経済なんでも研究会

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東京は大阪の6割高に : 電気料金 (下)

2023-02-01 07:40:57 | 電気料金
◇ 問われる補助金の役割 = ことしの家庭向け電気料金をグラフにしてみると、まるでジェットコースターのようだ。輸入燃料の高騰で大きく上がり、政府の補助金で下がり、値上げでまた大きく上がる。こんなことは、かつてなかった。また電力会社によって、料金に大きな差がつく。東京電力の料金は、関西電力の6割増になる見込み。こんなことも、かつてなかった。

電力会社によって料金に差がつくのは、原発が動いているかどうかによる。いま日本で稼働している原発は10基のみ。そのうちの5基は関西電力、4基は九州電力、1基は四国電力が保有している。このうち関西電力と九州電力は、値上げの申請をしなかった。残りの7電力会社が保有する原発は動いておらず、中部電力を除いてみな値上げを申請。このため料金に大きな差が発生することになった。

政府は家庭と小規模企業の負担を和らげるため、電気代とガス代が2割ほど安くなるよう電力・ガス会社に補助金を出している。期間は1月から9月まで。実際の負担減少は、2月から10月までの徴収分になる。だが10月以降については未定。もし打ち切りとなれば、10月分からの料金は一気に2割ほど上昇してしまう。この措置にかかった財政支出は6兆円。仮に6か月延長すると4兆円が必要だが、財源のメドは全く付いていない。

補助金による料金の値下げは、消費者にとっては有難い。しかし電気・ガス料金を巡る環境には変わりがなく、将来への不安は全く拭えない。もし6兆円の補助金を太陽光や風力発電の普及に注ぎ込んだら、どうだったろう。その結果、再生エネルギーによる発電量が増えれば、その分だけ燃料の輸入量を減らせる。購買力の海外流出が減って景気にプラスとなるだけではなく、温暖化ガスの削減にも貢献する。こう考えると、補助金政策にはどうしても疑問が残ってしまう。

        ≪31日の日経平均 = 下げ -106.29円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

東京は大阪の6割高に : 電気料金 (上)

2023-01-31 08:28:08 | 電気料金
◇ 原発の有無で大きな差が発生 = 大手電力会社の値上げ申請が出揃った。値上げを申請したのは、北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄の7社。残りの中部・関西・九州の3社は、値上げしない。申請した値上げ幅が最も大きかったのは北陸電力の42.7%、小さかったのは四国電力の27.9%。北海道と東京は6月から、その他の5社は4月からの値上げを予定している。経済産業省の審議会が査定するが、申請に近い値上げが認められることになりそうだ。

各家庭が電力会社と結ぶ契約には、2つの方法がある。1つは値上げに政府の認可が必要な規制料金方式。もう1つは16年の全面自由化に伴って設置された自由料金方式で、政府の認可は必要ない。規制料金方式で電力会社と契約している家庭は、全体の約7割。今回はこの規制料金が値上げされる。値上げの理由は、言うまでもなく輸入燃料の高騰だ。

東京電力の規制料金契約は約1000万件。その東京電力の場合、平均的な家庭(月260㌔㍗時)の料金は1月で9126円だった。申請通りの値上げが認められれば、6月の料金は1万1737円に上がる。ところが政府が1月から電力会社に補助金を出して、料金が2割程度下がるようにした。このため6月の料金は9917円に。1月に比べると、791円の値上がりということになる。

関西電力など3社が値上げしないのは、原発が稼働してコストが下がっているため。政府の補助金があるため、関西電力の6月の料金は標準世帯で5677円になる見込み。東京電力との差は、なんと4240円にもなる。関東圏の電気料金は6月以降、関西圏より6割も高くなる。しかも政府の補助金は、いまのところ9月分で終了する予定。それ以降は、全国の料金がさらに2割程度も上がることになるかもしれない。

                       (続きは明日)

        ≪30日の日経平均 = 上げ +50.84円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

上がる 上がる 電気料金 (下)

2017-03-31 07:56:00 | 電気料金
◇ 政府の大失敗も料金に上乗せ = 政府は太陽光発電の普及を促すため、12年度に電力会社による強制買い取り制度を導入した。これによる電力会社の支出増加分は、そのまま電気料金に加算される。ところが経済産業省は当初の買い取り価格を、たとえば大規模業者の場合は1㌔㍗時40円という法外に高い値段に設定してしまった。しかも、この買い取り価格を20年間も保証したのである。

ちなみにドイツの買い取り価格は約10円だ。この失敗に気付いた政府は、買い取り価格を24円にまで引き下げた。しかし買い取り費用は累増し、17年度は2兆7000億円に達している。標準家庭でみると、上乗せ額は12年度には年間790円だったものが、17年度は8200円を超えた。この上乗せ額は32年度まで増え続け、減少することはない。

さらに20年からは、電気料金の上昇要因が加わる。福島第1原発の事故に必要な対策費用は21兆5000億円に達する見込み。政府はこのうち賠償に必要な費用7兆9000億円のうちの4兆円を、沖縄電力を除く大手9電力と新電力会社に分担させることを決めた。この分は20年から40年間にわたって、電気料金に加算される。

こんな状況だから原油価格が少々下がったとしても、電気料金はなかなか下がりにくい。家計や中小企業の負担が増える一方で、早い段階で太陽光発電に参入した業者は“濡れ手に粟”の収入を享受している。経済産業省は、大失敗にはもちろん口を拭っている。国会でも野党は森友問題に忙しく、こんな大事な問題を取り上げようとはしない。

      ≪30日の日経平均 = 下げ -154.26円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ


上がる 上がる 電気料金 (上)

2017-03-30 08:07:11 | 電気料金
◇ 4か月連続の値上げ = 電気料金がじわじわと上がっている。大手電力10社は5月も値上げすると発表、これで全社が4か月続けて料金を引き上げることになった。東京電力の場合、毎月260㌔㍗時を使用する標準家庭で、この間の値上げ幅は448円にのぼる。5月の月額料金は6605円になる見込み。関西電力や中部電力なども、ほぼ同様。家計の負担は、じわっと重くなってきた。

工場や事務所向けの電力も値上げされる。だから電力をたくさん使用する製造業や小売業は、コストが上がってしまう。それが製品に転嫁されると、その面からも家計は圧迫されることになる。また競争が激しく販売価格に転嫁するのが難しい中小企業は、経営が苦しくなって行く。

電力料金の決まり方は、なかなか複雑だ。まず電力会社の設備費や人件費をもとに、基本料金が決められる。この基本料金はインフレでもない限り、そう大きくは変動しない。ところが、これにいくつかの付随料金が加算される。その最大のものが、原燃料費調整制度による上乗せ金額だ。

これは電力会社が輸入する原油やLNG(液化天然ガス)などの価格変動を、料金に反映させる仕組み。ことしに入ってからの電気料金引き上げは、原油の国際価格が上昇したことと円安が主な理由となっている。したがって仮に原油価格が下落すれば、電気料金は下がるはず。しかし他の付随料金もあって、料金の引き下げはそう簡単ではない。

                                      (続きは明日)  

      ≪29日の日経平均 = 上げ +14.61円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

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