経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

20年はいい年だった : 株式市場

2020-12-30 07:49:51 | 株価
◇ コロナで傷んだ世間とは対照的に = ことしの株価は新型コロナの流行で、年初から3月までは急落した。しかし、その後は年末まで大きく上昇した。財政支出の拡大と超金融緩和政策によって、大量のおカネが市中に放出されたからである。29日の日経平均を年初と比べてみると上昇率は16.5%だったが、3月の安値と比較すると上昇率は66.5%にも及ぶ。株式市場にとって、ことしはいい年だったと言えるだろう。

ダウ平均についてみると、年初来の上昇率は5.8%だったが、3月の安値比では62.4%も上昇した。年末は3万ドルを超え、史上最高値の水準で越年する。ただ日米ともに、株価は見事に二極化している。コロナ下でも成長できそうな銘柄には買いが集中、対応できない銘柄は置いて行かれた。この傾向は来年も続くだろう。

東京市場に関しては、やはり日銀の過剰な介入が目に余る。年間を通してのETF(上場投資信託)買い入れ額は、7兆円に達した。外国人投資家は3兆円ほどの売り越しだったから、その分を十二分に補っている。仮に日銀による買い入れがなかったとしたら、日経平均の動きはどうなっていたのだろう。

株式市場から目を転じると、世の中の景気は悪い。全体としての企業利益は縮小し、勤労者の実質所得も減った。倒産も増え続き、失業者も増大している。こうしたなかで、株価だけが大きく値上がりした。カネ余りがもたらしたこの現象。株価と実体経済の乖離と言ってしまえばそれまでだが、なんとも消化しにくい。

       ≪30日の日経平均 = 下げ ー123.98円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝1敗】
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絵に描いた餅 : グリーン成長戦略

2020-12-29 08:38:58 | 環境
◇ 出発点のない不思議な工程表 = 政府は25日、50年の温室効果ガス排出量ゼロを目指した「グリーン成長戦略」を発表した。洋上風力発電、次世代エネルギーとして期待される水素、自動車の電力化など14の重点分野に関する数値目標と政府の支援策を盛り込んでいる。温室効果ガス排出ゼロを成長の制約要因とはみず、新しい成長要因とみていることが大きな特色だ。

具体的には「再生可能エネルギーの電源比率を、50年には50-60%にまで引き上げる」「販売される新車を30年代半ばまでに、100%電気化する」と明記。さらに「洋上風力発電を40年までに、最大4500万㌔㍗まで増大させることを目指す」「火力発電を中心に、50年までに水素を2000万トン消費できるようにする」とも掲げている。まことに壮大な計画であると言えるだろう。

ただし、この計画には致命的な欠陥がある。30年後の目標を描き出したのはいいが、この工程表にはそこへ到達するまでの途中経過が全く書かれていない。たとえば21年、あるいは3年後、5年後には、どうするのか。それが欠落したまま、30年後の目標を並べても、絵に描いた餅に過ぎないだろう。

菅首相が「グリーン化とデジタル化」の大方針を突然打ち出した。それを裏付けるために、経済産業省が急きょ作成したのだろう。そのため洋上風力と水素が急に重視された。すると太陽光発電や原子力は、どうなってしまうのか。現在のエネルギー長期計画との整合性は、どうなるのか。21年の計画もなしに、50年の目標を掲げたのでは、鬼も笑うに笑えない。

       ≪28日の日経平均 = 上げ +197.42円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2020-12-28 08:02:29 | 株価
◇ 大きくは動けない株価 = ダウ平均は先週21ドルの値上がり。日経平均は107円の値下がりだった。株価は上にも下にも、大きくは動けない。新型コロナ・ウイルスと景気対策が綱引きをしているうえに、クリスマス・正月休みが加わったためである。市場ではコロナが拡大すると景気関連株が売られ、デジタル株が買われた。景気対策が実現性を増すとデジタル株が売られ、景気関連株が買い戻されている。

