経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

デパート and 無店舗小売り業 : 21年

2022-02-02 07:41:10 | 小売り
◇ コロナに翻弄される小売り業 = 経済産業省は31日、21年の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売総額は150兆4860億円で前年比1.9%の増加だった。20年は前年比3.2%の減少だったから、コロナの影響が薄れて増加に転じたことが判る。ただ、ことしはオミクロン株が猛威を振るい始めており、小売り業界はいぜんとしてコロナの影響から脱し切れない。

業態別にみると、デパートの回復と無店舗小売り業の着実な伸びが目立つ。デパートの売り上げは4兆9030億円で、前年比4.5%の増加だった。20年は前年比25.5%の減少だったから、数字のうえでは大きく回復したと言える。しかしコロナ前の19年に比べると、販売額はまだ1兆4000億円も少ない。デパート経営は、なお深刻な状況にある。

スーパーの販売総額は15兆0043億円、前年比0.3%の減少だった。20年の前年比3.4%増加から悪化している。またコンビニは11兆7601億円で1.3%の増加、20年の4.4%減少から大きく改善した。このほか家電大型量販店は前年比2.4%の減少、ドラッグストアーは0.4%の増加、ホームセンターは2.9%の減少だった。

こうしたなかで健闘を続けているのが、ネットやカタログ通販、テレビ・ショッピングなどの無店舗小売り業。21年の売り上げは11兆4240億円で、前年比1.3%の増加だった。いまやコンビニの売上高と肩を並べ、コロナ前の19年に比べて3兆7000億円も増えている。コロナが味方する数少ない業種であり、ことしもオミクロンに押されて続伸しそうだ。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +76.50円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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川上はインフレ、川下はまだデフレ

2021-12-30 07:52:32 | 小売り
◇ 価格転嫁できない企業も多い = 総務省の発表によると、11月の消費者物価は生鮮食品を除いた総合指数で前年比0.5%の上昇だった。この上昇幅は1年9か月ぶりの大きさ。ガソリンの小売価格が27.1%、電気料金が10.7%上昇したほか、生鮮食品を除いた食料も1.1%上昇した。ただ携帯電話の通信料が53.6%も下がっており、この影響を取り除くと物価の上昇率は2%をやや超える。

日銀の集計によると、11月の企業物価は前年比9.0%の上昇だった。この上昇率は、石油ショック後の1980年12月以来41年ぶりの大きさ。企業物価というのは、企業の間で取引されるモノの価格。ことし3月から9か月連続して上昇しており、この数字からみる限り企業段階ではインフレ状態に入ったと言えるだろう。

消費者物価も企業物価も、上昇した主たる原因は、輸入品の価格高騰。エネルギーの国際価格が急騰したことと円安の進行で、輸入品の価格が上昇した。11月の輸入物価は前年比44.3%も上昇している。たとえば石油・石炭・天然ガスは128.4%、木材・木製品・林産物は81,4%の上昇だった。したがって企業段階を襲った価格高騰は、輸入インフレと断定できる。性格的には、あの狂乱物価を惹き起こした石油ショックと同じだ。

当時と違うのは、価格高騰の程度が小さいこと。それに小売り段階への波及が遅れていることだろう。11月の数字をみても、企業物価は9%も上昇しているのに、消費者物価は0.5%しか上昇していない。これは最終段階での消費需要が弱いため。小売り業は値上げすると売り上げが落ちる心配があるので、なかなか価格転嫁に踏み切れずにいるわけだ。ただし生活に絶対必要なガソリン、電気代、食料品の一部などは、転嫁に成功している。
 
        ≪29日の日経平均 = 下げ -162.28円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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息吹き返した 小売り業 : 10月

2021-12-01 07:56:25 | 小売り
◇ 緊急事態宣言の解除で上向く = 経済産業省は29日、10月の商業動態統計を発表した。それによると、商業販売の総額は48兆8750億円で前年を5.0%上回った。このうち小売り業の販売総額は12兆5520億円、前年比で0.9%の増加だった。10月1日から緊急事態宣言などの行動規制が全面的に解除されたためで、デパートや家電大型専門店など多くの業態で売り上げが伸びた。

