経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

お年寄りに厳しい 物価騰貴

2022-06-30 07:41:35 | 高齢者
◇ 参院選の票にも影響が? = 総務省が発表した5月の消費者物価は、総合指数で前年比2.5%の上昇だった。これで9か月連続の上昇。また生鮮食品を除いた指数は2.1%の上昇だった。ともに4月から横ばいとなっている。生鮮食品を除いた食料品が2.7%、エネルギー関連が17.1%と大きく上昇した。この2つで、物価指数を2.32%分引き上げている。

岸田首相はさっそく遊説で「食料とエネルギーに対して重点的な対策を講じる」と力説した。だが、その内容はガソリンに対する補助金の支出と同じ。小麦などにも補助金を出すほか、節電に協力した企業や家庭にポイントを付与することを考えているようだ。やはり‟対症療法”的なやり方で、あまり迫力は感じられない。

物価指数でみると、上昇率は2%台だ。しかし多くの人は「物価はもっと上がっている」と感じているに違いない。それは正しく、理由もちゃんとある。それは購買頻度の高い品目ほど、大きく値上がりしているからだ。たとえばガソリンや一部の食品など、月に1回以上購入する品目だけをみると、価格は5%の上昇。ソファーやパソコンなど年に0.5回未満しか買わない品目だけだと、上昇率は1.7%にとどまっている。

特に高齢者の場合は、負担感が大きい。多くの高齢者は年金など収入が限られており、支出に占める食費や光熱費の割合が高い。そのうえ年金支給額が減らされ、介護保険料は上がった。10月からは医療費の窓口負担も、引き上げられる人が多い。こうした高齢者に、自民・公明の与党を支持する人が多いことは事実。だが物価騰貴の負担に耐えかねて、参院選では不支持に回る人も出てくるのではないか。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -244.87円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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少子高齢化が 着実に進行

2021-12-09 08:00:09 | 高齢者
◇ 10人に3人弱が65歳以上 = 総務省が発表した20年の国勢調査・確定値によると、日本の総人口は1億2614万6099人。前回5年前の調査に比べて94万8646人減少した。総人口のうち外国人は274万7137人だったから、日本人の人口は1億2339万8962人。前回調査より1.4%減っている。経済的に無視できないのは、65歳以上の高齢者が急増していること、生産年齢人口が急減していることの2点だろう。

まず高齢者の急増。65歳以上の人口は3602万6632人で過去最大。5年前より6.6%増加した。総人口に占める比率は28.6%、10人に3人弱が高齢者となっている。その一方、14歳以下の若年者は1503万1602人で過去最少。5年前より5.8%減少した。少子高齢化は着々と進んでいる。高齢者が増加すれば年金・医療・介護の費用が増大し、少子化の進行はそれを負担する人たちの縮小を意味する。

次に生産年齢人口の急減。生産活動に携われる15-64歳の人口は7508万7865人。5年前に比べて226万6232人も減少した。ピークだった1995年に比べると13.9%も減っている。要するに‟働ける人”が少なくなっているわけで、生産活動に及ぼす影響はきわめて大きい。また働く人が減少すれば、それだけ消費の総額も減ってしまう。

国勢調査は5年ごとに実施されている。特に西暦の末尾がゼロの年は、大規模な調査。その結果は、選挙区の「1票の格差」是正のための区割り変更や地方交付税の算定などの基本資料となるから重要だ。そして高齢者の増加と生産年齢人口の減少も、具体的な数字となって現われた。しかし岸田内閣の新経済対策をみても、この問題に対する施策は薄い。このため国民は将来に対する不安を捨て切れない。

         ≪9日の日経平均 = 下げ -135.15円≫

         ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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高齢者の反乱 : 医療費の値上げ

2021-06-11 07:28:45 | 高齢者
◇ 菅内閣の支持率が下がる一因 = 国会で4日、医療制度改革関連法が成立した。これにより、後期高齢者のうち一定以上の所得がある人の医療窓口負担が、現在の1割から2割に引き上げられる。後期高齢者というのは75歳以上の人。このうち年間所得が単身世帯では260万円、複数世帯では320万円以上の人に適用され、対象者は約370万人。22年10月から23年3月までの間に実施される予定。

高齢者は病気になりがちだから、この値上げはけっこう痛い。高齢者の医療費は、年間およそ18兆円。国と自治体が4割、会社員が加入する健康保険組合が4割を負担している。高齢化の進展で、医療費は増えるばかり。現役会社員の負担を少しでも軽減するための試みだ。そう聞けば「なるほど、それでは仕方がない」と考えるお年寄りも多かったはずだ。

