経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

懲りない 立憲民主党の「原発ゼロ法案」 (上)

2018-02-28 08:01:06 | 原発
◇ 入り口のない高速道路 = 立憲民主党は独自に「原発ゼロ法案」を作成し、間もなく国会に提出することになった。法案の骨子は①すべての原発の運転を速やかに停止する②全原発の廃炉を5年以内に決定する③再生エネルギーの割合を30年までに、電力供給量の40%以上とする――など。一見すると、きわめて立派な設計図に仕上がっている。だが最大の欠点は、目標を達成するための方法論が示されていないことだ。

すべての原発の運転を速やかに停止した場合、電力の供給はどうなるのか。たとえば石炭やLNG(液化天然ガス)による火力発電を増やして、地球温暖化ガスの排出を野放しで増やしてもいいのか。ほかに何かいい方法があるのか。この点に目をつぶっているから、多くの国民は心配してしまう。

法案では、対策らしきものとして「電力消費量を28年までに、08年の実績より30%減少させる」と書いてある。しかし、どうやったら実現できるのか。国民に戦時中のような耐乏生活を送れと言うのだろうか。また原発立地地域への配慮として「政府は責任をもって雇用を創出する」とも書いてある。しかし、その方法については全く触れていない。

福島原発の大事故を受けて、多くの国民が“原発ゼロ”を望んでいることは間違いない。だが、どうやれば企業活動や国民生活を維持しながら目標を達成できるのか。そこが大問題なのに、立憲民主党の法案はそこを逃げている。とても立派そうに見える高速道路の設計図はできたが、入り口が欠落している。これでは使い物にならない。

                               (続きは明日)

      ≪27日の日経平均 = 上げ +236.23円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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3か4か : パウレル新議長の本心は?

2018-02-27 08:25:11 | アメリカ
◇ きょうの議会証言に注目 = アメリカの中央銀行であるFRBの議長に就任したばかりのジェローム・パウエル氏が、きょう下院で証言する。すでにFRBは「さらなる段階的な利上げが正当化される」という趣旨の金融政策報告書を議会に提出した。したがってパウエル新議長が、この趣旨から逸脱した話をするはずはない。にもかかわらず新議長がどんな説明をするのかに、大きな関心が集まっている。

FRBは15年12月から、政策金利の引き上げを開始した。昨年12月には5回目の引き上げを実施、政策金利は年1.5%の水準になっている。さらに景気の回復が続いていることから、市場ではことしも3回の引き上げがあると予測していた。市場にこう思い込ませたのは、イエレン前議長の巧みな誘導によるものと言えるだろう。

ところが議長が交代した今月初めから、アメリカ経済の状況が急変した。長期金利の急騰で株価が暴落。物価が予想以上に上がり始めて、インフレ懸念が台頭している。このため市場では「今年の利上げは4回に増えるのではないか」という予想が、かなり強まってしまった。こんな状況下でパウエル新議長が「今年は3回」を示唆すれば、インフレ懸念がさらに高まりかねない。といって「4回」をにおわせれば、景気に悪影響を及ぼすかもしれない。

議会証言では、議員による質問にも答えなければならない。パウエル氏はもともと法律家であって、経済や金融の専門家ではない。議員の巧みな誘導尋問によって本心が引き出されれば、市場の空気が大変わりする可能性もないではない。パウエル議長にとっては初舞台となるきょうの議会証言に、注目が集まる理由はここにある。

      ≪26日の日経平均 = 上げ +260.85円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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今週のポイント

2018-02-26 08:18:43 | 株価
◇ 為替市場はまだ不安定 = 株式市場が落ち着きを取り戻してきた。ニューヨーク市場の株価は、FRBによる金融引き締めのテンポが速まるという予想で下落。その反動で上昇するという“正常な”パターンに復帰した。1日の値幅もひところに比べれば、ずいぶん小さくなっている。ダウ平均は先週91ドルの値上がり。終り値では2万5000ドル台を回復した。

日経平均は先週173円の値上がり。ニューヨークの株価に追随する傾向が強かった。ただ東京市場の場合は、円相場の動きも大きく影響する。週末の対ドル相場は107円強で、先々週末よりやや円安になった。しかし主要な輸出企業の想定レートが108円前後であるため、株価にとってはマイナス材料になってしまう。しかも今後の動きが読みにくい。

株式市場は安定してきたが、為替市場はまだ流動的だ。たとえばアメリカで利上げの可能性が増大すれば、従来ならドル高・円安になった。ところが先週も利上げの警戒で株価が下がっても、ドル安・円高になることが多かった。3月に入ると、20-21日に予定されるFOMC(公開市場委員会)が、市場の視野に大きく入ってくる。その結果、為替がどう動くのか。見守るしかない。

今週は28日に、1月の鉱工業生産と商業動態統計。1日に、10-12月期の法人企業統計、2月の消費動向調査と新車販売。2日に、1月の労働力調査。アメリカでは26日に、1月の新築住宅販売。27日に、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、10-12月期のGDP改定値。1日に、2月の新車販売とISM製造業景況指数。また中国が28日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ
          
