経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

日本人-84万人 外国人+24万人 (下)

2024-04-19 07:37:00 | 人口
◇ 人手不足はずうーっと続く = 生産年齢人口(15-64歳)は7395万2000人で、前年より25万6000人減った。ピークだった1995年に比べると15%も減少している。当然、人手は不足する。この人手不足を補う方策は大別すると4つ。①女性や高齢者を労働市場に引き出す②雇用の流動性を高める③外国人に来てもらう④機械化・ロボット化・AI化を進めて生産性を上げる--これらが効果を十分に上げなければ、人手不足は解消しないだろう。

女性や高齢者は、この20年間で300万人近くが新たに就職した。厚労省の調査によると、「15歳以上で職に就かず仕事を探していないが、働く気はある人」は233万人。この20年間で297万人減少した。このため、すでに限界に近いという見方が強い。また雇用の流動性を高めて‟適材適所”の働き方が増えれば労働効率も高まるが、実際にはなかなか難しい。

いちばん手取り早いのは、外国人労働者の誘致だろう。厚労省によると、昨年10月時点で働いていた外国人は204万9000人。前年より12.4%の増加、この10年間では2.9倍に増えた。ベトナム人と中国人が多く、建設や医療分野での就労が目立つ。しかし昨年10月までの1年間でみると、日本人労働者の減少分を3分の1も埋めていない。今後を展望すると、賃金水準の低さが最大のネックになりそうだ。

たとえばOECD(経済協力開発機構)の調査によると、独仏英の最低賃金は1時間1500円程度なのに対して、日本は1000円強。台湾や韓国よりも低い。しかも円安。これでは東南アジアの若者にとって、魅力ある働き場とは言えない。ロボット化やデジタル化も進むだろうが、全部をひっくるめても年間25万人の労働力不足は埋め切れない。人手不足は今後も長く続くと覚悟した方がいい。大不況に陥れば、話は別だが・・・。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +117.90円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本人-84万人 外国人+24万人 (上)

2024-04-18 07:33:25 | 人口
◇ 15年間で静岡県に匹敵する人口が消えた = 総務省は先週12日、23年10月1日時点の人口推計を発表した。それによると、総人口は1億2435万2000人で前年より59万5000人減少した。減少は13年連続。このうち日本人だけをみると、総人口は1億2119万3000人で前年比83万7000人の減少。外国人は315万9000人で24万3000人の増加だった。総人口のピークは08年の1億2808万人だったから、それから15年間で373万人も減ったことになる。

都道府県別にみると、人口が増えたのは東京都だけ。あとはすべて減少している。その東京都も死亡者数が出生者数を上回ったが、他地域からの転入が大きく、総計ではプラスになった。人口の減少率が大きかったのは、秋田・青森・岩手の東北3県。総人口はこの1年で約60万人減ったが、これは鳥取県の人口を上回る。また15年間では約370万人減ったが、これは静岡県の人口よりも大きい。

少子高齢化は、やはり進行した。65歳以上の高齢者は3622万7000人で、総人口に占める割合は29.1%と過去最大を更新した。一方、15歳未満は1417万3000人で全体の11.4%だった。この両者の間に位置するのが、生産年齢人口と呼ばれる15-64歳の年齢層。主として経済活動はこの年齢層が受け持つし、消費行動の中核ともなっている。

その生産年齢人口は7395万2000人。前年より25万9000人も減少した。この4月から運輸業・建設業・医師などに対する残業規制が実施され、多くの分野で人手不足が問題になっている。その根本的な原因が、この生産年齢人口の減少だ。最大の対応策は、外国人労働力の誘致。しか昨年10月の統計でみる限り、外国人の増加数は24万人。日本人の減少数84万人の3分の1にも達していない。

                       (続きは明日)

        ≪17日の日経平均 = 下げ -509.40円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不信の連鎖 少子化対策の支援金

2024-04-13 07:24:11 | 人口
◇ とても単純な誤りとは思えない = 3月29日。こども家庭庁が少子化対策の財源にする支援金について、1人当たりの負担額を試算し公表した。それによると、大企業の社員は月額500円、中小企業の社員は月額450円、公務員は600円。また自営業者は400円、後期高齢者は350円、低所得者は50円となっている。国民1人当たりの負担額は月450円。さらに賃上げが進めば「国民の負担は実質的にゼロになる」と、岸田首相が得々として解説した。

4月9日。こども家庭庁が、こんどは支援金に関する所得階層別の負担額を発表した。それによると28年度の負担額は、たとえば年収200万円の人だと月額350円、600万円だと1000円、1000万円だと1650円になるという。なぜか、この時点では後期高齢者や低所得者についての試算はない。また「負担は実質ゼロ」についての言及も消えてしまった。

