経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

崖っぷちの 地方銀行 (下)

2019-05-31 08:01:26 | 銀行
◇ 店舗の統廃合や合併、人員整理へ = 人口の減少、ゼロ金利政策、競争の激化――これらの悪条件は、なにも地方銀行に限ったものではない。全国規模で展開するメガバンクや、地銀よりずっと狭い地域を基盤とする信用金庫も経営は苦しく、業績は悪化している。だがメガバンクは海外市場でも活動し、信用金庫は地銀よりも地域との密着性が強いという特性を持っている。多くの地銀には、これがない。

もちろん例外はあるものの、地銀の多くは競争力が弱い。歴史的に、地域の“顔”として安住してきたからである。そこへ大競争時代が訪れ、地銀はメガバンクと信用金庫に挟み撃ちされることになった。優良で規模の大きい顧客はメガバンクに、優良で規模が小さい顧客は信用金庫に奪われるというケースが続出している。

一般的に言って金融機関は、貸し出し難に陥ると信用度の低い顧客にも貸し付けるようになる。また証券や不動産投資でも、しだいに質の悪い物件に手を出すことになりやすい。景気が上昇しているうちは問題が起きないが、景気が下降に転じると、これらの案件は不良債権になることが多い。

金融庁や日銀は、いま地銀の経営破たんを警戒し始めている。金融機関の破たんは一気に伝染し、金融不安を惹き起こしかねないからだ。その予防のためにも、地銀の効率化が急がれる。店舗の統廃合や人員整理が進み、合併も盛んに行われるだろう。5年後に上場地銀の数が、いまの半分になったとしても驚くことはない。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -60.84円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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崖っぷちの 地方銀行 (上)

2019-05-30 07:56:43 | 銀行
◇ 上場地銀の7割が最終減益に = 地方銀行の多くが、経営難に苦しみ始めた。全国地方銀行協会の集計によると、協会に加盟している63行の3月期決算では、最終利益の合計が6211億円。前年より21%減少した。全体の7割に近い41行が減益となっている。また上場している78行について調べてみても、55行が減益決算だった。今後の経営環境は、さらに厳しさを増すとみられている。

地方銀行というのは、主として都道府県を単位とした地域に根差す金融機関。明治時代の国立銀行を発祥とする銀行もあれば、昭和になって相互銀行から転換したものもある。したがって資金量などの規模は千差万別。たとえば横浜銀行や静岡銀行の時価総額は5000億円を超えているが、島根銀行や豊和銀行は50億円に満たない。

経営が苦しくなった原因は、いくつかある。まず人口の減少。要するに、借り手も貸し手も少なくなってきた。次に日銀のゼロ金利政策。貸出金利が上げられず、本業では儲けが出なくなってしまった。さらに証券や不動産などの投資物件でも、利回りが縮小した。このように環境が厳しくなると、金融機関同士の競争が激化。ますます利益を出しにくくなってきている。

今後の見通しも厳しい。人口の減少は続き、金利は上がらない。安全な投資先だった国債も、利子が付かないから買えない。地銀全体の国債保有高も約20兆円と、8年前の半分に減っている。貸倒引当金も積み増さなければならない。こうした状況を踏まえて、日銀はこんな報告書を公表した。ー-「28年度には、地銀の約1割が最終赤字に転落する」

                            (続きは明日)

       ≪29日の日経平均 = 下げ -256.77円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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テリーザ・メイ首相の 壮絶な最期

2019-05-29 07:47:15 | イギリス
◇ イギリスは混迷の極致に = イギリスのテリーザ・メイ首相が、とうとう降板に追い込まれた。これまでEU離脱を巡っていくつもの方策を議会に提案してきたが、ことごとく否決。最後は再度の国民投票案まで持ち出したが、これもダメ。地方選挙では保守党が大敗するなど、自分が率いる保守党内からも辞任を要求される始末だった。6月7日に党首を辞め、次期党首が決まりしだい首相の座も明け渡す。

