経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

乱暴な 賃上げ促進の税制改正

2017-11-30 08:50:03 | 賃金
◇ 社会主義国も顔負け? = 政府は企業の賃上げを促進するため、新年の通常国会に「所得拡大促進税制」の見直し案を提出する方針。具体的には3%以上の賃上げを実施した企業に対して、税額控除を増やす形で実質的な法人税率を25%に下げる。その一方で賃上げに熱心でない企業に対しては、法人税を軽減する租税特別措置の適用を停止する。要するにムチとアメによって、企業に3%以上の賃上げを強要する政策だ。

たしかに企業は400兆円を超える内部留保を貯め込んでいる。これをもう少し賃上げに振り向ければ消費が増大し、経済の“好循環”が始まるだろう。安倍首相がかねて強調している理屈だ。この考え方自体は正しいと言える。だが、それにしても税制を利用して企業の経営に介入するやり方は、いかがなものか。先進国では前例がない。どこかの社会主義国では、あるのかもしれない。

こうした乱暴な税制が実現した場合、大企業は事業をますます海外に移して、利益を国内に戻さなくなるかもしれない。また非正規雇用を増やして、賃上げによる負担を軽減するようになる可能性も大きい。さらに利益が小さく賃上げ余力に乏しい企業が、税制上の不利益を被ることになる。中小企業にとっては、経営の圧迫要因になることは明らかだ。

巨大な利益を貯め込んだ企業が、なぜ賃上げに消極的なのか。それは人口減少が進んで行く日本経済の将来に不安を感じるからだろう。その不安を払拭するために、アベノミックスでは構造改革を断行して潜在成長率の引き上げを図るはずだった。それが遅々として進まないために、自由経済を否定するような税制改正を思い付いたのではないだろうか。

      ≪29日の日経平均 = 上げ +110.96円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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10週間連続で上昇 : ガソリン価格 (下)

2017-11-29 08:38:30 | エネルギー
◇ 世界同時好況で需要が増加 = OPECの減産については、盟主サウジアラビアの政情不安が問題視されている。サウジの内情がガタつけば、OPECの結束は乱れるという予測だ。しかしムハンマド皇太子は着々と地歩を固めているようにみえ、OPECの減産協定が破れる可能性は小さい。これは価格の押し上げ要因。その一方、アメリカのハリケーン被害は間もなく復旧する。これは価格の押し下げ要因として働く。

もう1つ、原油価格を押し上げている要因に世界同時好況がある。先進国だけではなく、新興国の景気も一斉に上向いており、これが石油の需要を増やしていることは確実だ。この点についての調査報告はまだないが、同時好況が続く限り原油の国際価格は強含み傾向を持続するだろう。その結果、価格がどこまで上昇するか。

過去の経験からみても、WTI相場が1バレル=60ドルを超えてくると、日本経済には問題が生じる。まず輸入金額が膨張して、貿易収支の赤字要因になりやすい。輸入金額の支払いを通じて日本人の購買力が海外に流れ、景気にとってはマイナス要因になる。さらに国内では、企業や家計の光熱コストが増加する。また全般的に、物価の上昇を招きかねない。

日銀が発表した10月の企業物価は、前年比3.4%の上昇だった。この上昇幅は9年ぶりの大きさ。主な原因は石油・石炭・LNG(液化天然ガス)の値上がりで、これらの製品は15.8%も上昇した。卸売りの段階で上がった物価は、間もなく小売り段階へと波及する。ガソリンや灯油だけでなく原油関連製品が値上がりすれば、企業も家計も苦しくなる。喜ぶのは、一部の石油関連企業と日銀だけだろう。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -9.75円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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10週間連続で上昇 : ガソリン価格 (上)

2017-11-28 07:50:08 | エネルギー
◇ 2年3か月ぶりに140円台乗せ = 資源エネルギー庁の集計によると、11月20日時点のレギュラー・ガソリン店頭価格は全国平均で1リットル=140円10銭だった。これで10週間連続の値上がり。この間の値上がり率は7%に達している。また140円台に乗せたのは2年3か月ぶりのこと。ことしの年末年始は、車での移動費が高くなりそうだ。

地域別にみて、最も高くなったのは沖縄県で147円60銭。次いで長崎県が147円20銭。安いのは埼玉県の136円10銭と高知県の136円40銭。地方によって、値段にかなりの開きが生じている。このうち沖縄や長崎は、輸送コストと関係がありそうだ。また埼玉は激戦区だからだろう。ちなみに東京都は141円30銭だった。

価格の上昇は、言うまでもなく原油の国際価格が高騰したことによる。ニューヨーク市場のWTI(ウエストテキサス産軽質油)相場は、11月に入って1バレル=57ドル台の高値を付けた。2年4か月ぶりの水準で、6月下旬の安値からみると3割以上も上がっている。これは世界的な原油の需給構造に、いくつかの変化が生じたためだ。

