経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

「中食」が 大幅に増加中 : 家計調査

2018-03-31 08:04:48 | 家計
◇ 弁当類の伸びが目立つ = 総務省が家計調査を使って、過去30年間に食料購入の内容がどう変化したかを算出した。物価の変動は調整している。それによると、1987年から2016年までの間に大きく増加したのは「中食」で、70.2%も増えている。その半面「内食」は19.6%減少した。また「外食」は、ほぼ横ばいとなっている。

と書くと「えっ、中食ってなんだ」と思う人がいるかもしれない。昔はレストランやそば屋で食べることを「外食」と言い、中食や内食という言葉はなかった。まず外食に対して、家で調理して食べるのが「内食」。その中間、つまり調理済みのものを買って帰り、家で食べるのが「中食」というわけだ。その中食が増えている。

中食が増加した理由について、総務省は何も説明していない。だが夫婦共働きの世帯が増えたためと考えて、間違いはないだろう。主婦も主夫も、家で調理する時間が少なくなったからに違いない。また子どもが自分で調理済みの商品を購入するケースもあるのだろう。いずれにしても、社会の変化を反映した現象である。

調理済み食品のなかでは、弁当類の購入が増加した。1987年には調理済み食品の18.8%を占めていたが、2016年には27.2%の比率に拡大した。その他の調理済み単品で目立つのは、ウナギのかば焼きが6.8%から2.2%に急落したこと。これは価格の上昇と関連しているのだろう。ただハンバーグも2.0%から1.0%に落ちている。その原因は、ちょっとわからない。

      ≪30日の日経平均 =上げ +295.22円≫

      【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】 

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二極分化の 上昇 : 公示地価

2018-03-30 06:44:09 | 地価
◇ 大きい外国人観光客の増加 = 国土交通省が発表した18年の公示地価によると、ことし1月1日時点の全国の地価は前年比0.7%の上昇だった。このうち住宅地は0.3%の上昇で、10年ぶりの上昇。商業地は1.9%の上昇で、3年連続の上昇となっている。相変わらず3大都市圏の上昇率が高いなかで、今回は3大都市圏以外の地方圏も0.041%とわずかながら26年ぶりに上昇したことが目立つ。

たとえば東京圏の住宅地は1.0%の上昇、商業地は3.7%の上昇。いずれも5年連続の上昇だった。東京オリンピックを控えての再開発や需要増加が、地価を押し上げている。その一方、地方圏では外国人観光客の増加が、予想以上に地価に影響した。その好例は北海道のニセコ・リゾート。倶知安町では、住宅地も商業地も上昇率は全国1位。ともに30%を超えた。

このように地価の上昇は、3大都市圏と地方のリゾート地に二極分化している。その原動力がオリンピックと外国人観光客だとすれば、この勢いはまだ続くだろう。一部では値上がりを見込んだ投機によるバブル化の現象もみられるが、国交省では「多くが実需に基づいており、健全な動きだ」と分析している。

公示地価というのは、国交省が土地取引の目安を示すため、毎年1月1日時点の地価を1平方メートル単位で発表している。地元の不動産鑑定士が評価し、国交省の土地鑑定委員会が集計して公示する。今回は2万6000か所の地点を評価した。地価が上がると、景気がよくなったように思えるのは確かだ。しかし喜ぶのは、土地を売る人だけ。売る気のない多くの人は、固定資産税や相続税が高くなるので喜べない。

      ≪29日の日経平均 = 上げ +127.77円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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世界貿易戦争の 勃発 (下)

2018-03-29 08:10:28 | 貿易
◇ アメリカ・ファースト vs 中国第一 = 各国間の貿易戦争は、これまで何回も勃発している。日本の輸出を、アメリカが制限したケースも少なくない。戦後は繊維に始まり、鉄鋼、電機、自動車がヤリ玉に挙がった。ただ、ほとんどの場合、日本側が輸出を自主規制して問題を鎮静させている。またアメリカの貿易赤字を解消させるため、主要国が一致して為替を切り上げたこともあった。有名なプラザ合意である。その根底には、最大の経済国であるアメリカが不調になれば、世界全体が損失を被るという共通の認識があった。

ところが今回は、少しばかり様相を異にする。主たる相手が中国だからだ。もちろん中国も、貿易戦争がプラスにならないことは十分に承知している。しかしメンツを重んじる国だから、自主規制などはできない。またトランプ大統領が「世界第2位の経済大国にのし上がってきた中国を、ここらで叩いておこう」と考えていることも、よく承知している。したがって、柔軟な姿勢はとりにくい。

