経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

翻弄された 円と株 (下)

2018-01-31 08:25:30 | 円相場
◇ 1ドル=110円の重み = 円の対ドル相場は昨年中、107円から115円の間で行き来していた。1年間の値幅としては、きわめて小さい。この安定していた円相場が振幅を拡大するのかどうか。日本経済にとって重要なことは言うまでもない。特に110円を超えて上昇するかどうかが、当面の注目点になるだろう。

日銀の調査によると、大企業・製造業が17年度中に想定している円相場は110円18銭だった。したがって相場がこれ以上に上昇すると、営業利益が減ることになる。間もなく10-12月期の決算発表が本格化するが、円相場が110円を突破するようだと、経営者の将来展望は慎重にならざるをえない。すると株価には悪い影響が出てしまう。

再び話をダボス会議に戻そう。アメリカの大統領と財務長官が、正反対の発言をした。その真意は全く不明だし、市場は相殺して考えるしかない。そこで残るのは、日銀総裁の発言ということになる。世界を見渡すと、アメリカに次いでユーロ圏も金融緩和政策を終了した。イギリスもカナダも金利の引き上げに踏み切った。残るのは日本しかない。

日本も近く緩和政策を修正するだろう。こうした見方が広まれば、日米間の金利差が縮まり円相場は上昇すると考えられる。もちろん為替相場は多種多様の原因で動くから一概に断定はできないが、世界の為替マフィアが今後は日本円を注視することは間違いなさそうだ。もしかすると、黒田総裁の発言は余計な火付け役になるかもしれない。

      ≪30日の日経平均 = 下げ -337.37円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ

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翻弄された 円と株 (上)

2018-01-30 08:18:03 | 円相場
◇ ダボス会議の要人発言で振動 = 長らく安定していた円の対ドル相場が、先週は久しぶりに上下動した。いずれもスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムに出席した要人たちの発言が、震源になっている。まず24日、アメリカのムニューニン財務長官が記者会見で「弱いドルはアメリカにとって、よいことだ」と発言。これで円は108円74銭と4か月半ぶりの水準に高騰、日経平均は200円近く下落した。

あくる25日、こんどはトランプ大統領がテレビのインタビューで「私は強いドルが見たい」と発言。円は109円台後半にまで反落した。しかし、その真意を測りかねて日経平均は大幅に続落。さらに26日には、黒田日銀総裁の「物価2%上昇の目標に近づいた」という発言で、円は108円28銭にまで再上昇。日経平均は続落している。

これらの発言には、見事な共通点がある。それは、いずれの発言も意図が判然としないことだ。ムニューニン財務長官は、これまで強いドルの支持派として知られてきた。それが突然に宗旨替えした真意は何なのか。トランプ大統領は“アメリカ・ファースト”の観点から、貿易黒字の拡大にご執心だった。それが、どうして?

黒田総裁は「日銀も成果を挙げている」と主張したかっただけなのか。それとも本気で緩和政策の修正を考え始めたのか。いずれも発言の真意が不明瞭だ。このため為替市場には戸惑いが広がり、その不安感が株式市場にも伝わった。今週以降はその波紋も収まり、市場は平静さを取り戻すのか。それとも波紋が波紋を呼び、為替相場の変動は続くのか。

                        (続きは明日)

      ≪29日の日経平均 = 下げ -2.54円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ

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今週のポイント

2018-01-29 08:19:42 | 株価
◇ 数十年に1度の大相場になるかも = ニューヨーク株式の騰勢が止まらない。ダウ平均は先週545ドルの値上がり。2万6600ドル台に達して、さらに2万7000ドル台を狙う勢い。なにしろ2万ドルに載せたのが、ちょうど1年前の17年1月25日。そこからアッと言う間に、ここまで上昇してきた。通常なら長期金利が上がり、ドル高が進むところだが、いまのところ今回はそれがない。市場の一部では「数十年に1度の大相場になる」という期待も出始めた。

日経平均は先週276円の値下がり。ニューヨークについて行けなかったのは、主として円高が進行したため。23日には終値で2万4000円台に到達したが、その後は反落してしまった。ダボス会議に出席した各国要人の発言が、為替市場に影響を与えたからである。逆に言うと、これまで安定していた為替相場が不安定になってきたとも考えられる。

ニューヨーク株式が歴史的な大相場に発展するかどうかは、まだ判らない。しかしアメリカの企業業績はさらに上向く見通しだから、世界同時好況のワク組みが崩れない限り、上げ相場が持続する可能性はある。ただ為替が動き出したことから、アメリカの金利水準にも変化が生じるかもしれない。当面は為替と金利の動きに注目すべきだろう。