アメリカでは9000億ドル(93兆円)にのぼる追加のコロナ対策予算が、ようやく議会で可決された。日本でも19兆円の第3次補正予算案が編成された。当然、株価にとってはプラス要因。だが、その一方で新型コロナも勢いを増している。このため日米ともに、10-12月期の景気は悪化する見通しだ。株価はその間にあって、一進一退している。

新しい材料は、コロナの変異株が次々と発見されたこと。しかしニューヨーク市場が金曜日は休みだったため、この材料は消化されていない。変異コロナは日本でも確認されたが、東京市場が終わったあとのニュース。したがって今週の市場は、この材料の評価から始めることになる。株価にとって、どの程度の悪材料になるのか。

今週は28日に、11月の鉱工業生産。アメリカでは30日に、11月の中古住宅販売。また中国が31日に、12月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお28日からGO TO トラベルが全国で停止。30日は東京市場の大納会。31日には、イギリスのEU離脱移行期間が終了する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (42)

2020-12-26 08:07:28 | なし
◇ 油断できないコロナ・ウイルスの変異 = イギリスで、新型コロナ・ウイルスの変異種が次々と発見された。まず感染力が従来のものより70%も強い変異種が見付かり、直後にこんどは感染力がさらに強い南アフリカ由来の変異種が確認された。これらの新しいウイルスに対しても、ワクチンは有効だという。しかし専門家は、ウイルスは何度か変異するとワクチンが利かなくなる可能性が大きいと警告している。

パンデミック(世界的大流行)は収まるどころか、むしろ勢いを増している。世界の感染者は7800万人を超え、死亡者は173万人に達した。最も状況が深刻なアメリカは、感染者が1846万人。死亡者は1週間に1万8000人も増えて、32万6242人にのぼっている。大都市では封鎖されたところも多く、さんざんなクリスマス休暇となった。

このほか日本時間25日午前0時の集計でみると、死亡者数はブラジルが18万人台、インドが14万人台。次いでメキシコが12万人台、イタリアが7万人台。イギリスとフランスが6万人台に乗せた。ヨーロッパでもコロナ拡散の勢いは衰えず、たとえばドイツの死亡者も2万人を超えた。メルケル首相は「第2次大戦以来の危機だ」と宣言している。

日本の状況も急速に悪化している。感染者は21万1437人、この1週間で1万9789人増加した。死亡者は3136人、1週間で330人も増えている。医療専門家は連日のように“警告”を発しているが、政府の対応はきわめて鈍い。あわててイギリスからの入国を禁止したが間に合わず、変異ウイルスは日本にも上陸してしまった。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -11.74円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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上場会社を 全部買える

2020-12-25 07:41:42 | 家計
◇ 個人が保有する現金・預金は1034兆円 = 日銀が21日発表した資金循環統計によると、9月末時点で家計部門が保有する金融資産の総額は1901兆円だった。この1年間で2.7%増えている。その内容は現金が97兆4000億円で、前年比5.8%の増加。預金は937兆円で4.8%の増加だった。また株式は181兆円で1.8%の減少、投資信託は72兆円で1.6%の増加となっている。

現金と預金の合計額は1034兆円。特に現金、つまりタンス預金の増加が著しい。コロナ対策で1人一律10万円を支給したことが、大きく影響したと考えられる。しかし、この統計は資金の流れだけを捉えており、一律給付がどれだけ現金保有の増加に寄与したかは判らない。それでも相当の部分が現金で保有されたとすれば、一律給付が本当にコロナ対策に役立ったのか。疑問が残る。

それにしても、1034兆円という金額は驚くべき大きさだ。たとえば政府が編成した来年度予算案は106兆円、比べてみればとても小さく見える。また日本のGDPはおよそ500兆円。さらに東証1部に上場している2160社の時価総額は670兆円。すべての株を購入しても、十分にお釣りがくる。

政府はこれまで個人が保有する現金・預金を、株式などの投資に向けさせようとする政策を講じてきた。しかし個人が保有する巨額の現金・預金は増え続けているから、政策が奏功したとは言い切れない。投資に向けさせようとするだけではなく、なぜ個人が現金・預金を増やし続けるのか。その原因を究明する必要があるのではないか。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +143.56円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 
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