経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人手不足がネックに : 企業業績

2023-09-15 07:24:50 | 利益
◇ 企業景気予測調査が教える下半期の問題点 = 内閣府と財務省は13日、共同で実施した7-9月期の法人企業景気予測調査の結果を発表した。それによると、大企業の景況判断指数はプラス5.8で2四半期連続のプラス。このうち製造業はプラス5.4、自動車関連企業が大きく回復した。非製造業はプラス6.0、コロナ規制の解除を受けてサービス業が大きく伸びた。ただ中小企業は全産業でマイナス5.5と、不況を脱していない。

この調査は全国1万1000社の企業を対象に実施。自社の景況感が前4-6月期を上回ったかどうかを聞いている。判断指数は「上回った」という回答の割合から「下回った」の割合を差し引いた数値。この先10-12月期の予想について、大企業・全産業ではプラス7.3と好調が持続する見込み。製造業はプラス8.8、非製造業はプラス6.5という結果だった。中小企業もプラス0.7と、わずかではあるが水面上に顔を出す。

ところが23年度の経常利益については、全産業で3.9%の減少。製造業は10.7%、非製造業は1.4%の減益となる見通し。特に情報通信機械器具製造、化学、運輸・郵便、建設などの業種が大きく悪化する。アメリカや中国の景気動向、原材料価格の高騰などが利益を圧迫すると予想しているのだろう。そのうえ、この調査は人手不足がネックになるとも教えているようだ。

調査によると、現状の人手不足感は大企業・全産業でプラス24.0。それが10-12月期の予想でも20.5とやや下がるだけ。このうち製造業は16.4から14.8へ、非製造業は27.7から23.2へ。また中小企業は29.1から27.8へと下がることは下がる。しかし人手不足感はまだ続くわけで、これが利益を減少させる最大の原因になる可能性は大きい。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +461.58円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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企業の業績は 絶好調 : 4-6月期

2023-08-23 07:27:52 | 利益
◇ それでも株価が軟調な理由 = 上場企業の決算発表がほぼ出揃った。日経新聞が発表を終えた1167社の決算を集計したところによると、4-6月期の純利益は前年比50.4%の増加だった。このうち製造業は12.0%の増益。半導体の供給回復、値上げ、円安が利益を押し上げた。また非製造業は2.2倍の増益。コロナ規制の解除による経済の正常化と値上げが大きく貢献している。利益の金額は過去最大を更新。全体として、企業の業績は絶好調だ。

売り上げをみると、製造業は8.7%の増加。非製造業も6.6%の増加だった。家計調査によると、4-6月期は全世帯の名目消費支出は1.0%減少している。したがって売り上げ増加分は、ほとんどが値上げによるものだったと考えられる。その一方で原材料やエネルギーの値上がりが落ち着いたため、利益が大幅に増大した。

ところが株価は、このところ下がり気味。日経平均は先週1000円を超す大幅な値下がりだった。これは市場が、その先の見通しについて警戒感を持ち始めたためだろう。たとえば中国経済の不調。その兆候は4-6月期の決算にも表れてきている。製造業のなかで中国への依存度が高い化学は27.5%の減益、非鉄金属も58.1%の減益だった。

さらに値上げは企業の利益を増加させたが、消費者の節約志向を強める結果ももたらした。賃金上昇が物価高に追い付かないため、消費者の実質所得は減少しつつある。この傾向が続けば、企業は値引き競争に追い込まれるかもしれない。いまは絶好調だが、この明るさはどこまで続くのか。株式市場は、それを心配しているようだ。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +291.07円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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明暗とりどり 企業の業績

2023-05-26 08:02:17 | 利益
◇ 上場企業の利益総額は最高水準を更新 = 上場企業の23年3月期決算発表が、ほぼ終了した。日経新聞の集計によると、1154社の純利益は前年比1.3%の増加。わずかではあるが、史上最高の利益水準を更新した。これが東京市場の株価を押し上げる要因の1つとなっている。ただ内容を見て行くと、今回の決算にはいろいろな形での明暗が存在した。

まず製造業の純利益は、前年比7.8%の減少。世界経済の低迷や半導体の供給不足で、減益となった。一方、非製造業は11.4%の増益。コロナ規制が段階的に解除されたため、利益が回復した。全36業種のうち、増益あるいは黒字化したのは20業種。そのうち非製造業が14業種を占めている。23年3月期は、非製造業と製造業ではっきり明暗が分かれた。