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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-02-25 08:35:04 | SF
第3章  経 済 が な い 世 界 

≪21≫ 97歳のおばあさん = この星に来てから半年も経ったが、ちかごろ心配なことがある。けさも美味しい朝食を食べたけれど、ぼくの部屋代や食事代は、いったい誰が払ってくれているんだろう。急に払ってくれと言われても、ぼくは無一文だ。
これだけ科学が発達している国だから、支払いはカードとか電子マネーで済ませているのだろう。最初のころは、そう思って深くは考えなかった。しかし6か月分も勘定が溜れば、相当の金額になるに違いない。マーヤに聞いてみなければ。

その夜、何度か行ったことのある近くのレストランへ出かけた。家族づれやカップルのお客が多い。そこでマーヤに「ここの支払いはどうしているの」と聞いてみたが、キョトンとして答えられない。するとマーヤはすっと立ち上がり奥の方のテーブルに歩いて行って、そこの女性客と何やら話している。そして、その女性客を連れて帰ってきた。

「ご近所に住んでいらっしゃるガーシュさんです。昔のことをよく知っておられるので、お連れしました」とマーヤ。
白髪交じりなのでお年寄りだとは思ったが、左胸のプレートをみてびっくり。なんと、その数字は≪03≫だ。御年97歳ということになる。聞けば3年前に、ご主人は100歳の寿命を全うされたのだそうだ。

「私のような者でも、お役に立てばと思ってやってきました。いま、この国におカネは存在しません。どんな物でもロボットたちが作ってくれますからね。ロボットはタダで働いてくれますから、人間は食べ物でもお着物でもタダで手に入れることができるのです。だから貴方も、支払いの心配をされる必要はありませんよ。

大昔は、この国でもおカネが使われていたんです。私のおじいちゃんが『オレの若いころには、おカネというものがあってね。おカネがないと、何も買えなかった。おカネを得るためには、働かなければならなかった。当時の人々はおカネを手に入れるために人を騙したり、人を殺したり。バカなことをやっていたんだよ』とよく言ってましたっけ」

そうか、この国にはおカネがないんだ。そうすると・・・。
考えていたら、ガーシュさんがこう続けた。

「そうそう、私の知り合いにショッピーさんという人がいてね、いまでも歴史博物館の館長をやっているんです。そこへ行かれたら、昔のおカネがあった時代のことがもっとよく解ると思いますよ。私から連絡しておきますから、ぜひ会いに行かれたらいい」

97歳とはとても思えないガーシュおばあちゃんの言葉に感激し、さっそくその勧めに乗ることにした。

                           (続きは来週日曜日)

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プ レ ー ト

2018-02-24 08:00:43 | SF
◇ これまでの あらすじ ◇

1) 地球が寒冷化の危機
 = 21世紀の半ば、地球は厚いメタン・ガスに覆われ、冷え込んでしまった。食料不足に見舞われた人類は、移住できる星を探るために、宇宙船を飛ばした。ぼくはその宇宙飛行士の1人。4.2光年離れたダーストン星にたどり着く。

着陸時に事故が起こり、ぼくは重傷を負った。しかし、この国の医療技術は完璧で、1週間のうちに歩けるようになる。どんな病気でもケガでも治してしまうので、この国の人たちは死ななくなってしまった。

2) マーヤという名のロボット = ぼくの世話をするために日本語が判るように改造されたのが、マーヤという名前の女性ロボットだ。ロボットとは言っても、顔や体つき、それに皮膚の艶やかさは人間並み。この国のロボット技術は素晴らしい。この人間並みのロボットが、工場や家庭で働いている。

マーヤは左胸に「71」と書かれたプレートを付けている。ロボットだけではなく、人間の胸にもプレートが。病院のブルトン院長は「48」、賢人会議の議長を務めるウラノス博士は「12」だった。そして、ぼくの左胸にも「66」のプレートが。この数字は「100から年齢を引いた数字」だと聞いて驚いた。

3) 全国民の寿命が100歳 = ダーストン星はベートンという名の恒星の周りを回っている惑星だ。住民は300年ほど前に別の星から移住してきた人たちの子孫。移住は大型宇宙船で行われたが、それでも人口の1割ぐらいしか運べなかった。

残った9割の人々は、放射能汚染のために死滅したという。自分たちが犠牲になって、1割の人を新天地へ送り出した。このダーストン国では先祖の崇高な精神を受け継ぎ、人口を抑制するため驚くべき決断に踏み切った。それが死ななくなった国民の寿命を、すべて100歳にするという異常な制度の導入である。

4) 地球の冷却化が止まる = しばらくすると、地球の冷却化が止まったというニュースを聞く。これもダーストン国が、最新の宇宙バリア技術を使った結果だという。でも、この国の人がどうして地球の復活に手を貸したのか。全く見当もつかない。

                                 (明日から第3章)

      ≪23日の日経平均 = 上げ +156.34円≫

      【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】              
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