経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

大ピンチ! 介護職員が足りない(下)

2024-03-15 07:32:35 | 介護
◇ 大きな社会問題に発展する可能性 = 高齢化の進展で、福祉関係の費用が急激に増大している。たとえば、この20年間で医療費は6割、年金は5割も増えている。しかし介護費は別格、なんと4倍に跳ね上がった。00年の3兆3000億円が、23年には13兆5000億円に膨張している。この勢いは今後も衰えず、要介護者は00年の218万人から、40年度には2100万人に増大する見込みだ。

当然、必要な介護職員の数も急増する。厚労省によると、21年度に215万人だった介護職員は、25年度には243万人、40年度には280万人が必要になると推計した。だが、そんなに人を集められるとは考えられない。政府はセンサーによる見守りシステムや介護ロボットの導入に補助金を出して、生産性を向上させる方針。東京都などは見かねて、1人1-2万円の賃上げ支援金を出すことになった。

また政府は、外国人の活用にも力を入れることになった。しかし外国人にとって、介護は最もやりにくい仕事ではないだろうか。しかも賃金が安いのでは、外国人も集まらない。だいたい、介護は体力も神経も使う仕事。それなのに給料が低ければ、働き手が増えるはずもない。「でも政府が仕切る公共事業で、財源がないから仕方がない」というのが、現在の雰囲気だろう。しかし介護の必要な人で支援を受けられない人が何十万人も出れば、大変な社会問題になることは間違いない。

この際は、現行の介護制度を抜本的に見直す必要があるのではないか。介護報酬の原資となる保険料やサービス料金については、高所得者に限ってある程度まで引き上げる。そして税金については、予算の思い切った削減で数兆円の資金を捻出する。介護報酬の支出は、事業所の経費と職員の賃上げを初めから分けて支給する。現行の3年に1度の見直しを毎年行う--など。政府はもっと真剣に対処しないと、状況はどんどん悪くなる。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +111.41円≫     

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

大ピンチ! 介護職員が足りない(上)

2024-03-14 07:40:55 | 介護
◇ 来年は32万人も不足する見込み = 「22年ショック」という言葉が、介護関係者の間で定着している。この年、介護職員を辞めた人が61万人に達し、新たに就職してきた人を6万3000人も上回った。職員の数が純減したのは初めてのことで、ショックが業界を駆け巡った。主な原因は、給与の伸び悩み。物価が大幅に上昇したため、生活が苦しくなってしまった。しかし介護職員の給与は、政府が決める“公定価格”。財源が厳しく、思うように上げられない。

「25年問題」という言葉が、いま関係者の間に浸透しつつある。もう来年の話だが、あの団塊の世代590万人が75歳以上になる。当然、介護の必要な人が急増するが、介護職員の確保が追い付かない。32万人が不足するだろうと推計されている。だが、とにかく給与が低いから、人が集まらない。たとえば22年の平均給与は月額29万3000円。全産業の平均よりも6万8000円低かった。

政府も介護職員の賃上げに乗り出した。現在の仕組みは、①税金②40歳以上が納める保険料③利用者の自己負担--を原資とした介護報酬が、介護事業者に支払われる。その報酬を24年度は1.59%引き上げることを決めた。このうち0.98%分は、職員の賃上げに充てられることになっている。厚労省はこの結果、介護職員の平均給与は24年度に7500円、25年度に6000円引き上げられると試算した。

だが、これでは2年間で1万3500円の賃上げにしかならない。他産業の賃上げ幅が大きくなればなるほど、格差は開くばかり。効果はきわめて疑わしい。しかし、これ以上の賃上げをするための原資がない。今回も政府は①高所得者の保険料引き上げ②自己負担2割の対象者拡大--などを考えたが、反対論が強く結論を先送りしてしまった。だから「25年問題」を解決できる見込みは、いまのところ全くない。

                    (続きは明日)

        ≪13日の日経平均 = 下げ -101.54円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

老人介護は 外国人頼み (下)

2018-02-23 07:19:43 | 介護
◇ 背に腹は替えられない = 厚生労働省の推計によると、高齢化の進展で25年度には250万人の介護職員が必要になる。ところが、このままでは37万7000人の不足が見込まれるという。この不足分を外国人の力で、どこまで埋められるかという問題になってきた。そこで政府は16年に法律を改正し、それまでは製造業や建設業に限ってきた技能実習生制度を介護にも認めることに。対人サービス業にも、初めて門戸を開いたわけだ。

この制度による実習生は、間もなく日本にやってくる。しかし日本で介護の職に就くためには、養成学校で勉強し国家資格を取得しなければならない。そこには日本語という大きなカベがある。たとえば、これまでにもFTA(自由貿易協定)の取り決めによって、インドネシアなど3か国から2800人の介護実習生が来日した。しかし国家試験に合格したのは、そのうちの2割にも満たない。

じっさい、日本語や特に専門用語を会得するのは難しい。しかも介護される老人の言葉は聞き取りにくく、耳も遠い。生活習慣も異なっている。外国人にとっては、最も参入しにくい職場とさえ言えるだろう。しかし日本人の若者がやりたがらないから、仕方がない。背に腹は替えられず、やってみるしかないという状況だ。

外国人を雇い入れる介護施設の方にも、課題はある。長時間労働を課したり、賃金の未払いなど。どうしたら根絶できるのか。外国人を下働きのように使うことはないのか。いま居酒屋では「お銚子一丁」などと叫ぶ外国人も、珍しくはなくなった。5年後、10年後に、介護施設に外国人が溶け込んでいるかどうか。大いなる実験とも言える。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -234.37円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


老人介護は 外国人頼み (上)

2018-02-22 08:16:44 | 介護
◇ 就業者50人に1人は外国人 = 厚生労働省の集計によると、17年10月末時点の外国人労働者は128万人。前年より18%増加した。就業者人口の約2%に当たるから、日本で働いている人の50人に1人は外国人という時代になった。この5年間では約2倍に増加。外国人を雇用する事業所も19万5000か所に増えている。

国籍をみると、中国人が37万人でトップ。次いでベトナム人、フィリピン人となっている。ただ17年中に急増したのはベトナム人とネパール人で、それぞれ4割増、3割増を記録した。形態別にみると、学者・医療関係者・技術者・調理師など高度な資格を持つ就業者が24万人。製造業や農業で働く技能実習生と、サービス業などでバイトをしている留学生が、ともに26万人ずついる。

日本の人口は急速に減り始めており、その影響が人手不足となって現われている。それを補う戦力としての外国人は、いまや企業にとっても経営を左右する重要な存在となってきた。特に最近は、飲食サービス業で働く外国人が目立っている。しかし外国人留学生が本来の目的である学業を放棄し働く例も多く、問題となっていることも確かだ。

日本人の若者は、きつい仕事を敬遠しがち。そうした隙間に、外国人労働者が入り込んでいるとも言えるだろう。そうした分野の一つに、介護の仕事も浮上してきた。しかし介護は、人の命に直結する仕事でもある。どうしたら、外国人にうまく働いてもらえるのか。政府もようやく、この問題と真剣に取り組み始める。安倍首相の指示で、内閣官房に検討チームを作り、6月までに対策をまとめることになった。

                             (続きは明日)

      ≪21日の日経平均 = 上げ +45.71円≫

      ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ


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