経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

日経平均は 29年ぶりの高値に

2019-12-31 08:14:50 | 株価
◇ ダウは年間最大の上げで史上最高値 = 日経平均株価は2万3656円62銭で、19年の取り引きを終えた。年間の上げ幅は3642円、上昇率は18.2%だった。大納会の終り値としての水準は、1990年以来29年ぶりの高さである。5月と8月には大きく下げたが、10月以降は大幅に上げた。株価を上下動させた最大の要因は米中経済戦争だったが、全体として株価を持ち上げたのは各国の金融緩和政策が生んだカネ余りだったと言えるだろう。

ダウ平均株価は、先週末の終り値が2万8645ドル。年初からの上げ幅は5318ドル、上昇率は23%となっている。この年間の上げ幅は過去最大。やはり米中経済戦争に振り回されたが、FRBが再び金融緩和政策に戻ったことで景気の見通しが好転。11月からは連日のように史上最高値を更新し続けた。現在の時価総額は36兆3200億ドル(約4000兆円)、前年より7兆5000億ドル増加している。

このように日米の株価は、明るい空気のなかで20年を迎える。しかし東京市場の気分は、ニューヨーク市場ほど楽観的ではない。というのもアメリカは景気の先行きが開けており、企業業績回復への期待感も強い。しかし日本の場合は景気の見通しが不透明で、企業の収益改善にもメドが立たない状態だからだ。

新年になっても米中経済戦争は続き、株価を大きく揺さぶるだろう。また日米両国は、それぞれ独自の問題点も抱えている。アメリカの場合は、11月の大統領選挙。まだ勝敗予想も出来ない段階だが、仮に民主党のリベラル派が勝利すると、大企業には強い逆風が吹く。株式市場にとっては、これが怖い。一方、日本の場合はオリンピックの後遺症。景気の落ち込みを防げるかどうか。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -181.10円≫
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増税の反動は 大きかった

2019-12-30 07:44:45 | 消費税
◇ 小売高の減少は前回を上回る = 消費増税後の需要減退は、想像以上に大きかった。経済産業省が27日発表した11月の商業動態統計によると、商業全体の販売額は37兆5600億円で前年同月より6.7%減少した。このうち小売業の販売額は11兆8670億円で、前年に比べて2.1%減少している。この小売業の販売減少は11月に高温が続き冬物衣類の売れ行きが伸び悩んだせいもあるが、大半は消費増税前に起こった駆け込み需要の反動だと思われる。

小売業の販売減少率は、増税直後の10月は7.0%と大きかった。それが11月は縮小しているが、まだ2.1%も落ち込んだ。前回の消費増税時と比べてみると、増税直後の14年4月は4.3%、5月は0.4%だったから、今回の方が減少率は大きい。季節的な違いがあったり、高温の影響があったりして、単純には結論を下せない。しかし大勢としてみれば、今回の方が影響は大きかったと言えそうだ。

11月の販売動向を業種別にみると、デパートは5.7%の減少。スーパーは0.1%の増加、コンビニは2.3%の増加。また家電量販店は5.5%の減少、自動車小売業は5.9%の減少となっている。ここからみても、軽減税率が適用された飲食料品の比重が低い業種で、増税の反動減が続いていることが読み取れる。

増税の前、政府や民間の研究機関は「今回の反動減は前回より小さい」と予測していた。消費税の引き上げ幅が小さいこと、それに軽減税率やポイント付与で影響が和らぐと考えたからである。だが実際には、そうならなかった。その理由は、消費者が増税を機に、節約志向を強めたからではあるまいか。12月分の商業動態統計が、その答えを出してくれるだろう。

       ≪30日の日経平均は? = 下げ≫
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日本人の目が あぶない!