業態別にみると、デパートの販売額は4265億円。前年比2.5%の増加で、3か月ぶりのプラス。家電大型専門店は3511億円で1.9%の増加、5か月ぶりのプラス。ホームセンターは2808億円で0.4%の増加、6か月ぶりのプラス。スーパーは9927億円で0.9%の増加となっている。コンビニは9927億円で、前年比0.2%の減少だった。

業種別にみると、大きく伸びたのは燃料小売り業で、前年比25.9%の増加。ガソリンや灯油の値上がりによるところが大きい。飲食料品小売り業は3.7%の増加。機械器具は2.2%の増加だった。一方、自動車小売り業は19.5%の減少、無店舗小売り業も2.0%の減少となっている。

小売り業は全体として息を吹き返した感じだが、巣ごもりからのリベンジ消費は小幅にとどまった。消費者はまだ恐る恐る財布のひもを緩め始めた状態と言えるだろう。11月はもう少し積極的な消費行動に移ると予想される。ただ南アフリカ発の新型変異ウイルスが発生したから、年末年始の状況がどうなるか。予測は難しくなってきた。

        ≪30日の日経平均 = 下げ -462.16円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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コロナが生んだ 明と暗 : 小売り業

2021-04-30 07:33:12 | 小売り
◇ デパート↓ 家電量販店↑ = 経済産業省は28日、20年度(昨年4月-本年3月)の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の総販売額は147兆8570億円。前年度比で2.8%の減少だった。この期間は日本経済がコロナに翻弄された時期。それにしては減少率が小さくて済んだ。コロナで痛めつけられた業種が多かった半面、その恩恵を受けた業種も少なくなかったからである。

業種別にみて、打撃を受けたのはデパートとコンビニ。デパートの販売額は4兆5612億円で、前年度に比べて24.5%も減少した。ほぼ4分の1の縮小である。緊急事態宣言の発令などで都心への人出が減り、休業も余儀なくされた結果だ。またコンビニは11兆5600億円の売り上げ、前年度比5.0%の減少だった。コンビニも都心部の店の売り上げが激減している。

一方、スーパー・ドラッグストア・ホームセンター・家電量販店は、逆に売り上げを伸ばしている。スーパーの販売額は15兆0700億円、前年度比2.9%の増加。ドラッグストアは7兆2342億円で3.2%の増加。ホームセンターは3兆5220億円で6.7%の増加。家電量販店は4兆9157億円で8.4%の増加だった。いずれも“巣ごもり”の影響が大きい。

この統計では、デパートとスーパーを合算した商品別の動向も表示している。それをみると、販売額が大幅に減ったのは紳士服28.1%減、婦人・子供服27.6%減、食堂・喫茶43.4%減など。増加したのは飲食料品の3.4%増だけだった。また、この統計でみると、デパートとスーパーの従業員1人当たりの売上高は3191万円で、前年度を6.0%下回った。

         ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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明暗分かれた 小売り業界 : 10月

2020-12-01 08:09:08 | 小売り
◇ 勝ち組の断トツは家電大型店 = 経済産業省は30日、10月の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売額は12兆4300億円で前年比6.4%の増加だった。コロナ抑制のための規制が解除されたことによるもので、前年比がプラスになったのは3月以降はじめて。ただ業態によって、成績には大きな差がついた。

業種別にみて好調だったのは、機械器具小売り業で販売額は前年比27.4%増加した。続いて自動車小売り業が16.4%、無店舗小売り業が13.8%売り上げを伸ばしている。巣ごもりで無店舗販売が増加したのは判るが、家電や自動車がよく売れたのは予想を上回る現象だった。その一方、織物・衣服・身の回り小売り業は3.9%販売を減らしている。

業態別にみると、日が当たらなかったのはデパートとコンビニ。デパートの販売額は4163億円で、前年比2.5%の減少だった。またコンビニも販売額は9973億円、3.3%の減少となっている。ともにコロナ騒ぎが始まった3月以降、ずっと前年比でマイナス。経営の改革を迫られる業種となっている。

スーパーの販売額は1兆2110億円。前年比で5.8%の増加だった。またドラッグストアは5816億円の売り上げで7.3%の増加。ホームセンターは販売額が2793億円で、20.5%増加した。断トツは家電大型専門店。販売額は3444億円、伸び率は29.0%に達した。ただ、こうした小売り業の動態が、コロナ規制が強まった11月以降も続くかどうかは不透明だ。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -211.09円≫

       ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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