まず供給面では、OPEC(石油輸出国機構)の減産協定が延長される見込みになったこと。その一方で増産を続けてきたアメリカのシェール業界が、ハリケーンの被害を受けて減産を余儀なくされたこと。いずれも原油生産の伸び悩み要因になるわけで、原油の国際価格を押し上げる結果となった。

                          (続きは明日)

      ≪27日の日経平均 = 下げ -54.86円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

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今週のポイント

2017-11-27 08:08:02 | 株価
◇ 上昇ペースは鈍ったものの = ダウ平均は先週200ドルの上昇。日経平均も154円の値上がりだった。日米の株価はともに先々週は下落したが、すぐに上昇に転じている。ただ高値圏に入っているだけに、上昇のペースはひところに比べるとかなり鈍った。それでもダウ平均は週央に史上最高値を更新。日経平均も2万2500円台まで戻している。市場の空気は、まだ強い。

市場の強気は、企業の好業績に支えられている。株高でアメリカの年末商戦も、順調に滑りだしたようだ。そうしたなかで、FRBによる12月の利上げが近づいてきた。株価への影響はまだ現われていないが、為替の面では円の対ドル相場がやや上昇してきた。理論的には円安要因になるはずだが、市場が利上げを十分に織り込んでいるための結果だろう。

世界同時好況の基盤には、全く変化がみられない。ヨーロッパやアジア諸国の株価も、上昇基調を維持している。ただ資源の国際価格も回復しており、原油相場もじわじわと上がってきた。こうした状況のなかで、FRBは12月12-13日のFOMC(公開市場委員会)で政策金利の引き上げを決定する予定。ここで世界経済の潮目に変化が起きなければ、株価は次の上昇気流に乗る可能性が大きい。

今週は27日に、10月の企業向けサービス価格。29日に、10月の商業動態統計。30日に、10月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、10月の労働力調査、家計調査、消費者物価、7-9月期の法人企業統計、11月の新車販売。アメリカでは27日に、10月の新築住宅販売。28日に、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数と9月のFHFA住宅価格。29日に、7-9月期のGDP改定値。1日に、11月のISM製造業景況指数と新車販売。また中国が30日に、11月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫         
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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2017-11-26 07:45:05 | SF
第1章  ダー ス ト ン 星 

≪9≫ 幸せな100年の人生 = 「私たちは物心がついたときから、お前の寿命は100年だと教えられてきました。そのとき子供たちは『100年しか生きられないから悲しい』なんて、誰も思いませんよ。みんな『100年も確実に生きられるんだ』と喜びます。その喜びを、大人になっても持ち続けているんです。だから昔の賢人たちが決めたことに疑問を持ったり、反対を唱える人は誰もいません。

もっと昔の人は、病気や怪我でいつ死ぬか判りませんでした。可愛い子どもを病気で亡くしたり、幼い子どもを残して事故で死んでしまう若い親たち。考えただけでも、ほんとうに可哀そうですね。そんな悲劇にいつ襲われるかしれない人生と、100年の寿命が安全に保障される人生と、どちらが幸せかは明らかでしょう。もしいま国民投票をやっても、95%以上の人が賛成すると思いますわ。ねえ、あなたも同感でしょ」

最初に顔を合わせたときは、何やら野蛮人でも見るような目付きだったブルトン夫人だったが、いまは興奮の面持ちで喋りまくる。マーヤもいつもより早口で、通訳してくれた。水を向けられたブルトン院長は、うなづいて話を引き継いだ。こんどはマーヤの口調もゆっくりになる。

「人口は1000万人ですから、毎年10万人が100歳になる計算です。そして子どもを欲しがる若い人には、年間10万人の赤ちゃんが授かるようになっている。だから人口はいつも1000万人に保たれるのです。もう1つ医学的に補足しておきますと、この国の人は満100歳に近づくと、自然に静かな休息を欲するようになる。遺伝子操作で、みな生まれたときからそうなるようにプログラムされているんです。

ですから死ぬことに対する恐怖感はありません。みんな満100歳の10日前ぐらいになると、いそいそとして特別な病院へ向かいます。そこでは宗教的な行事も何もありません。ただ100年を無事に生きたことを感謝し、子どもや孫へと世代交代する喜びを噛みしめるのです」

胸に「50」のプレートを付けた女性ロボットが、皿を運んだり片づけたりしている。マーヤと似たような感じだが、どこか違っている。それにロボットの場合は、年齢差が感知できない。マーヤとそのロボットの顔を見比べながら、聞いてみた。

――ロボットも胸に番号を付けていますね。ロボットも100歳で死ぬんですか?
「あゝ、それには別の理由があるんです。でも私が話すよりは、メンデール教授に聞いた方がいい。科学大学院の学長で、この国の科学技術を取り仕切っている人です。ご紹介しますから、会いに行ってください」と言って、ブルトン医師はロボットたちに目くばせした。

                       (続きは来週日曜日)     

              ☆Please click here ⇒ 
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