今週は30日に、12月の労働力調査、家計調査、商業動態統計。31日に、12月の鉱工業生産と住宅着工戸数、1月の消費動向調査。1日に、1月の新車販売。アメリカでは30日に、1月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、ISM製造業景況指数。2日に、1月の雇用統計。また中国が3日に、1月の製造業と非製造業のPMI。EUが30日に、10-12月期のGDP速報を発表する。なお31日に、トランプ大統領が一般教書を朗読する。

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-01-28 08:17:12 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪17≫ バリアの技術 = きょうは郊外にある科学大学院のメンデール学長を再び訪ねた。市中の建物はだいたい20-30階建てだが、このビルは40階建て。群を抜いて高い。屋上に通信用のアンテナ類が林立している。車が正面玄関に着くと、女性ロボットが出迎えていた。マーヤをみると、とても嬉しそうにしている。ぼくには聞こえないが、何やら通信を交わしているように思われた。

40階の広大な機械室の一隅で、メンデール教授が待ち受けていた。挨拶もそこそこ、教授は満面の笑みをたたえて「いいニュースですよ」と言う。

「地球は完全に元の状態に戻りつつあります。データの解析をしたところ、赤道付近の気温は30度を超え始めました。東京やニューヨークの雪もほとんど融けています。もう1年もすれば、地球は完全に元通りになりますよ。地球ではいま、いろんな国のマスコミが連日この様子を大きく報道しています。もっとも原因については、首をひねっているようですが。はっはっは」

――でも、なんで冷却化が止まったのでしょう。全く不思議だ。
「わが国のUFOが6機、3年前から地球に派遣され、大気圏の上層部に溜ったメタンガスを強力な風力で吹き飛ばしたからです。その効果が、やっと現われました。もっとも同時にCO2なども吹き飛ばされたため、このままだと地球の温度は上がり過ぎてしまうでしょう」

――えっ、それでは一難去ってまた一難だ。こんどは温暖化で苦しむことになりますね。
「もちろん、その対策も考えてあります。UFOが数個の人工衛星を静止軌道に放出し、これらの衛星が特殊な金属粒子で作られたバリアを張ります。このバリアが太陽光線を、適当な強さにまで弱めてくれるはず。その程度を外部からコントロールすることで、地球上の気温を最適に保つことができるというわけです。どうぞ、ご安心ください」

――本当に、そんなことができるんですか?
「ええ、われわれは200年前の建国以来、ずっと宇宙空間にバリアを張る技術を研究してきました。当初の目的は、地球で言う台風やハリケーンのような暴風雨の発生を抑制することにありました。暴風雨に襲われると、この国は平坦な地形なために海岸線に近い土地が大きな被害を受けます。そこで南の海で暴風雨の卵が発生すると、その周辺の海水温を下げて発達しないようにする。つまり太陽光をバリアで調節してしまうわけです」

驚くべきダーストン国の科学技術力。開いた口が塞がらない思いだった。それにしても、このダーストン星の人々は、なんで地球にこんなに親切なのだろう。どうしても解らない。

                         (続きは来週日曜日)

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政府の姿勢に矛盾? : 3%賃上げ

2018-01-27 08:39:14 | 賃金
◇ 明るい展望を示せないのに = 安倍首相はことしも民間に対して「3%の賃金引上げ」を強く要請。経団連もこれを受け入れ、協力することになった。しかし日経新聞などの調査によると、3%以上の賃上げを考慮している企業の数は、そんなに多くない。大幅な賃上げによって消費を増やし、経済の“好循環”を起こしたいという安倍首相の構想は、はたして実現するのだろうか。

絶好調の業績を続けながら、企業はなぜ「3%賃上げ」に慎重なのだろうか。その大きな理由の1つは、利益の大半が海外での事業展開に依存していること。企業としては儲かる海外で資金を使いたいから、国内の設備投資や賃上げには慎重になってしまいがちだ。裏返して言うと、人口が減少して行く国内経済の将来に明るい展望を持てずにいる。

政府は今週22日の閣議で、18年度の経済見通しを決定した。ここでは実質成長率を1.8%、名目成長率を2.5%と予測している。つまり日本経済は18年度中、輸出も含めて2.5%しか拡大しない。名目成長率と賃上げ率とは、必ずしも直接的に関連はしない。しかし経済のパイが2.5%しか広がらないと考えている政府が、民間企業に3%以上の賃上げを求めるのは大きな矛盾ではないだろうか。

人口が減って行くなかでも、生産性の向上や規制の撤廃で経済成長率は上げることが出来る。政府のこの説明は正しいに違いない。だが、その達成は困難だ。したがって成長率は2.5%がせいぜいとなる。政府の経済見通しは、こうして作成された。民間の経営者はそのことを感知しているから、大幅な賃上げには踏み切れない。

      ≪26日の日経平均 = 下げ -37.61円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   
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