2019-12-28 08:36:31 | なし
◇ 子どもたちの視力が急激に低下 = 小学生・中学生・高校生の視力が、大幅に落ちている。文部科学省が発表した19年度の「学校保健統計調査」で、実に心配な結果が明らかになった。それによると、裸眼の視力が1.0以下の子どもは、小学生で全体の34.57%。中学生で57.47%、高校生で67.64%だった。小学生では3人に1人、中学生では6割近く、また高校生では7割近くが目を悪くしていることになる。

「学校保健統計調査」というのは、文科省が「幼児・児童・生徒の発育・健康状態を明らかにすること」を目的に、1948年から毎年実施している。全人数の25%を対象にしているから、抽出調査ではあるが、確度はかなり高い。今回の調査では、子どもたちの虫歯が大幅に減っていることも判明した。

裸眼の視力1%の人を「目が悪い」と言えるのかどうかには疑問もある。しかし過去のデータと比べてみると、子どもたちの目が悪くなってきたことは否定できない。たとえば1970年の調査では、小学生の「1.0以下」は17.91%だった。それが今回の調査では、ほぼ2倍に増えている。中学生や高校生の割合も、大幅に増加した。

こんな調子が続けば、21世紀後半の日本人は白い杖をつく人ばかりになるかもしれない。最近、子どもたちの英語や長文の読解力が落ちたと問題になっているが、視力の低下の方がもっと重大ではないか。なぜ子供たちの視力が低下してきたのか。その原因を徹底的に追及して対策を講じないと、取り返しのつかないことになる。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -87.20円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   
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100倍に薄めたら : 原発処理水 (下)

2019-12-27 07:48:18 | 原発
◇ ≪10万分の1≫にして海に流す = 福島第1原発の敷地内に林立するタンクに貯め込まれた120万トンの処理水。そこに含まれる放射性物質トリチウムの量は、ごく微量だ。大気中に自然に含まれているトリチウムの濃度の1000分の1だという。だから国際的にも海に流すことが認められており、世界中の原発や日本国内の原発も、同様の処理水を海に放出している。

しかし地元の漁業者は、この程度の説明では納得しない。原発事故のあとの風評被害で、魚が全く売れなくなった。最近になって、ようやく売り上げも回復してきた。そこへ処理水を海に流せば、再び風評被害に見舞われるのではないか。漁業者たちの心配も、よく理解できる。そこで解決策を――。

海岸に大きなプールを作り、そこで処理水に海水を加えて100倍に希釈する。つまりトリチウムの濃度を、自然濃度の10万分の1にまで薄めるわけだ。これを少しずつ海に流す。さらに総理大臣とまでは言わないが、経済産業相や環境相は幹部を引き連れて現地をたびたび訪れ、獲れた海産物を食ってみると約束する。

これから日本中で 老朽化した原発の廃炉作業が始まる。汚染水どころか、放射能にまみれた汚染物質、さらには使用済みの燃料棒などが大量に出てくることは明らかだ。政府は困難なコトを先送りすることを止め、もっと毅然とした行動をとらなければ、問題の解決は覚束ない。福島原発の処理水を処理する方策に6年の歳月をかけているようでは、全く先が思いやられる。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +142.05円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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100倍に薄めたら : 原発処理水 (上)

2019-12-26 07:50:58 | 原発
◇ 空中散布は問題を拡散させるだけ = 経済産業省は23日、福島第1原発で溜った処理水の廃棄案を初めて公表した。その内容は①薄めて海に放出する②蒸発させて大気中に放出する③その両方を併用する――の3案。有識者会議が6年にわたって検討してきた結果だが、実施時期については言及していない。風評被害を恐れる地元では、早くも3案すべてに反対する声が高まっている。

福島第1原発では、溶融した核燃料を冷却するために使った水に、大量の放射性物質が含まれる。これが汚染水。この汚染水から、化学的処理で放射性物質を除去した水を、処理水と呼んでいる。ただ放射性物質のうち、水素によく似た性質を持つトリチウムだけは、現在の技術では完全には除去できない。

このため福島原発では現在、敷地内に991基のタンクを造って処理水を貯め込んでいる。処理水は毎日170トンずつ増えており、貯蔵量は120万トンに及ぶ。タンクを増設するための敷地にも制約があり、東京電力では「22年夏ごろには限界になる」と予測している。つまり、この辺で何とかしないと処理水があふれ出す。そんなギリギりの状態になったために、やっと処理方法の具体案を公表したわけだ。

最大の難関は、地元の風評被害。これから地元を説得しなければ、処理水を減らすことはできない。その観点からみると、処理水を蒸発させる方法は農業者を巻き込むことになり、問題を拡散させるだけ。したがって、方法はやはり海に流すしかないと言える。では、どうしたら風評被害をなくし、漁業者にも納得してもらえるのだろうか。

                             (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 下げ -47.71円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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