保守党は7月中に次期党首を選出する予定。現在の下院で保守党は過半数を割っているが、それでも第1党だ。したがって次期党首が、首相に選ばれることは間違いない。最近の世論調査では、ロンドン市長と外相を務めたことがあるジョンソン氏が最有力。EU離脱の強硬派だから、この人が首相になれば「合意なき離脱」の可能性が強くなるだろう。

それにしても、イギリス議会は“解のない方程式”だ。大別して何があっても離脱する強硬離脱派、EUとの経済関係は維持しながら離脱する穏健離脱派、それに残留派の3グループに分けられる。しかし、どんな具体案が出されても、このうちの2派が反対するから、まとまるはずがない。誰が首相になっても、同じなのではないか。

とにかく「離脱はしたいが、アイルランド国境問題は現状維持」という全く矛盾した発想の議員が多すぎる。これでは解決のしようがない。首相の問題ではなく、議会が異常だと言ったらイギリス人は怒るだろうか。矢尽き刀折れて退陣したメイ首相に拍手を送りたいと思うのは、日本人的な感覚に過ぎるのだろうか。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +77.56円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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過大な企業の借金に 警告 : FRB議長

2019-05-28 07:57:28 | アメリカ
◇ 景気が悪化すると金融不安に = パウエルFRB議長は先週アトランタで講演、そのなかで「企業の債務は過去最高の水準に達しており、もし景気が悪化すると金融不安を惹き起こす危険がある」と警告した。この発言で、ニューヨーク市場の株価は下落。安全資産と目される国債が買われた結果、長期金利が低下して円の対ドル相場が上昇するという現象を生んだ。

アメリカ企業の債務総額は15兆ドル(1700兆円)を超えた。パウエル議長によると「債務は増え続けており、質の悪いものに集中し始めた」という。問題なのは、これらの企業債務がCLO(ローン担保証券)として、金融機関や個人に売られていること。あのリーマン・ショックを惹き起こしたCDO(住宅ローン証券)と、その構図は完全に一致している。

いま世界経済は米中貿易戦争の影響などで、下向く傾向をみせている。だが米中間で合意が成立する可能性もあって、景気が急激に悪化する様子は見られない。だが景気の悪化が続き債務の返済が滞ると、ローン証券が紙くずとなって金融不安が発生する。景気はV字型に下降し、その回復に長い時間を要することはリーマン時に経験した通り。

さて、こうした怖ろしい金融不安を招く危険性があるのか。それとも、まだ安心していていいのか。パウエル議長は、自問自答する形で答えている。ー-「真理はその中間だろう」と。その意味が「危険度は50%」なのかどうかは定かでないが、必ずしも安心はできないだろう。そして、この種の危険性が日本でも蓄積していることを忘れてはならない。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +65.36円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2019-05-27 07:28:59 | 株価
◇ 5月はやはり下げが続く = ダウ平均は先週178ドルの値下がり。これで5月に入ってから4週間の続落となった。押し目買いも入って大きく下げる日は少なかったが、買い材料も乏しい。たとえば先週も、米中貿易戦争の見通し難、製造業の景況感が悪化、FRBによる企業債務増への警告などが売り材料になっている。この警告は国債への資金移動を生み、長期金利が下落して円高の原因になっているから、注意が必要だ。

日経平均は先週133円の値下がり。こちらも10連休が明けてから、3週連続の下落となった。輸出や生産の減退で景気に対する警戒感は強まっているが、政府は「緩やかに回復」の判断を崩さない。このため市場では「同日選の有無にかかわらず消費増税はある」「しかし財政面からの景気テコ入れは必要」との見方が強まった。増税で影響を受けない銘柄、財政支出で恩恵を受ける銘柄が物色されている。

トランプ大統領が滞日中に、どんなニュースを発散するのか。ここに関心は集まっているが、今週はヨーロッパからも目が離せない。イギリスのメイ首相が辞任を表明。EUのヨーロッパ議会選挙の結果が、27日には明らかになる。もし現在のEU執行部を支持する主流派が過半数を獲れないと、EUそのものの体質が変化してしまう可能性が大きい。

今週は26日に、4月の企業向けサービス価格。31日に、4月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは28日に、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、1-3月期のGDP改定値。また中国が31日に、5月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお中国は6月1日、対米報復関税を実施の予定。

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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