経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

“巣ごもり”の影響が歴然 : 小売り業

2020-07-31 08:33:57 | 小売り
◇ 構造変化は今後も続きそう = 経済産業省は30日、6月の商業動態統計を発表した。それによると、小売り業の販売額は1兆2295億円で前年比1.2%の減少だった。4月の13.9%減少、5月の12.5%減少から、大幅に改善している。季節調整済みの前月比でみても、6月は13.1%の増加と大きく回復した。緊急事態宣言が5月下旬に解除されたことが、こうしたた結果をもたらしたと言えるだろう。

ただ業種別・業態別にみると、“巣ごもり”の影響がきわめて明確に表われている。業種別にみると、たとえば自動車小売り業が前年比17.2%、燃料小売り業が14.6%減少だったのに対して、機械器具小売り業は15.9%、無店舗小売り業は8.1%の増加だった。外出の自粛が続き、自動車や燃料に対する需要が伸び悩む一方で、家電製品や通信販売は売り上げを伸ばしている。

業態別では、デパートとコンビニが苦戦している。デパートの販売額は前年比18.4%の大幅減。コンビニも5.1%減少と冴えなかった。両者とも、繁華街への人出減少が響いている。一方、スーパーは4.7%、家電大型専門店は25.6%、ドラッグストアは6.5%の販売増加だった。ホームセンターも17.3%増加している。

全体として、小売り業の販売額は6月に急回復した。しかしコロナの勢いは再び強まっており、7月以降の販売額が順調に伸び続ける可能性は少ない。その一方で“巣ごもり”効果は今後も続き、業種や業態間の格差はますます開く可能性が大きい。コロナがもたらした小売り業の構造変化は、まだ進んで行くだろう。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -57.88円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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コロナに怯えた 安倍首相 : 最低賃金

2020-07-30 07:56:24 | 賃金
◇ 審議会は引き上げ指針を出せず = 厚生労働省の中央最低賃金審議会は先週22日、ことしの最低賃金引き上げに関する指針の取りまとめを断念した。経営者側の委員は「コロナ不況のため中小企業には賃上げの余裕がない」と強く主張。労働者側の委員は「賃上げによって消費が増え、景気の回復にもつながる」と強く反論。結局は意見の調整がつかず、ことしは指針を出さないことになった。この審議会が指針を示さないのは、リーマン・ショック後の09年以来のこと。

最低賃金というのは、あらゆる労働者に支払われる最低の時給額。中央最低賃金審議会の指針を基に、各都道府県が毎年8月末までに独自の賃上げ率を決める仕組みになっている。安倍首相が「賃上げによって経済の好循環を生み出す」と推奨したため、16-19年は毎年3%の引き上げが実現した。この結果、現在の最低賃金は全国平均で901円となっている。

ただ地域格差は大きい。最高の東京都が1013円なのに対して、鹿児島など15県は790円。時給で223円の差は、月収や年収にすればきわめて大きい。これが東京一極集中の大きな原因になっていることは明らかだ。また国際的にみても日本の最低賃金は、かなり低い。これが優秀な外国人労働者の誘致に、大きな障害になっている。

にもかかわらず、中央審議会は最低賃金引き上げの指針を出せなかった。そこで調べてみると、なんと安倍首相が6月3日に厚労相を呼んで「コロナ不況で、いまは雇用が最優先事項だ。最低賃金は据え置く方向で」と指示していたことが判明した。これでは中央審議会も、指針を出しようがない。安倍首相はコロナに怯え、自らの好循環理論を捨てたことになる。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -260.27円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

               
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警報! 新次元に入った米中の対決 (下)

2020-07-29 08:08:12 | アメリカ
◇ 冷戦に逆戻りする危険性 = ポンぺオ国務長官は56歳。軍人、弁護士を経て共和党の下院議員に当選。トランプ政権ではCIA(中央情報局)長官から、国務長官に抜擢された。生粋の右派で、もともと中国には批判的だったが、国務長官としてここまで中国を敵視するのはむしろ異例。ホワイトハウスの内部で、反中国派が発言権を高めたことを反映しているように思われる。

演説のなかで、ポンぺオ長官は「中国の覇権伸長を抑えるため、自由主義諸国は新しい同盟を結び団結する必要がある」とも言っている。この主張は、第2次大戦後にアメリカが共産主義の拡大を抑えるためにとったコンテインメント(封じ込め)政策を想起させる。旧ソ連や中国を封じ込めた結果は冷戦を招いたが、やがてはベルリンの壁の崩壊につながったと言えるだろう。