日本の将来にとって、少子化の進行を出来るだけ食い止めることは非常に重要だ。だから多くの国民は3月9日の発表を知ったとき、「ワン・コインの負担で協力できるなら」と考えたに違いない。ところが、そのわずか10日後に発表された資産の内容は全く変わったものとなっている。たとえば夫婦共稼ぎでそれぞれの年収が1000万円あるとすると、負担額は年3万9600円にものぼる。500円玉の感触は、全く吹き飛んでしまうに違いない。

また自営業者や後期高齢者については、所得階層別にしないのか。地方税さえも払っていない低所得者に、月50円を負担させるのか。岸田首相は「実質ゼロ」発言を撤回しないのか。疑問は多すぎる。とても単純ミスとは考えられない。国民の負担を軽く見せようと画策した挙句の失敗だとしたら罪は重い。これでは内閣支持率も上がらない。

        ≪12日の日経平均 = 上げ +80.92円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (下)

2024-03-08 07:49:31 | 人口
◇ またもバラマキ、若者への配慮なし = 厚生労働省の発表によると、昨年の出生数は75万8631人で戦後最低。前年に比べて5.1%の減少、8年連続で前年を下回った。この減少率は想定を上回っており、少子化の進行が加速していることを示している。また昨年は婚姻数も48万9281組で、前年を5.9%下回った。岸田首相ならずとも、こうした現実には危機感を抱かざるをえない。

そこで政府が打ち出した少子化対策。はたして効果があるのだろうか。専門家の意見をまとめてみると、残念ながら「効果は希薄」ということになる。その最大の理由は、現在の子どもに対する支援を重視しすぎたこと。結果として、これから結婚し子どもを産む若者たちを無視した形になってしまった。したがって、将来の出生率向上にはつながりにくい。子ども重視は結構だが、少子化対策としては落第というわけである。

婚姻率の減少は、将来の雇用や所得に不安を抱える若者が増えたためだとの見方が多い。じっさい、バイトやパートで働く非正規雇用の若者に未婚者が多いことは、統計からも明らかだ。岸田内閣の新しい少子化対策は、この問題を全く疎かにしている。見方を変えると、政府は相変わらずのバラマキ作戦。将来を見通した戦略に欠けている。

国民の負担は、どうなるのか。この対策の効果は、どうなのか。--国会では、こうした点を十分に議論してほしかった。しかし自民党の“裏ガネ”問題に明け暮れ、その時間はほとんど無くなってしまった。新年度予算も年度内成立が確実となったから、少子化対策の関連法案もほとんど議論なしで成立してしまうだろう。きわめて残念だ。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -492.07円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (上)

2024-03-07 08:14:27 | 人口
◇ 国民の負担は実質ゼロなのか = 政府は「こども未来戦略」に盛り込んだ少子化対策の実現に必要な関連法の改正案を国会に提出した。その最大の柱は、児童手当の思い切った拡充。所得制限を撤廃し、支給対象の上限を現行の中学生から高校生にまで拡大する。また第3子以降に対しては、月額3万円を支給することになった。法律が成立すれば、ことし12月から実施する。岸田首相は「スピード感を持って実行に移して行く」と言明した。

さらに①親が就業していなくても、保育を受けられる「こども誰でも通園制度」を創設②両親がともに育休を取得した場合に、手取り収入が減らないようにする③子ども3人以上を扶養する世帯を対象に、25年度から大学や専門学校の授業料と入学金を支給する--などが新しい政策。岸田首相は少子化による人口減少を「わが国が直面する最大の危機」と捉え、これらの政策で出生率の反転上昇を目指す考えだ。

だが大きな問題は、必要な財源の確保。財源は24年度からしだいに膨らみ、28年度には3兆6000億円が必要になる。政府はこれを①新たに設ける「支給金制度」で1兆円②社会保障費の支出抑制で1兆1000億円③既定予算の組み換えで1兆5000億円--を捻出する方針。このうち新設する「支給金制度」は、公的医療保険料の徴収時に上乗せする形で負担してもらう。1人当たり月額500円の負担となるが、岸田首相は「負担は実質的にゼロとなるようにする」と公約した。

なぜゼロに出来るのか。岸田首相はこれについて「社会保障制度の改革と大幅な賃上げで、実質ゼロになる」と説明した。しかし社会保障制度の改革で、多額の資金を捻出できる見込みはきわめて小さい。また賃上げ出来なかった企業の社員は、どうなるのか。どうも岸田首相の「実質負担ゼロ」の公約は、守られそうにない。国会ではこんな疑問も解明してもらいたかったが、自民党の‟裏ガネ”事件追及で審議時間が圧縮されてしまった。

                       (続きは明日)

        ≪6日の日経平均 = 下げ -6.85円≫
 
        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>