経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

燃料の輸入代金が 激増 : 21年度

2022-04-22 07:51:50 | 貿易
◇ これでは景気はよくならない = 財務省は20日、21年度の貿易統計を発表した。それによると、輸出は85兆8786億円で前年度比23.6%の増加。過去最大を記録している。一方、輸入は91兆2534億円で、輸出を上回る33.3%の大幅な伸び。この結果、貿易収支は5兆3749億円の大赤字となっている。ウクライナ戦争の影響でエネルギーや資源・食料品の価格が高騰、円安の進行が加わって輸入価格が大きく押し上げられた。

食料品や木材・鉄鉱石などの原材料をはじめ、ほぼすべての品目で輸入金額が増加した。なかでも際立って増加したのが、エネルギーの輸入代金。原油・天然ガス・石炭など鉱物性燃料の輸入額は19兆8002億円にのぼった。数量は伸びていないのに、金額は前年より87.0%も増えている。戦争の影響とはいえ、異常な激増ぶりだ。

鉱物性燃料の輸入先は、半分近くが中東地域。輸入金額は9兆1320億円で、前年比95.1%も増加した。これらの輸入代金は、企業や家計が電気・ガス料金、あるいはガソリン代の値上がりという形で支払っている。20年度の鉱物性燃料の輸入額は10兆5878億円だったから、21年度はそれより約9兆円多い。それだけ企業や家計の負担が重くなったことを意味している。

仮に9兆円というおカネが海外に流出せず国内にとどまったとすれば、大部分が消費や設備投資に回っただろう。それがなくなってしまった状態で、景気がよくなるはずはない。したがって、いまは国内のエネルギー自給率を少しでも上げる努力をすべきである。ところが政府は原発にも手を着けられず、ガソリンへの補給金でお茶を濁している始末だ。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +335.21円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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貿易赤字の元凶は 対中国

2019-10-23 08:11:47 | 貿易
◇ 上半期の赤字は1兆8860億円に = 財務省は21日、9月と今年度上半期の貿易統計を発表した。それによると、9月の輸出は6兆3685億円で前年比5.2%の減少。輸入は6兆4915億円で1.5%の減少だった。輸出の減少は10か月連続。この結果、貿易収支は1230億円の赤字となった。輸出では自動車部品・半導体製造装置・金属加工機械などが大きく減っている。

4-9月期でみると、輸出は38兆2332億円で前年比5.3%の減少。輸入は39兆0812億円で2.6%の減少。この結果、貿易収支は8480億円の赤字となっている。輸入の減少は、中東からの原租油輸入が減ったため。国内の景気鈍化が影響したものと考えられる。また輸出面では、アメリカ向けが8月から前年を下回り始めたことが気にかかる。

貿易収支が赤字に転落した主な原因は、中国向けの輸出が急落したことに求められる。上半期の統計でみると、輸出は7兆2337億円で前年を9.1%も下回った。輸入は9兆1198億円で1.1%の減少。この結果、中国との貿易赤字は1兆8860億円と巨額にのぼっている。仮にこの赤字幅が半分だったとすると、上半期の貿易収支は黒字だったことになる。

現在の日本は資本収支で大幅な黒字を出しているから、貿易面で多少の赤字になっても問題は起こらない。しかし輸出の大幅な減退が景気の足を引っ張ることは、言うまでもない。景気の面から言うと、大幅な貿易赤字は好ましくないことになる。そんな赤字が今後も続くのかどうか。その答えは、中国経済が握っていると言えるだろう。

         ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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不気味な 日米貿易交渉 (下)

2019-07-25 07:53:41 | 貿易
◇ 安保問題がからむと弱い日本 = これまでの交渉でアメリカ側がちらつかせている伝家の宝刀は、日本製自動車への高関税あるいは数量規制。日本の対米輸出は完成車と部品を合わせて、18年に5兆5000億円にのぼった。本当に規制されたら、日本のメーカーは壊滅状態に陥るだろう。このため日本政府もアメリカ産農畜産物の輸入増加や防衛装備の大量買い付けなどを提案、懸命に防戦している。

そんな折に、ジョン・ボルトン大統領補佐官がひょっこり来日した。国連大使を務めたこともある外交官の出身で、トランプ政権内でも群を抜く対外強硬派だ。河野外相や岩屋防衛相と会談、北朝鮮問題やトランプ大統領が言い出したホルムズ海峡を守る有志連合について話し合ったとみられている。したがってボルトン氏の来日は、表向き貿易交渉とは関係がない。

