経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

氷河期に突入した地方銀行(下)

2018-08-31 08:19:09 | 地銀
◇ 地方銀行の数は半減する = 高度成長期には賃金が上がり、預金も増加した。世の中はカネ不足だったから、資金需要も旺盛だった。金融機関が本業で、十分な利益をあげられた時代である。その後の低成長期には金融機関の淘汰が進み、金融機関の数も減った。だが巨大銀行と中小金融機関の間に挟まれた、地方銀行の立ち位置は変わっていない。

経済の低成長に加えて、日本の人口は減少中。当然ながら金融機関同士の競争は、どんどん激しくなった。こうしたなかで地銀の多くは、メガバンクには太刀打ちできない。信用金庫や信用組合は狭い地域にがっちり根付いており、その地盤も食い荒らせない。上を向いても下を向いても、戦線を広げにくい。この宿命が、ゼロ金利によって際立つようになった。

経営不振を打開する1つの手段は、統合・合併である。近隣の銀行同士が合併すれば、競合が回避される。また重複店舗を廃止してコストを下げられる。ここ数年をみても、足利+常陽=めぶきFG、東京都民+八千代+新銀行東京=東京きらぼしFG、肥後+鹿児島=九州FGなど。だが、まだその動きは鈍い。

高度成長期に、全国を基盤とする都市銀行は15行あった。それが現在では、3つのメガバンクに集約されている。しかし当時130を数えた地銀は、いまなお106もある。氷河期に突入し、地銀を巡る統合・合併の流れは加速するだろう。そのなかで最終的にいくつの銀行に集約されるのか。少なくとも半減はするに違いない。

       ≪30日の日経平均 = 上げ +21.28円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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氷河期に突入した 地方銀行 (上)

2018-08-30 07:51:46 | 地銀
◇ ゼロ金利政策が命取り = このところ、地方銀行に関する新聞記事が異常に多くなった。公正取引委員会が、ふくおかFGと十八銀行の経営統合を承認。3月決算では、地銀106行のうち40行が本業で赤字。スルガ銀行が融資の審査資料を改ざん。金融庁が福島銀行に業務改善命令・・・。まだまだあるが悪い話ばかりで、いいニュースはない。

ふくおかFGと十八銀行の経営統合も、このままでは経営が破たんしかねないと、公取委が判断した結果に他ならない。統合したあとの展望も決して明るくはないとみられている。スルガ銀行にしても福島銀行にしても、銀行自体の経営が緩んでいたことは確かだが、その根底に経営環境の悪化があったことも間違いないだろう。

ことし3月期の決算をみると、全106行のうち40行が本業で赤字を記録した。最大の原因は、日銀のゼロ金利政策がもたらした貸出金利の低下である。地銀の平均貸出金利は1%を割り込み、最近では0.5%前後にまで落ち込んでいる。カネ余りで競争が激化したことも、大きく影響した。これでは預金金利がゼロ近くに下がっても、利益は出しにくい。

預金を貸し出しに回して、利ザヤを稼ぐ。この本業で利益を出せなくなった地銀は、有価証券投資に活路を見出そうとした。ところが金利上昇で、アメリカの国債や社債は値下がり。痛手を蒙った地銀も少なくない。もちろん日本の国債も日銀が買い取ってしまい、商売にならない。苦し紛れに融資先を見付ければ、不良債権を抱え込んでしまう危険がある。

                                (続きは明日)

       ≪29日の日経平均 = 上げ +34.75円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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明暗くっきり : NY株 vs 上海株

2018-08-29 07:28:58 | 株価
◇ 経済動向 + 貿易戦争の影響 = 先週のニューヨーク株式市場は、活況に沸いた。主要銘柄で構成するSP500とハイテク銘柄中心のナスダック指数が、そろって史上最高値を更新。ダウ平均も最高値まであと200ドルの水準にまで上昇した。個別の銘柄でもアップルの時価総額が1兆ドルを超えるなど、明るい話題が次々と飛び出している。この活況はまだまだ続くと、市場の空気は強い。

