経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2019-06-30 08:10:16 | 株価
◇ ダウ平均は最高値更新か = 世界中が注視した大阪での米中首脳会談。両国は中断していた貿易交渉を再開、トランプ大統領は「当分の間、関税の引き上げは行わない」と言明した。今後の交渉がどういう決着をもたらすかは、いぜんとして不透明。だがアメリカが中国製品のすべてに制裁関税をかけるという最悪の事態は、ひとまず回避された。株式市場はもちろん大歓迎、今週の株価は大きく上昇する可能性がきわめて大きい。

先週の株式市場は、米中会談の様子見で足踏み状態に推移した。ダウ平均は週間119ドルの値下がり。それでも史上最高値まで、あと200ドルあまりの水準に踏みとどまっていた。したがって今週は、一気に最高値を突き抜ける可能性が強い。ただニューヨーク市場の場合は、株価が勢いを取り戻すとFRBによる利下げが遠のくかもしれないという心配が頭をもたげる。そこで今週末に発表される6月の雇用統計も見逃せない。

日経平均は先週17円の値上がり。この6月中にダウ平均が1800ドルも上げたのに対して、わずか675円の上昇にとどまっている。中国経済の不調で輸出が伸び悩んでいること、円高がやや進行したことが原因だ。米中貿易交渉の再開で、見直し買いをどの程度まで呼び込めるか。その勢いが弱々しいと、こんどは国内経済への不安が改めて心配になってくる。

今週は1日に、6月の日銀短観、新車販売、消費者態度指数、国税庁の路線価。5日に、5月の家計調査、景気動向指数。アメリカでは1日に、6月のISM製造業景況指数。3日に、5月の貿易統計と6月のISM非製造業景況指数。5日に、6月の雇用統計が発表される。

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ

これでは勝てない : 野党の選挙公約

2019-06-29 07:45:40 | 参議院
◇ 有権者はもう騙されない = 参院選を前に、各政党の公約が出揃った。選挙の焦点は、自民・公明の与党が現議席を守れるかどうか。野党が議席を伸ばして、与党の勢力を縮小できるかどうかだろう。だが経済政策に関する野党の公約を見る限り、野党の勝利は覚束ない。どうしても公約の実現性に、疑問を生じてしまうからである。

立憲民主党は、①最低賃金を5年以内に1300円に引き上げる②保育・介護従事者の賃金増加など。国民民主党は、①児童手当を18歳にまで延長、月1万5000円に②低所得の年金生活者に月5000円③賃貸住宅で暮らす年収500万円以下の世帯に月1万円の補助。共産党は、①最低賃金を直ちに1000円に引き上げる②公的年金のマクロ経済スライドを廃止③小学校就学前の子どもの医療費を無料化――などを公約に掲げた。

一見すると、どれも魅力的な政策のようだ。しかし共通する最大の欠点は、財源に関する検証がないこと。政策の実行にはどれほどの財源を必要とするのか。それをどうやって調達するのかを、真剣には考えていないようだ。この3党は、いずれも消費税の引き上げには反対している。このため立憲民主党と共産党は、法人税を引き上げると書いた。また国民民主党は、子ども国債の発行を主張している。

だが世界中の国が、いま法人税の引き下げに動いている。こんなときに日本が法人税を引き上げたら、どういうことになるのか。またマイナス金利のもとで、子ども国債を買う人はいるのだろうか。有権者の多くは、すぐにそう考えるに違いない。財源の伴わない公約は、絵に描いた餅。こんな公約を発表しているようでは、野党に勝ち目はない。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -62.25円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

なぜ増えない? 法人税収

2019-06-28 08:08:54 | 税収
◇ 18年度の税収は過去最大に = 新聞各紙は27日付けの朝刊で一斉に「18年度の税収総額が過去最高になる」と報じた。18年度の税収は間もなく締め切られるが、それによると総額は60兆5000億円に達する見込み。これはバブル期の90年度に記録した過去最高の60兆1000億円を上回る。政府が見込んでいた59兆9000億円よりも6000億円ほど多くなる。大変に結構な話だが、その内容を読むといくつか疑問が湧いてくる。

報道によると、所得税の伸びがいちじるしく、前年度比で4000億円程度の増加が見込めるという。その半面、法人税と消費税は伸びが鈍いそうだ。だが18年度を振り返ってみると、企業の業績は絶好調で利益は史上最高の水準を維持していた。一方で家計の収入は増えていない。たとえば家計調査によると、18年度の勤労者世帯の実収入は前年度比で0.9%の減少だった。

