経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

最低になった 内閣支持率

2023-11-02 07:54:17 | 政局
◇ 減税の評判が悪いのは、なぜ? = マスコミ各社の世論調査で、岸田内閣の支持率がガタ落ちとなった。トップを切った日経新聞の調査では、支持率が33%で政権発足以来の最低。またNHKの調査では36%だったが、テレビ朝日の調査では26.9%にまで落ち込んでいる。与党内では「これでは解散はムリ」の声も出始める始末。岸田首相は「減税までやるというのに、どうしてなんだろう」と、頭を抱えているに違いない。

調査によると、その減税の評判が悪い。たとえば日経新聞の調査だと、減税について「適切と思う」という回答は24%だったのに対して「適切と思わない」回答は65%にのぼっている。その理由は「いま減税があっても、1-2年後には増税ラッシュがやってくる」「財政の健全化に使うべきだ」「結局は選挙のためのバラマキではないか」・・・。

岸田首相は、こう説明する。減税で国民の手取り賃金を増やし、物価高を上回る賃金上昇を実現する。それによって経済の好循環が生まれれば、日本経済はデフレ状態を脱出できる。いまが、その最後のチャンスだ。さいわい景気が上向いたため、税収が当初の予想を上回った。これを国民に還元する形で、減税をしたい。

残念ながら、この岸田首相の考え方を国民は理解できなかった。過去30年にわたって脱出できなかったデフレ経済、それが数兆円の減税で変わるのだろうか。それよりもっと将来を見据えた政策を打ち出してもらいたい。これが国民の受け取り方だったと思う。たしかに「減税で経済の好循環を」という岸田さんの構想は、論理構築の点でかなり甘い。この点を認識しないと、内閣支持率の回復は難しそうだ。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +742.80円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   
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総選挙の争点 ③-- 原発問題

2017-10-13 08:13:52 | 政局
◇ 与野党ともに机上の空論 = 希望の党が「30年までに原発ゼロ」を打ち出したため、野党の足並みが「原発反対の姿勢」で揃うことになった。一方、自民・公明党は「原発をベースロード電源と位置づけ、30年時点では電源全体の20-22%まで増やす」計画だ。原発問題に関しては、与野党が明白に対立する構図となっている。ところが与野党ともに前提としているのが、再生可能エネルギーの普及。これが全く進まない見通しだから、与野党の主張は机上の空論になってしまう。

たとえば希望の党は公約で、30年には「再生可能エネルギーの電源に占める比率を30%に高める」と書いている。政府・与党の計画でも、この比率を22-24%と想定した。しかし水力発電を除けば、現在の再生可能エネルギーが電源に占める割合は7%にも満たない。しかも今後、その発電量が順調に増える見込みは全くない。

再生可能エネルギーの普及を阻害しているのは、なんと政府の稚拙きわまる政策だ。たとえば太陽光発電の普及を促進するため、政府は12年度から電力会社による強制買い取り制度を導入した。ところが買い取り価格を高めに設定し過ぎたため、17年度は買い取り総額が2兆円を超す見込み。電力会社はその分を電気料金に上乗せするから、料金が高騰してしまった。17年度の場合、標準家庭による負担額は8200円を超えている。

驚いた政府は、当初1㌔㍗時=40円だった買い取り価格を21円にまで引き下げてきた。さらに18年度は20円以下にするという。これでは太陽光発電に新規参入しても、儲けが出ない。だから太陽光発電は、もう伸びないと予測されるわけである。こんな状況では、与党の「電源比率20-22%」も難しい。まして野党の「30%」はムリというものだ。公約を作った各党は、こうした現状を理解しているのだろうか。

      ≪12日の日経平均 = 上げ +73.45円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

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総選挙の争点 ② -- 消費税引き上げ

2017-10-12 07:39:09 | 政局
◇ 増税凍結論の弱点は財源 = 消費税の問題は最初、安倍首相が「増税による税収増加分の一部を使途変更し、教育無償化に充てる」ことを、選挙の争点にしたいと言い出したことから始まった。これを聞いて、国民の多くが「総選挙の争点にしては問題が小さすぎる」と感じたことは確かだろう。だが希望の党の小池代表が「消費税引き上げの凍結」を打ち出したことで、状況は一変。増税の可否そのものが選挙の争点に浮上した。教育無償化を公約の柱に据えた自民・公明の与党にとっては、誤算だったに違いない。