介護保険料も、この4月から上がった。全国平均でみると、月に6014円の支払い。2000年に制度ができてから、2.1倍の金額になっている。これも要介護者が増えているから「仕方がない」。そして年金の受取額は、この4月から0.1%引き下げられた。これも年金の受給者が増えているから「仕方がない」。だが「仕方がない」が3つも重なると、「仕方がない」では済まされなくなってくる。

努力して貯め込んだ老後の資金も、日銀のゼロ金利政策で利子を生まない。コロナ制圧後は、インフレになる公算が強まってきた。今後の生活は、どうなるのだろう。アメリカでは富裕層に対する増税が主流だが、日本では高齢者にシワが寄せられている。いま菅内閣の支持率は下落気味。その原因はコロナやオリンピックだけではない。高齢者の不満も反映されている。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +97.76円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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がんばれ 公明党 : 高齢者医療費

2020-12-09 08:26:37 | 高齢者
◇ 「参院選後なら」は頂けないが = 75歳以上の後期高齢者が、医療機関の窓口で支払う自己負担金が引き上げられる。現行は医療費全体の1割だが、これが2割負担となることは確実。ただ2割負担となる人を収入いくら以上の人にするかで、いま政府・与党が大揉めに揉めている。菅首相は「年収170万円以上」に固執しているが、公明党は「240万円以上」を主張。自民党内にも、公明党に同調する声が強まっているからだ。

高齢者の自己負担金を引き上げるのは、現役世代の重荷を和らげるため。後期高齢者の医療費は現在、その4割を健康保険組合が分担している。ところが団塊の世代が75歳に達すると医療費が急増、健康保険料を支払っている現役世代の負担が重くなる。これを軽減することが目的で、政府は来年の通常国会に法案を提出、22年度から実施する方針だった。

ところが22年夏には、参院選が予定されている。そこで公明党は、まず「参院選後の実施」を強く要求。さらに引き上げの対象者も「240万円以上」に緩和するよう申し入れた。菅首相が主張する「170万円以上」だと、引き上げの対象者は520万人。公明党の「240万円以上」だと200万人に減る。

いま高齢者はコロナの感染に怯え、外出もままならない。年金の支給額も実質では減らされた。だから公明党には「がんばれ」と応援したくなるだろう。しかし「参院選のあとならいい」という言い分は、いささか頂けない。あまりにも、見え見えすぎる。それより「もっと時間をかけて引き上げる」とか「85歳になったら再び1割負担に戻す」とか。もう少しチエを出してもらいたいものだ。

       ≪8日の日経平均 = 下げ -80.36円≫

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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徘徊老人を 探知しよう

2019-06-22 08:12:29 | 高齢者
◇ 認知症の行方不明者は1万7000人 = 「白いワイシャツに紺色のズボン、眼鏡をかけていて・・・」――夕方になると、街の防災無線から聞こえてくる。迷子ならぬ徘徊老人探しの放送だ。警察庁の発表によると、昨年1年間に警察に届け出のあった認知症の行方不明者は1万6927人。前年より1064人増えている。女性よりも男性の方が多く、地域別では大阪府、埼玉県、兵庫県の順だった。

大半の人が見付かっているが、まだ消息不明の人も。また508人の死亡が確認されている。政府は「認知症対策の新たな大綱」を、この18日に作成したばかり。そのなかでは、地域の見守り体制作りなどを盛り込んでいる。地方自治体でも、不明者の情報をメールで流したり、顔写真のデータベースを作成するなど、対策に乗り出したところが少なくない。

話は少し飛ぶが、最近は飼い犬や飼い猫にGPS(位置情報計測システム)発信機能を持ったマイクロ・チップを埋め込むことが、常識になりつつあるという。愛するペットがいなくなっても、この機能を使えば居場所がすぐに特定できるわけだ。価格も5000円から1万円ぐらいで、そんなに高くはない。

人間の場合、チップを埋め込むことには問題もあるだろう。だがベルトやネックレスにチップを装着すれば、本人の反対も少ないに違いない。政府もつまらぬことに手間と費用をかけるより、この方策に補助金を出す方が効率的だ。ここ数年ずっと増え続けている徘徊老人が減少し、防災無線の放送も減ることになる。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -204.22円≫

       【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】   
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