経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

消費は 7月までV字回復

2020-06-30 08:01:05 | 景気
◇ 5月の小売り高は前年比12.3%の減少 = 経済産業省は29日、5月の商業動態統計を発表した。それによると、小売業の販売高は11兆0650億円。前月を2.1%上回ったが、前年同月比ではまだ12.3%の減少だった。4月の前年比13.9%減少から、やや回復している。新型コロナ肺炎を抑制するための緊急事態宣言は4月7日に発令され、5月25日に解除された。その影響がきわめて明確に表われた結果だと言えるだろう。

商品別の前年比をみると、自動車が35.2%と大きく減少。衣類・身の回り品も34.3%減少した。なかで飲食料品だけは2.2%の増加。外出規制のさ中でも、飲食料品への支出は落ちなかったことになる。また業態別にみると、休業が多かったデパートは64.1%と激減。スーパーは6.9%の増加、コンビニは9.6%の減少だった。

4-5月は“巣ごもり”や店舗の休業で、消費は大きく抑制された。その反動は予想以上に大きいと思われる。さらに1人10万円の現金給付も加わるから、6月の小売り高はV字型の回復になりそうだ。ただ反動による消費の増加や10万円の影響は一時的で、長くは続かない。8月になれば、息切れする可能性が大きい。

このためV字型の回復は、せいぜい7月まで。そのあと消費は横ばいに推移すると考えられる。最初は急増するが、あとは横ばい。図形にすると、学校で習った平方根の形を描きそうだ。大事な注目点は、V字回復が終わる時点で、小売り高が前年比でプラスを取り戻せるかどうか。それによって、景況感は大きく変わってくる。

       ≪29日の日経平均 = 下げ -517.04円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2020-06-29 07:51:39 | 株価
◇ コロナに怯えたニューヨーク市場 = ダウ平均は先週856ドルの大幅な値下がり。終り値は2万5000ドルすれすれにまで下落した。高値を意識した利益確定売りも出たが、最大の売り材料はコロナ“第2波”の襲来に対する警戒感。特に週末26日には、全米の新規感染者が過去最大の4万4000人を記録。フロリダ州とテキサス州では、店舗営業に対する規制が再強化された。こうしたニュースを受けて、この日のダウ平均は730ドルも下げている。

ウォール街では、まだ財政・金融政策とコロナ不安の綱引きが続いている。だがFRBは低格付け債の買取りまで実行しており、残る手段は限られてしまった。トランプ大統領はまだ1兆ドルの追加支出という切り札を持っているが、もっと選挙が近づいてから発表したい。だから、いまは踊れない。そこでコロナ不安の方が、市場を動かすことになってしまった。

日経平均は先週33円の小幅な値上がり。ニューヨークに比べると、株価の水準がまだ低い。それにアメリカのコロナ不安からは、やや距離がある。それだけ下げ圧力も小さかったのだろう。だが今週はアメリカの警戒感が、改めて伝染してくる。ワクチンや治療薬に関する朗報でもない限り、東京市場も重苦しい空気に包まれそうだ。

今週は29日に、5月の商業動態統計。30日に、5月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、6月の日銀短観、消費動向調査、新車販売台数。国税庁の路線価。アメリカでは29日に、5月の中古住宅販売。30日に、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、6月のISM製造業景況指数。2日に、5月の貿易統計と6月の雇用統計。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (16)

2020-06-27 08:11:46 | なし
◇ “第2波”に襲われたアメリカ = 日本時間26日午前0時の集計。アメリカの死亡者数は12万1996人、ついに12万人を超えた。2位のブラジルは5万3830人で、5万人を突破。イギリスが4万人台。イタリアが3万人台。フランスとスペインが2万人台。そしてインドが1万人台にのせた。このうちブラジルとインドの増勢が著しく、アメリカでは26州で感染者数が過去最大となった。

世界的にみても、新型コロナ・ウイルスの猛威は最高潮に達している。23日時点で感染者数は900万人を超えたが、1週間で100万人も増える勢い。死亡者も469万人にのぼっている。このうちアメリカとブラジルが、感染者数でも死亡者数でも4割を占めた。このほかロシアの感染者数が61万人を超え、死亡者数も1万人に迫っている。