国民の多くが「教育無償化は結構だが、消費税引き上げがない方がもっと有難い」と考えたとしても不思議はない。財政再建の遅れを心配する人は、増税分の使途変更そのものに反対したはずである。この結果、選挙の公約は自民・公明が「引き上げ」を主張。あとは希望・維新、立憲民主・共産・社民などが「引き上げ反対」と、きわめて判りやすい図式となった。

しかし引き上げ反対論の弱点は、財源が見付からない点にある。消費税を10%に引き上げると、5兆2000億円の税収増が見込まれている。自民・公明はその半分を財政赤字の抑制に充て、残りの半分を社会保障費と教育無償化に使用する方針だ。仮に消費税を8%のまま据え置いた場合、財政赤字の抑制と社会保障費の自然増をどうやって賄うのか。

希望の小池代表は「企業の内部留保に課税する」案をちらつかせた。だが、そんなことをすれば、企業は利益を海外に移転するだらう。また企業の利益は景気動向によって変動するから、恒久財源とはなりえない。また参議院を廃止して財源を捻出する案も飛び出したが、金額の点でとても足りない。もっといい案が出せない限り、増税凍結案は迫力に欠けたままとなりそうだ。

                           (続きは明日)

     ≪11日の日経平均 = 上げ +57.76円≫

     ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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総選挙の争点 ① -- 憲法改正

2017-10-11 07:17:14 | 政局
◇ 第9条1項と2項の落差 = 安倍首相は憲法第9条に「自衛隊の存在を明記したい」と主張している。だが連立与党の公明党は、必ずしも賛成していない。一方、小池女史が率いる希望の党は「第9条の改正を議論してもいい」という姿勢だ。これに対し、立憲民主・共産・社民の各党は「憲法改正には反対」の立場を強く打ち出している。

憲法第9条は、1項と2項に分かれている。1項は「武力行使の放棄」を掲げ、2項は「戦力を保持しない」と規定している。いわゆる“平和憲法”と呼ばれる源泉だ。このうち1項は戦争の放棄宣言であり、国民の大多数が賛同していると思われる。ところが2項の規定は、自衛隊の現状から考えてもムリな感じが強い。だから「自衛隊は軍隊でない」などという苦しい解釈も現われる。

自民党の主張は、この2項を現実に合わせて修正したいというものだろう。しかし「第9条の改正」と言うものだから、国民は1項の修正もありうると受け取ってしまう。仮に安倍首相が「1項には手を着けない」と公約すれば、憲法改正に関する議論は具体的に前進するのではないか。

ただし自衛隊の存在を第9条2項に入れることには、別の問題もある。自衛隊を指揮する防衛庁が省庁設置法で創設されているのに、自衛隊は憲法によって規定される。安倍首相はこの問題を察知してか「文民統制の明記も検討する」と言っているが、これでは物事がややこしくなるばかり。第9条に自衛隊という固有名詞を挿入することは、難しいかもしれない。

                      (続きは明日)

      ≪10日の日経平均 = 上げ +132.80円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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民進党の分裂は 必然の帰結だ

2017-10-06 08:40:41 | 政局
◇ 矛盾する右派と左派の同居 = 民進党が結局は①小池派の希望②枝野氏が率いる立憲民主党③無所属--の3つに分裂した。もともと政治理念が全く異なる右派と左派が無理して“同志”となっていたのだから、いずれは分裂する運命にあったと言えるだろう。右派と左派では、たとえば憲法改正、原発、経済政策についても基本的な考え方が違う。したがって政権をとっても党内がまとまらず、有権者が望んだ政策を打ち出せなかった。

このような政党が成立する理由は、ただ1つ。「自民党内閣の打倒」で、結集しただけである。それには衆議院で議席の過半数をとらねばならない。その“大義”のために、政治理念は一時タナ上げして結束した。そうした考え方も理解できないわけではない。しかし実際に倒閣に成功して政権を手中にしたとき、政治理念の対立が復活して何も出来ないのでは意味がない。

かつての社会党も全く同様で、右派と左派に明確に分かれていた。しかし政権をとると内部分裂して何も出来なかったのは周知のとおり。民進党は同じ道を辿ってしまったと言えるだろう。今回も前原代表は“数による政権奪取”を希望に売り込んだが、さすがに小池代表はこれをきっぱり拒否したわけだ。

結果的に今回の選挙は、①自民・公明②希望・維新③立憲民主・共産・社民--の3グループで争われることになった。有権者にとっては、非常に判りやすくなったと言える。憲法・安保についての姿勢は明らかだから、あとはこれらの政党が年金、福祉、景気対策、エネルギーなどについての政策綱領を出してくれればいい。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +1.90円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ
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