だが有志連合の問題は、日本にとって非常に厳しい。自衛隊の派遣は国内で議論を巻き起こすし、派遣すればイランとの関係が悪化しかねない。しかし日本が輸入する原油の64%が、ホルムズ海峡を通過していることは事実。それをアメリカに守ってもらうことになれば、何らかの対価を払わざるをえない。

その分が貿易交渉に跳ね返る可能性は、決して小さくはないだろう。ボルトン氏がそこまで言及したとは思えないが、結果的にそこへ落とし込まれることは十分にありうる。経済界はそうなることを憂慮しており、農家も自動車メーカーも息を凝らして見守っている。だから株価も上がりにくい。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +88.69円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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トランプ大統領の 泣きどころ (下)

2019-07-04 07:43:59 | 貿易
◇ トランプvs習のハラの読み合い = 制裁関税第4弾には、家電や衣料品などの消費財が多く含まれる。したがって、これらの販売価格が値上がりすると、個人消費にブレーキがかかるかもしれない。また貿易戦争の激化を嫌気して株価が下がると、景気は悪くなる。さらに物価が上昇すれば、FRBが金利の引き下げに踏み切れない。大統領選挙の前に景気が悪化することは、絶対に避けねばならない。トランプ大統領はこう考えて、第4弾の発動を思いとどまったのではないか。

要するに“選挙第一”。選挙前に有権者を敵に回すような政策は、とらない方が賢明だ。しかしアメリカ国内には対中強硬派も少なくないから、中国に対して弱みをみせるわけにはいかない。そこで中国との貿易交渉は、とりあえず継続しておく。いつでも第4弾は発動できるぞと脅かしながら、ときには甘い提案も小出しにして交渉を長引かせる。

こうして来秋の大統領選挙で再選を果たせば、こっちのもの。あとは何の心配もなく、やりたいことがやれる。大胆にトランプ大統領のハラのうちを探れば、こういうことになるのではないか。そして重要なのは、おそらく習近平主席もそのことに気付いているということ。その結果、交渉を急がない姿勢を公然と見せているのだろう。

仮に大統領選挙でトランプ氏が負ければ、民主党から大統領が選ばれる。民主党は中国の人権問題にはうるさいが、貿易戦争は仕掛けてこない。だから現在の貿易交渉は続けるが、急ぐことはない。こちらも甘い提案を小出しにして、会議を長引かせる。もしトランプ氏が再選されたら、そこから真剣勝負が始まる。それまでに中国経済の強化に全力を挙げる。習氏のハラは、こうではないか。

       ≪3日の日経平均 = 下げ -116.11円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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米中双方の アキレス腱は?

2019-05-24 07:55:07 | 貿易
◇ 中国は失業増、アメリカは株価下落 = トランプ大統領は、中国からの輸入品すべてに25%の関税を課すことになった。中国側もこれに対抗して、アメリカ製の600品目に最大25%の報復関税をかける。両国はまだ交渉を続けているが、解決の糸口はいぜん見えない。こうした関税引き上げ競争はすでに両国の経済に悪影響を及ぼしており、互いに我慢比べの様相を濃くしてきた。

高関税の影響は、まず貿易面に現われる。中国税関総署が発表した4月の貿易統計をみると、アメリカ向けの輸出は前年比13%の減少。アメリカからの輸入は26%と大きく減った。しかし中国の総輸出額に占めるアメリカの割合が19%なのに対し、アメリカの中国向け輸出は8%ほどなので、痛手は中国側の方が大きいかもしれない。

またIT関連を除けば、中国の輸出品は価格競争力が弱い雑貨・家具・玩具などが多い。これらの製品の多くは、中国側が上乗せ関税分を値引きして負担しているようだ。一方、アメリカの輸出品は自動車やIT製品が多く、報復関税はそのまま上乗せされ、市場価格は上昇しているという。

ただ程度の差はあっても、両国ともに打撃は受けている。たとえばトランプ政権も、中国向け輸出が激減した大豆生産農家に対しては補助金を支給した。こうして両国とも、いまは我慢比べの態勢。そうしたなかで習政権が最も恐れるのは経済成長率がさらに低下し、失業者が増大すること。一方のトランプ政権が恐れるのは、株価の下落で選挙を前にして大統領の支持率が落ちること。FRBに「1%利下げしろ」と迫っているのも、そのためだ。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -132.23円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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