業種別にみると、製造業で増益だったのは機械(20.2%増)と鉄鋼(0.6%増)だけ。減益率が大きかったのは繊維(40.3%減)や非鉄(32.9%減)など。非製造業で増益率が大きかったのは、通信(3倍増)や商社(19.3%増)など。サービス業だけが6.9%の減益となっている。このように製造業でも増益の業種もあれば、非製造業でも減益の業種があった。

24年3月期の予想になると、製造業と非製造業の明暗が逆転する。全産業では3.0%の増益で、さらに最高益の水準を更新する見込み。このうち製造業は3.8%の増益で、水面上に顔を出す。その一方、非製造業は2.2%の増益と業績の伸びは目立って鈍化する。業種別にみると、繊維、精密機械、通信、銀行が大きく回復する。ただ、これは上場企業についての予想。電力料金の値上がりなどで、中小企業の経営は苦しさが続くだろう。大企業との明暗は、解消しそうにない。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +118.45円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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売り上げ増でも 利益は7%減

2023-02-24 07:34:13 | 利益
◇ 昨年4-12月期の上場企業 = 日経新聞は決算発表を終えた上場1158社について、昨年4-12月期の売り上げと利益を集計した。それによると、売上高は前年比19%の増加だったが、純利益は7.3%の減少となっている。値上げなどで売り上げは伸びたものの、燃料や原材料の高騰で利益は減少してしまった。31業種のうち19業種が減益または赤字に陥っている。

業種別にみると、製造業は売り上げが17.7%増加したのに、純利益は5.8%の減少だった。パルプ・紙、石油、繊維、非鉄、食品などの業種が減益となっている。また非製造業は売り上げが5.3%の減少、純利益は8.7%の減少だった。通信、銀行の減益率が大きく、電力は赤字に転落した。通信の減益はソフトバンクの不調によるところが大きい。

ことし1-3月期の業績はコロナ規制の解除や外国人旅行客の増加で、やや改善する見込み。その結果、3月期決算では製造業が1.7%の減益に対して、非製造業は12.4%の増益になる見通し。金融を含む全産業では、2.2%の増益が見込まれている。かろうじて増益を維持しそうだが、その幅は数か月前の予想に比べると、大きく縮小した。

平均してみると、日本企業の利益水準はまだ高い。したがって、増益率の縮小をそれほど心配する必要はない。だが株価にとっては、やはり重石になるだろう。また賃上げに対して、マイナス要因となることも確か。中小企業も含めて考えると、物価上昇を上回るような賃上げが実現するとは思えない。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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意外に健闘した  企業業績

2022-11-22 07:52:28 | 利益
◇ 下半期の見通しはそんなに甘くない? = 上場企業の4-9月期決算がほぼ終了した。日経新聞が1159社を対象に集計したところによると、全産業の純利益は前年比4.8%の増加だった。厳しい環境にもかかわらず、予想外の健闘だったと言えるだろう。製造業は原材料の高騰で1.4%の増益にとどまったが、非製造業が8.2%と大きく伸びた。非製造業の増益幅は10-3月期にさらに拡大、この結果22年度は全産業で7.4%の増益になる見通し。

4-9月期の決算を業種別にみると、製造業では石油が55.2%、機械が33.5%、鉄鋼が18.0%の増益だった。その一方で、自動車・同部品は15.4%の減益となっている。資源高や円安の影響が、業種によって大きく異なった。非製造業ではコンテナ船運賃の高騰で海運が200%、資源高で商社が38.7%の増益。通信は31.0%、銀行は27.2%の減益となっている。

10-3月期の見通しも、非製造業が引っ張る形となっている。企業の見通しを集計すると、製造業はいぜんとしてコストの上昇が重しとなって、来年3月までの通期では0.2%の減益に。しかし非製造業は増益幅を拡大、通期では16.6%の増益が見込まれている。この結果、全産業では7.4%の増益になるという。

だが世界経済は、これから下降する公算が大きい。またコロナの‟第8波”も、冬を迎えて本格的に拡散する危険もある。そんな環境の悪化にもかかわらず、はたして増益幅を広げることは可能だろうか。加えて日経新聞の集計をよく見ると、下半期には通信業の利益が7.2倍にも増大。これが非製造業の利益を大きく押し上げる形になっている。その原因の一つは、ソフトバンクが前期の大赤字から回復するためだ。全体として、下半期の増益見通しは甘すぎると思う。

        ≪22日の日経平均は = 上げ +170.95円 ≫
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