アメリカでは早めに経済再生に踏み切った州で、感染者の増加が顕著となっている。テキサスやカリフォルニア、フロリダ州では、感染者数が1日5000人に達し、累計では“第1波”のときより多くなった。ニューヨーク州は小康状態となっているが、予防措置として感染者の多い州からの訪問者を隔離する。アメリカは“第2波”に襲われた公算が大きい。

アジア各国の状態は比較的落ち着いている。べトナムは依然として死亡者ゼロ。中国も死亡者は増えていない。また韓国の死亡者は282人で、増加は2人にとどまった。日本の死亡者数は累計984人、一週間前より30人増えている。アジアのなかでは、日本がいちばん要注意なのかもしれない。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +252.29円≫

       【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】    

納豆を食べると コロナ予防に効果???

2020-06-26 08:03:45 | なし
◇ 飛び交うコロナ誤情報の実態 = «新型コロナ・ウイルスは熱に弱く、お湯を飲むと予防に効果がある≫≪お茶・紅茶を飲むと効果がある≫≪こまめに水を飲むと効果がある≫≪納豆を食べると効果がある≫≪ニンニクが・・≫≪ビタミンDが・・≫≪新型コロナ・ウイルスは、中国の研究所で作成された生物兵器である≫――新型コロナ・ウイルスに関する様々な誤情報が、いま世の中を飛び交っている。総務省が、その実態を調査した。

総務省は17例の誤情報を挙げて、信用するかどうかを聞いている。最初に掲げたのは、その一部だ。最も信用度が高かったのは≪死体を燃やしたときに発生する二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の濃度が武漢周辺で大量に検出された≫という誤情報。信用すると回答した人は、全体の32.8%に達した。最も信用度が低かったのは≪花崗岩などの石はウイルスの分解に即効性がある≫という情報で、信用度は2.4%。ちなみに≪納豆・・≫は9.6%だった。

この調査は全国の男女2000人を対象に、5月13-14日に実施した。その結果、95%以上の人が1日平均1回以上、新型コロナ・ウイルスに関するニュースや情報を見たり聞いたりしていた。また2割程度の人は、1日に10回以上も見たり聞いたりしていることが判明した。その情報源は、民間放送、Yahooニュース、NHKなどとなっている。

しかし、この調査そのものは、ほとんどニュースとして伝えられていない。おそらく調査の意図が全く不明だからだろう。誤情報には気を付けろということなのか。それならカネと人手をかけて、こんな調査をするよりも、総務省が「こういう情報は偽ですよ」と、事例を羅列して発表する方がよっぽど効果的だと思うのだが。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -274.53円≫
    
        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

米中の思惑が 激突 / Hong Kong (下)

2020-06-25 08:06:33 | 中国
◇ 香港を骨抜きにしてしまえ = 香港の住民が“脱出”を考えるのは、今回が初めてではない。イギリスから中国への返還が迫った1990年代、特に幼い子どもたちには英語を習わせ、イギリス・アメリカ・カナダなどの市民権獲得に奔走した。たとえばブルース・リーとかアグネス・チャンとか、子どもたちの名前もファースト・ネームは欧米風に名付けている。何かあったら、すぐに逃げ出せるようにだ。中国もその空気を察して、一国二制度に踏み切ったのである。

現在、香港の人口は約740万人。しかし貿易総額は世界7位、IPO(新規株式公開)による資金調達額は世界でも最大である。中国にとっては、文字通り“ドル箱”の香港。そんな香港に独立されては、たまったものではない。そこで北京政府は、早めに対策を打つことになった。これに対してアメリカは、香港に対する優遇策を停止する。つまり中国本土と同様に扱うというわけである。

香港の住民のうち、いまでも約35万人はイギリスの海外市民権を持っている。また300万人程度は“脱出”の準備をしているという。すでに台湾には約6000人が移住した。香港にあるアメリカ企業1300社も、ほとんどが引き揚げることになるだろう。すると香港の経済的な価値は急速に衰える。アメリカの対抗措置は、このようにして“ドル箱”を骨抜きにしてしまう作戦だとも言えるだろう。

アメリカと中国は、いま貿易問題を巡って激しく対峙している。歴史的な視点からみると、それは自由主義経済と社会主義経済の最終的な対決でもある。関税の引き上げ競争、中国の国営企業に関する問題などに加えて、香港がその対立点として浮上したとも言える。そして、その行くえが日本経済にも多大な影響を及ぼすことは明かだ。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -14.73円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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