不幸なことは世界を見渡しても、こうした状況下で“調停役”になれる政治家がいないこと。ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、イギリスのメイ首相。いずれも国内に大きな政治問題を抱えており、それどころではない。日本の安倍首相も、森友問題で足元が揺らいでいる。ロシアのプーチン大統領は、中国寄りの姿勢を鮮明にした。

米中が報復の応酬を重ねれば、世界貿易は縮小し、経済も危うくなる。米中ともにその危険性はよく判っているから、水面下では解決に向けての話し合いも始まっているとも伝えられた。しかし世界第1位と第2位の経済大国が争うと同時に、アメリカ・ファーストと中国第一のぶつかり合いとなっている。そんなに簡単に話がまとまるとは思えない。

      ≪28日の日経平均 = 下げ -286.01円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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世界貿易戦争の 勃発 (中)

2018-03-28 07:49:07 | 貿易
◇ 適用除外は巧妙な策略 = トランプ大統領が中国製品への制裁的な輸入制限を発表したあくる日、こんどは全世界を対象にした鉄鋼とアルミの輸入制限が発効した。輸入する鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の関税をかけるという内容。安全保障上の理由から、通商拡大法232条を適用した。ところがアメリカ政府は同時に、カナダ・メキシコ・EU・韓国・オーストラリア・アルゼンチン・ブラジルは適用除外にすると発表している。

このうちオーストラリアはアメリカ側が貿易黒字を出しており、適用除外とした理由が明白だ。だが残りはすべてFTA(自由貿易協定)を交渉中、あるいは交渉を始める対象になっている。その交渉で譲歩しないと「鉄鋼とアルミの輸入関税を免除しないぞ」と脅しているに等しい。その証拠に、アメリカ政府は「本当に適用除外にするかどうかは4月末に決定する」と漏らしている。

日本は適用除外国に入らなかった。その理由は必ずしも明らかではない。しかし推量すれば、アメリカ側は近く日本に対してもFTAの締結を迫ってくるはず。しかも4月になると、安倍首相が訪米する。放っておいても、日本は何らかの“お土産”を持参してくるだろう。トランプ大統領はこう考えているのではないだろうか。

日本のアメリカ向け鉄鋼輸出量は、17年で190万トン。国内生産量用の2%に過ぎない。しかも鉄道のレール、油田用のパイプ、自動車のボディなどアメリカでは生産量が少ない鋼材が多い。このため業界では関税をかけられても、影響は限定的だとみている。ただアメリカ市場から締め出された各国産の製品がアジア市場に殺到すると、値崩れが起こりやすい。これが日本の鉄鋼メーカーにも影響することを、いまから警戒している。

                                 (続きは明日)

      ≪27日の日経平均 = 上げ +551.22円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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世界貿易戦争の 勃発 (上)

2018-03-27 07:52:38 | 貿易
◇ トランプ大統領の二丁拳銃 = とうとう世界貿易戦争が始まってしまった。引き金を引いたのはトランプ大統領。二丁拳銃のうち一丁は中国に、もう一丁は中国を含む全世界に照準を合わせている。特に狙われた中国は、いち早く報復措置を発表。EUやカナダなども、一斉に非難の声をあげた。しかしトランプ大統領は、聞く耳を持たない。世界の株式市場は、貿易戦争の拡大を恐れ大幅に下げている。

トランプ大統領は先週22日、通商法301条を発動。中国から輸入する情報通信機器・家電・家具・玩具など1300品目に25%の関税をかけると発表した。対象品目の詳細は15日以内に公表され、規模は最大600億ドルにのぼる見込み。理由は、中国に進出した米企業が不当な技術移転を要求されたり、米企業の買収に中国政府の資金が使われたこと。これら知的財産権の侵害で、アメリカは年間500億ドルの損害を被っていると説明している。

中国政府の反応は素早かった。報復措置として第1弾は果物やワインなど120品目に15%の関税、第2弾は豚肉など8品目に25%の関税を上乗せする。これらの規模は約30億ドル分。さらにアメリカ側の出方によっては、輸入額の大きい大豆などの農産物も規制。アメリカ国債の購入減額も考えると示唆している。そこまで行くと、アメリカの長期金利が跳ね上がる事態になるかもしれない。

こうした輸入制限措置は、中国国内の物価を急騰させる危険性を持っている。だが中国政府は、強硬な姿勢を崩そうとはしない。一方、アメリカ側も300機の対中輸出を成約したボーイング、大量の機材を売り込んでいるキャタピラーなどの業績はどうなるのか。不安が不安を呼んで、先週のダウ平均株価は1400ドルも急落した。ヨーロッパやアジア市場の株価も大幅に下げている。
 
                                (続きは明日)

      ≪26日の日経平均 = 上げ +148.24円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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