経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

コロナにも負けず : 小売り業

2021-08-31 07:04:40 | 景気
◇ コロナ前に比べて0.5%の減少まで回復 = 経済産業省は30日、7月の商業動態統計を発表した。それによると、商業販売の総額は46兆5990億円で前年比9.6%の増加。そのうち小売り業の販売額は12兆7300億円で2.4%の増加だった。これで5か月連続の増加。業種別では燃料小売り業が前年比27.7%伸びたほか、自動車小売り業が3.1%、織物・衣類・身の回り品小売り業が2.9%、飲食料品小売り業も2.5%の増加だった。

業態別にみると、デパートが4458億円で2.6%の増加。スーパーは1兆7138億円で0.8%、コンビニは1兆0484億円で6.1%増加した。また家電大型量販店は4422億円で2.9%の減少、ドラッグストアは6339億円で2.2%の増加、ホームセンターは2941億円で2.4%の減少だった。昨年7月は巣ごもりの最中だったため、いずれもその反動という面が強い。

そこで経産省は、コロナの影響がなかった19年7月との比較も発表している。それによると、小売り業の販売総額は0.5%の減少。ほとんどコロナ前の水準に戻している。家電量販店の回復が一番大きく、前々年比は8.9%の増加。次いでホームセンターが7.9%、ドラッグストアが7.8%の伸び。一方、スーパーも5.3%増加したが、コンビニは2.3%の減少、デパートは17.7%の減少だった。

商業動態統計は、全国2万5000の事業所を対象に主として販売額を調査している。一般にコロナによる外出規制などで消費が落ち、小売り業は苦境に陥っていると言われるが、この動態統計からみる限り、全体としては善戦している姿が浮かび上がる。結局、業種別では居酒屋などの飲食店と旅館などの宿泊サービス業、それにデパートが性悪のコロナ禍を抱え込んだ形になっているようだ。

        ≪30日の日経平均 = 上げ +148.15円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2021-08-30 07:52:45 | 株価
◇ 株式市場に秋の気配? = ダウ平均は先週336ドルの値上がり。相変わらず、しぶとく上昇した。パウエルFRB議長の「年内に緩和政策の縮小開始」を再確認する発言や、アフガニスタンを巡る大混乱も大きな下げにはつながらない。ただコロナの収束が見通せないことから、内需関連株は売られた。その一方で、資金はIT関連株とインフレに強い銘柄に集中している。

時価総額の大きいIT銘柄が買われるため、平均株価は上昇する。しかし銘柄数の多い景気関連株が値下がりしているため、市場の空気は重苦しい。これまでとは違って、投資家は冷たい風をも感じ取っているようだ。こうした微妙な変調が一時的なものかどうかは、まだ判断できない。カギはコロナ再拡大の勢いと、物価の動向が握っている。

日経平均は先週628円の値上がり。ニューヨーク株の上昇に引っ張られた。ただ戻り売りも多く、ニューヨークのように相場をけん引する銘柄も乏しい。それで2万8000円を、どうしても回復できない。そのうえ自民党が横浜市長選で敗れ、秋の政局は混迷の度を深めた。ニューヨークしだいの相場だが、足取りは重そうである。

今週は30日に、7月の商業動態統計。31日に、7月の労働力調査と鉱工業生産、8月の消費動向調査。1日に、4-6月期の法人企業統計と8月の新車販売。アメリカでは30日に、7月の中古住宅販売。31日に、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、ISM製造業景況指数。2日に、7月の貿易統計。3日に、8月の雇用統計とISM非製造業景況指数。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (76)

2021-08-28 07:51:36 | なし
◇ 不可解なコロナ・ウイルスの変容 = 世界の感染者数は累計2億1392万人、この1週間で461万人増加した。死亡者数は446万3845人で、7万0831人増えている。感染者・死亡者ともに増加数はやや拡大した。ところが地域別・国別にみると、コロナ・ウイルスの勢いはかなり変化していることが判る。ワクチン接種が進んだアメリカやイスラエルでの感染者・死亡者が拡大する傾向なのに、ブラジルやインドなどワクチン接種が進まない国では勢いが衰えた。理由は全く判らない。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計63万2310人で8019人の増加。前週より勢いが強まった。ブラジルは57万6645人で、週間4983人の増加だった。インドは43万6365人で3915人の増加。しかしブラジルもインドも、増加数は目立って縮小している。あとメキシコは25万5452人で4983人の増加。ロシアが17万人台、イギリスとインドネシアが13万人台と続いている。