しかし現在の中国は、当時に比べれば経済的にも軍事的にも飛躍的な増大を遂げている。またアフリカや中南米諸国との関係も、強固になっている。この中国を封じ込めることは、容易ではない。ただファーウェイ製品の排除などを巡っては、すでにイギリスのほかにフランスも同調するなど、コンテインメント的な動きが進行していることには注意すべきだろう。

11月の大統領選挙で、民主党のバイデン候補が勝つとどうなるのか。この点は、全く不明と言うしかない。ただ過去の言動からみると、バイデン氏の中国に対する姿勢は、オバマ前大統領ほど融和的ではない。またオバマ時代に比べると、アメリカ国民の反中国感情が大幅に高まっている。このためバイデン政権になっても、新冷戦に突入する可能性は大きいのではないか。日本はどう対処するのか、考えておいた方がいい。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -58.47円≫     

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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警報! 新次元に入った米中の対決 (上)

2020-07-28 07:54:06 | アメリカ
◇ ポンぺオ国務長官の重大発言 = 香港に対する優遇措置を停止。南シナ海で空母2隻が演習。中国IT企業の製品を使った企業をアメリカ政府の取り引きから排除。そしてテキサス州ヒューストンの中国領事館を閉鎖。このところ、アメリカの中国に対する厳しい報復措置が相次いでいる。大統領選挙を前に反中国の有権者を取り込もうとするトランプ氏の作戦かと思っていたが、どうもそれだけではないようだ。ポンぺオ国務長官の先週の演説が、アメリカ政府の考え方を明示した。

ポンぺオ長官は23日、カリフォルニア州で「共産党中国と自由世界の未来」と題して演説。このなかで「習近平総書記は共産主義に基づく覇権への野望を持っている」と断じ、また「私たちが共産主義の中国を変えなければ、彼らが私たちを変えることになるだろう」と、強烈に中国政府を批判した。さらに「中国を他国と同じような普通の国として扱うことは出来ない」とさえ発言している。

アメリカはこれまで「中国の経済発展を支援することで、中国が自由貿易を尊重する民主的な国に変化すること」を期待してきた。この政策は1972年に中国を電撃訪問して国交を切り拓いたニクソン元大統領以来、歴代の大統領が貫いてきた基本的な姿勢だ。ポンぺオ長官の発言は、この姿勢を根本的に改めることを示唆している。

この2年間、アメリカと中国は厳しい関税交渉を通じて、互いにその真意を探り合ってきた。その結果、アメリカはニクソン政権以来の“アメとムチ”外交では、中国は決して変わらないことに気付いたのだろう。これからはアメが姿を消し、ムチだけが使われる。要するに米中関係は、新しい次元に入る可能性が強い、そして、その影響は限りなく大きい。日本も要警戒である。

                              (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 下げ -35.76円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2020-07-27 08:05:54 | 株価
◇ コロナ+米中関係が重荷に = ダウ平均は先週202ドルの値下がり。週央にはいったん2万7000ドルを超えたが、すぐに押し戻された。上げ材料はEUが93兆円にのぼる復興基金の創設で合意したこと、それにトランプ政権が追加のコロナ対策費として210兆円の財政支出を決めたこと。下げ材料は衰えを見せないコロナの感染、それに米中関係がいっそう悪化したことだった。

東京市場は先週、月-水3日間だけの営業だった。最初はニューヨークにつられて上昇したが、連休を控えて水曜日には反落した。それでも週間55円の値上がり。中国に対する強硬な姿勢を表明したポンペオ米国務長官の演説は、連休中に伝えられた。したがって今週は、まずその評価から始めなければならない。東京市場も、コロナ+米中関係が重荷になりそうだ。

米中ともに、今週は4-6月期の企業決算が集中する。それに関連して注目されるのは、米中関係の悪化に伴って、先週は円の対ドル相場が一時105円台まで上昇したこと。有事の安全資産として買われたらしいが、米中間の緊張は日中間の緊張にも通じる。はたして安全な資産なのか、首をかしげる人も少なくないのでは。

今週は28日に、6月の企業向けサービス価格。30日に、6月の商業動態統計。31日に、6月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。アメリカでは28日に、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、4-6月期のGDP速報。またEUが31日に、4-6月期のGDP速報。中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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