経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2019-09-30 08:08:48 | 株価
◇ いよいよ10月入り = ダウ平均は先週115ドルの値下がり。これで4-9月期は891ドルの上昇となった。FRBの政策金利引き下げや米中交渉の再開などに助けられたが、基本はカネ余りによる金融相場。しかし世界経済は下向いているので、上値は重かった。10月に入っても状況は変わらず、米中交渉に進展がみられるか。10月末に予定されるイギリスのEU離脱がどう転ぶかなどが、いぜん焦点となるだろう。

日経平均は先週200円の値下がり。4-9月期では673円の上昇だった。ただ、こちらは9月になってから割安感が意識され、28日までの上昇幅は1100円を超えている。国際的な環境はニューヨークと同じだが、東京の場合は消費増税の影響が不安要因の一つになってしまう。まだPER(株価収益率)は12倍台と低いが、大幅な上昇はムリだろう。

あす10月1日は、中国の建国70周年。ここで習政権が財政面からの景気テコ入れ策を打ち出すかどうか。また中国では7連休となるので、来日する旅行者数は増えるに違いない。ただ全体としてみれば、株価と実体経済との乖離はますます増大して行く。たとえば1日に発表される日銀短観、4日に発表されるアメリカの雇用統計が、その乖離を浮き彫りにするかもしれない。

今週は30日に、8月の鉱工業生産と商業動態統計。1日に、9月の日銀短観と新車販売、8月の労働力調査。2日に、9月の消費動向調査。アメリカでは1日に、9月のISM製造業景況指数。3日に、9月のISM非製造業景況指数。4日に、9月の雇用統計と8月の貿易統計。また中国が3日に、9月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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進次郎氏 大臣修行の旅立ち

2019-09-28 08:11:15 | 政治
◇ 環境大臣ではモノ足りない? = 小泉進次郎氏が環境相に就任してから10日。早くも話題をまき散らしている。まず就任直後の記者会見では、福島原発の汚染水について原田前環境相が「海洋放出しかない」と発言したことを批判。海洋放出はしないという姿勢を明らかにした。続いて22日には国連本部で開かれた気候変動問題に関する会合で演説。温暖化ガスの排出抑制について「日本は本気でやる」と大見えを切っている。

しかし環境相の権限は、きわめて限られている。汚染水を放出するかどうかの決定権は経済産業省が握っており、環境省は海が汚染されなければ仕事にならない。温暖化ガスの放出抑制も、管轄は経産省。たとえば再生可能エネルギーを増やす政策をとるかどうか、の決定権も環境省にはない。

進次郎氏が、個人の意見を述べるのは勝手だ。だが大臣として公の場で発言すると、ふつうの人は政府の方針が変わると判断してしまう。特に国連でのスピーチは、聴衆が外国人だ。日本の環境省がどんな権限を持っているかなど、知る由もない。話の内容が正しいとしても、これは一種のフェイク・ニュースになってしまう。

聡明な進次郎氏のことだから、この辺のことは十分にご存じなのだろう。でも、やっぱり言い方にはもう少し注意した方がいい。また閣僚の一人として、総理大臣や経済産業大臣を説得することも可能だ。有権者の多くは、若い大臣の突発的な発言よりも、そういう能力に期待しているのではないか。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -169.34円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   
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悪路にはまった 自動車産業 (下)

2019-09-27 07:40:49 | 自動車
◇ 歴史的な転換期に突入? = 世界的な自動車販売の不振は、各国経済の鈍化が主たる原因だ。加えて国ごとに、固有の問題点も指摘されている。たとえばインドの金融不安によるローンの貸し渋り、中国の過剰になった個人の債務など。だが、それだけではなく現在の自動車業界は、歴史的にみて大きな転換点にさしかかったという見方も強まっている。

たとえば急速に発展してきたEV(電気自動車)化の問題。11年ごろから急増しており、18年には世界で140万台近くが売れた。ガソリン・エンジンに比べると電気モーターの構造は圧倒的に簡単で、異業種が新規に参入しやすい。それだけ競争は激しくなる。従来からの自動車メーカーは、むしろ不得手なバッテリーの分野で競わなければならない。