アメリカやイスラエルは、ワクチン接種の完了者が人口の7割近くに達している。だが感染者・死亡者は、再び急激に増え始めた。7割程度の接種者では、感染拡大を防げないらしい。ところがインドやブラジルでは、感染者の増加数が大幅に減っている。またアルゼンチンやコロンビアなど、いずれもワクチン接種が進んでいない国で、感染拡大の勢いが止まった。たとえば中南米全体でみると、感染者の増加数は6月のピークに比べて半減した。

日本の感染者数は累計139万3082人。この1週間で16万1330人増加した。前週の増加数より2万人近く増えている。死亡者数は1万5809人で265人増えた。前週より80人拡大している。状況はまだ悪化中。政府は21都道府県に緊急事態宣言、12県にまん延防止措置を発令したが、効果はまだ表われない。そうしたなかで新学期が始まり、自民党の総裁選挙が実施される。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -101.15円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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電気ショックの 自動車産業 (下)

2021-08-27 07:44:08 | 自動車
◇ 日本メーカーが抱える複雑な悩み = 日本政府は「35年までにすべてを電動車にする」と公約した。だが。この電動車にはEVだけでなく、HVも含まれている。日本メーカーはHVの製造技術に優れているから、これを外すわけにはいかない。だから35年になっても、国内ではHVが売れる。またアメリカと中国では、制限付きだが販売できる。東南アジアなどの新興国でも大丈夫だろう。しかしEUでは売れなくなる。したがって日本メーカーは、EVとHVの二通りの工場を動かし、開発投資もしなければならない。

現状でも、日本のEVは同等のガソリン車に比べて100万円ほど高い。これからEVとHVの二兎を追いながら、海外のEV専業メーカーと闘えるのだろうか。すでに中国製の小型EVは50万円という安さ。佐川急便が7200台の購入を決めるなど、国内での競合も始まっている。高級EVはテスラ、安価な小型EVは中国製という評価が定まりつつあるなかで、日本メーカーはどんなEVを目指そうとしているのだろうか。

いくらEVが普及しても、それを走らせる電気が汚ければ地球温暖化ガスは減らせない。この問題に対処するため、EUは「国境炭素税」の導入を検討している。たとえば鉄鋼やアルミなど、汚い電気で造られた製品の輸入に税金をかけるわけだ。日本は発電の大半を石炭火力によっているから、自動車もこれに引っかかる可能性が高い。政府の脱炭素政策が進展しないと、この問題は解決しない。

EVには蓄電池が欠かせない。いかに安価で効率のいい蓄電池を開発できるか。今後のEV競争は、ここに尽きると言えるだろう。日本の電池技術は世界のトップ・ランク。次世代電池の開発で常にトップを走るためには、産官学で構成する司令塔が必要ではないか。政府は電池関連産業を戦略産業と位置づけたが、何となく勢いが感じられない。危機感がないと、日本は自動車産業をも失いかねない。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +17.49円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫     
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電気ショックの 自動車産業 (中)

2021-08-26 07:38:25 | 自動車
◇ 零細企業でもEVは造れる = 「いま世界にEVメーカーは何社あるの?」と聞かれても、答えられない。アメリカで早くからEV専業メーカーとなったテスラが、生産でも販売でも断トツ。GMやトヨタなどの大メーカーはもちろん、電気メーカーやIT企業、さらに町工場のような中小・零細企業に至るまでが参入しているからだ。ガソリン車の製造は高度の技術を必要とするから、誰にでも出来るわけではない。しかしEVは、カネさえあれば簡単に参入できる。

一般的に言って、ガソリン車の部品は約3万。これに対して、EVの部品は1万5000程度。さらにガソリン・エンジンは構造が複雑だが、電気モーターは簡単に組み立てられる。たとえば町工場がモーターを製造、ボディを外注すれば、EVをすぐに売り出せる。だからメーカーは激増し、競争は激化する。

大変なのは、ガソリン・エンジンのメーカーと下請けの部品会社である。ドイツのダイムラーとフォルクスワーゲン、アメリカのGMとフォードは、すでに大量の早期退職者を募集した。自動車の製造部門に携わる人員は、アメリカが90万人、ドイツが80万人。そのドイツでは、EV化によって39万人が職を失うという試算が発表されている。ちなみに日本の場合、製造関連の雇用者は91万人、そのうちの69万人が部品関連となっている。

IEA(国際エネルギー機関)の集計によると、20年のEV、PCV販売は世界で300万台。前年より41%増加した。このうちヨーロッパが140万台、中国が120万台。この両国で大半を占めている。メーカー別ではテスラが50万台で断トツ。あとはGMやワーゲンなど既存の大メーカーが上位を占めているが、日本のメーカーは上位10社に名を連ねてはいない。

                             (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 下げ -7.30円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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