にもかかわらず所得税が大幅に増え、法人税が伸び悩んだのはどうしてだろう。たとえば財務省が公表した4月末時点での租税・印紙収入額をみると、所得税は前年同期比で5.4%の増加。法人税は7.6%の増加となっている。そのあと5-7月には3月期決算企業の法人税がどっと入ってくるはずだ。

収入が増えないのに所得税が伸びたのは、株式や債券の売買が増えた結果かもしれない。しかし法人税が最終的に伸び悩むという予想は、不可解である。新聞各紙が同じように書いているのは、おそらく財務省か国税庁の担当者が、そう話したからなのだろう。それが正解なのか、それともミスなのか。1か月後には、答えが判明する。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +251.58円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

G20首脳会議の 存在価値

2019-06-27 08:05:58 | G20
◇ “おまけ”だった2国間交渉に焦点 = G20サミット(主要20か国首脳会議)が28-29日の両日、大阪湾の人工島・咲洲で開かれる。リーマン・ショック直後の08年11月にワシントンで第1回会議が開かれてから、今回で14回目。だが、この間に会議の存在価値は大きく変貌した。せっかく同じ場所に来たのだからと、首脳同士が話し合って2国間の問題を解決する。この言わば“おまけ”だった2国間交渉に、世界の注目が集まるようになってしまった。

第1回会議では、リーマン・ショックによる世界不況を克服するため、20か国が景気対策を講じることで一致した。11年11月にフランスのカンヌで開かれた第6回会議では、ユーロ危機を抑え込むために結束することで合意している。しかし14年にロシアがクリミアに侵攻したあたりから、加盟国同士の対立が多発するようになった。

この種の多国間による首脳会議は、欧米先進国と日本が参加し現在も存続するG7が最初だった。しかし中国やインドなど巨大化した新興国を取り込まないと問題を解決できないようになり、G20が誕生した。ところが参加国が多くなると、経済の発展段階が相違するため意見がまとまりにくくなる。このためG20は無力であり、不必要との批判も高まっていた。

大阪会議でも、貿易や海洋汚染、巨大AI企業対策などが話し合われる。しかし結果は、総論賛成・各論不一致になることが目に見えている。だが、その裏ではトランプ大統領と習金平主席の米中会談。さらに米ロ、日ロなどなど、いくつもの個別会談が予定されている。いずれも秘密会談だから、本会議とちがって当事者が発表しないと内容は判らない。しかし世界の耳目は、これらの“おまけ”会談に集中しているのが現実だ。

       ≪26日の日経平均 = 下げ -107.22円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

金融緩和に 転換 / アメリカ (下)

2019-06-26 08:05:15 | アメリカ
◇ 日本円にも上昇圧力が = 利下げを巡る市場対FRBの駆け引き・第1ラウンドは、市場の判定勝ちに終わった。しかし休む間もなく、直ちに第2ラウンドが始まる。こんどは7月に予想される利下げの幅。それに9月と12月にも、追加の利下げが実施されるかどうか。現在の政策金利は2.5%と低い。だからFRBは出来れば0.25%と、小出しにしたい。しかし市場はそれで満足するかどうか。さらに年内1-2回の追加利下げを、催促することになるだろう。

FRBが姿勢を金融緩和へ転換させたことは、早くも世界中に影響を及ぼし始めた。おひざ元のニューヨーク市場では、10年もの国債の利回りが、2年7か月ぶりに2%割れ。住宅ロ-ンなどの金利も低下した。この動きはすぐさまヨーロッパにも飛び火。ドイツの長期金利はマイナス0.7%で過去最低。フランスでも長期金利が初めてマイナス圏に落ち込んだ。

もちろん、日本も例外ではない。東京市場の10年もの国債利回りは先週末、マイナス0.195%まで低落。しかしニューヨークに比べると下げ幅が小さいため、円の対ドル相場は107円にまで上昇した。円高を阻止するためには、日銀が国債の買い入れを増やして金利を下げるしかないが、これ以上の金利低下は銀行経営に打撃を与えるなどの副作用が大きい。日銀の金融政策には、手詰まり感が出ている。

FRBが7月に利下げすれば、リーマン・ショック後の08年12月以来の金融緩和政策ということになる。そして、いったん金利を下げれば、その後も追加の利下げに追い込まれることは過去の経験からも明らかだ。その結果、どこまで金利を下げたら、アメリカ経済は安泰になるのか。その答えは、米中貿易戦争の行くえしだい。仮に貿易戦争が長期にわたって続くようだと、金利をマイナスにまで下げても追いつかないだろう。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -92.18円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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