さらに自動運転の問題。技術開発は進んだが、完璧な安全性はまだ望めない。もし事故が起きると、メーカーの賠償責任はどうなるのか。事故を起こした車種の売れ行きは、致命的に減少してしまうだろう。ほかにもガソリン車についての排ガス規制。また車を保有しないシェアリングの普及。若者の車離れ・・・業界にとっては大問題が山積している。

T型フォードが発売されてから110年あまり。自動車産業は、多くの国にとって経済を支える主柱となった。メーカーだけでなく、部品や販売など関連産業も幅広い。その自動車業界がいま販売不振に悩んでいるが、これが一時的な現象なのか。それとも大変動が起こる前触れなのか。転換期に突入した可能性の方が強いと思う。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +28.09円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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悪路にはまった 自動車産業 (上)

2019-09-26 08:36:56 | 自動車
◇ 日本以外は軒並み販売不振 = 世界中の自動車メーカーが、新車の販売不振に苦しんでいる。特に凋落が著しいのは、世界最大の市場である中国と、第5位のインド。ほかにアメリカやヨーロッパ諸国、東南アジアなどでも、販売台数の前年割れが目立っている。その原因はいろいろだが、共通点は景気が下降していること。そうしたなかで、日本だけが前年比プラスの傾向を保っている。

中国の8月の新車販売台数は196万台。前年比で6.9%の減少だった。これで前年割れは14か月連続。昨年は年間ベースで28年ぶりに前年を下回ったが、ことしも前年割れとなるのは確実とみられている。景気の減速で家計債務が増大していること。米中経済戦争への不安。さらに株価の下落などが原因だ。政府は交通渋滞を緩和するための発売規制を撤廃するなどの対策を講じているが、その効果はまだ現われていない。

インドの状態は、想像を絶するほどだ。7月の新車販売台数は前年比30%減、続いて8月も33%の減少となった。大手金融機関が債務不履行を惹き起こし、自動車ローンを借りにくくなったことが最大の原因。この結果、タタ自動車が4-6月期決算で最終赤字に転落。この1年半で、270の販売店が倒産した。世界のなかの市場規模も、ドイツに抜かれて4位から5位に落ちている。

アメリカの新車販売も、4-6月期は前年比1.5%の減少。EUは5月までで9か月連続の前年割れとなった。またインドネシアは7月に前年比17%の減少、マレーシアも26%の減少となっている。こうしたなかで、日本は7月が前年比4.1%、8月が6.7%と増加を続けている。ただ10月以降は消費増税の影響が、どう現われるか。見通しは難しい。

                               (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 下げ -78.69円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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トランプ大統領の 大きな誤算

2019-09-25 07:29:29 | トランプ
◇ 中国の耐久力を見誤った = トランプ大統領が中国製品に対する関税引き上げ第1弾を発動したのは、昨年7月だった。その後も第4弾まで輸入規制を拡大。現在では輸入する中国製品のほとんどに、高い関税がかけられている。このため中国の対アメリカ輸出は大幅に減少、たとえば8月の輸出額は前年比16%も減った。鉱工業生産が低迷し、GDP成長率も政府が目標とする6%を割り込みそうだ。ところが中国政府は音をあげず、貿易交渉でもアメリカに譲歩をしてこない。

この中国の粘り強さは、トランプ大統領にとって予想外だったに違いない。歴史的にみても、中国人の耐久力の強さは証明されている。しかも現在の中国は共産党の一党独裁で、財政や金融政策を意のままに動かせる。企業や国民の不満も、割と簡単に抑え込める。習近平主席は、長老会議で一任を取り付けるなど万全の態勢を整えていた。

ひるがえってアメリカの状況をみると、中国製品の流入を抑制したにもかかわらず、鉄鋼や自動車の業績は一向によくならない。中国側の報復関税によって、農業は大きな打撃を受けている。また消費財の値上がりで、小売り業界や消費者からの苦情も出始めた。ところが財政は議会、金融はFRBが権限を握っているから、トランプ大統領といえども中国のようにすべてを動かすことはできない。

来年11月には大統領選挙。もう前哨戦はスタートした。このまま進んで行くと、米中経済戦争は大統領選挙のマイナス要因になりかねない。そこで戦術転換。その第1歩として、強硬派のボルトン補佐官を切り捨てた。新しい方向は、懐柔戦術だろう。さて具体的に、どんな手を打つか。いまトランプ氏は、その具体策とタイミングを計ることに腐心しているに違いない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +19.75円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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