからだ。

≪アメリカ≫ ことし前半はまだ物価上昇率が高く、FRBは1-6月期に0.25%の利上げを3回実施する見通し。後半になると、金融引き締めの効果が行き渡り始めるから、FRBは利上げをしない。場合によっては7-12月期に、利下げに転じる可能性もなくはない。いずれにしても前半は景気が後退するが、その程度が浅ければ後半には回復へ向かう。FRBは年後半の‟軟着陸”に賭けている。

≪中国≫ ことし前半はコロナの後遺症が残る。社会の混乱も続き、景気もよくならない。しかし後半になるとコロナの状況も落ち着き、経済も正常化へ向かうだろう。鉱工業生産は回復、流通面での障害も解消される。コロナ規制で抑制された消費需要が解放され、景気を押し上げる。3%程度にまで落ち込んだGDP成長率も、5%程度には回復するだろう。

≪ウクライナ戦争≫ ロシアの侵攻から、間もなく1年。冬から春にかけては積雪と雪解けで地上軍は動きがとれず、もっぱらミサイルの射ち合いに。ロシアはこれまでに合計550発のミサイルを発射し、年間生産量の6年分を使い切ったという報道もある。雪解けが終わると再び地上軍の戦闘が始まるが、それが最後の決戦になる可能性がきわめて大きい。ウクライナ側も消耗しているので、年の後半には停戦ムードが強まるという観測が強まっている。

こうした情勢から「前半は辛抱、後半に期待」の予測が広まっているわけだ。ただし世の中は、予測通りに動くものではない。たとえばアメリカのインフレは年後半になっても収束せず、FRBはさらなる引き締めを余儀なくされるかもしれない。中国のコロナ後遺症も年後半まで続き、社会経済の正常化が遅れるかもしれない。ウクライナ戦争も最後の段階で、核戦争の脅威が増すかもしれない。したがって、ことしの経済を見通すには、日々の変化を正しく分析し続けることが重要になってくる。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ
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