対照的だったのが、上海株式市場。総合株価指数は先週、2年7か月ぶりの安値にまで落ち込んだ。年初と比べても18%を超える下げとなっている。個別の銘柄をみても、鉄鋼最大手の宝山鋼鉄が2月の高値から20%の値下がり。EV大手の比亜迪は30%の値下がりなど。市場では公的資金で運営される国家隊が出動したとの見方も流れたが、確認はされていない。今後についても、市場の見通しは暗い。

両者の差は、基本的には米中両国の経済動向を反映している。アメリカのGDP成長率は最近4%を超える勢い。一方の中国は、成長率が鈍化の傾向にある。そのうえに重なったのが、米中両国による関税引き上げ競争。ニューヨーク市場でも、中国との関係が深いキャタピラーなどは売り込まれた。中国側では、鉄鋼や電子関連の銘柄が特に大きく値下がりしている。

しかし景気の状態がいいアメリカでは、内需関連株の上昇が中国関連株の下落をはるかに上回った。一方の中国では景気が下降気味で、内需株も伸びない。つまりアメリカは貿易戦争の影を経済全体の明るさで消しているが、中国はそれが出来ない。こうした状況は、少なくとも年内は続きそうだ。トランプ大統領が、ほくそ笑むはずである。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +13.83円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 
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日銀は“対話”を しないのか

2018-08-28 08:00:44 | 日銀
◇ ETFの買い入れを激減した真意は? = 日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを大幅に減らしている。これまでは株価が午前中に0.4%を超えて値下がりすれば、午後には必ず700億円の買いを入れていた。ところが8月になると、日銀はこの“法則”を放棄。その結果、たとえば6月は7030億円、7月は2115億円あった買い入れ額が、8月は先週までで1400億円にとどまっている。

日銀のETFの買い入れは、黒田総裁による”異次元緩和”の一環として始められた。市場からETFを購入することで株価を下支えし、同時に市中に資金を供給することが目的。年間6兆円の購入を目指していた。ところが購入の累積額が時価で25兆円にもなると、その副作用も拡大。「市場の自由な価格形成を阻害している」という批判が強まってきた。

そこで日銀は7月末の政策決定会合で「市場の状況に応じて、ETFの購入額を上下に変動しうる」と決定した。8月からの購入額減少は、この決定に従ったものと考えられる。しかし市場は、こんなに急減するとは予想していなかった。このため「日銀は近くETFの買い入れそのものを止めるのでは」といった憶測が広がっている。

「中央銀行は市場と対話することが大事だ」とよく言われる。だが日銀は対話の気配さえみせずに、ETFの購入を激減させた。このため市場に余計な混乱と不安を招いている。日銀は独りよがりで、対話が下手なのか。それともETFの購入に関する政策に計画性がないのか。そのどちらかだろう。

       ≪27日の日経平均 = 上げ+197.87円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2018-08-27 07:39:48 | 株価
◇ NY株の上昇期間が過去最長に = 主要企業で構成するSP500の上昇期間が先週22日、過去最長の3453日を記録した。ニューヨーク市場では、株価が20%を超えて下落しない限りは“強気相場”が継続していると認定される。これまでの記録は、1990年から2000年にかけての3452日だった。この9年半に及ぶ株価上昇で、ダウ平均は4倍に。アップルの時価総額は1兆ドルを超えた。

長期にわたって株価が上昇した原因は、まずFRBの緩和政策で巨額の資金が供給されたこと。さらにトランプ大統領による大型減税とインフラ投資。IT企業の急速な成長。また最近では、アメリカへの資金還流などが挙げられている。しかし、その根底にあるのはアメリカ経済の持続的な拡大だろう。アメリカ経済の拡大は、この8月で110か月に及んでいる。

減税の効果はまだ持続するから、経済の拡大は少なくとも18年中は続くとみられている。だとすれば、株価の上昇記録もさらに伸びるかもしれない。ただ唯一の不安要素は、米中貿易戦争の影響で個人消費が変調するかもしれないこと。今後の自動車や住宅、それに小売り売上高には注目する必要がある。ダウ平均は先週121ドルの値上がり。日経平均は331円の上昇だった。

今週は29日に、8月の消費動向調査。30日に、7月の商業動態統計。31日に、7月の労働力調査と鉱工業生産。アメリカでは28日に、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、4-6月期のGDP改定値と7月の中古住宅販売。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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