経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

“脱炭素”運動が 加速する

2021-09-30 07:38:58 | 環境
◇ ドイツ総選挙が明示する方向 = ドイツの総選挙で、中道左派のSPD(社会民主党)が16年ぶりに第1党の座を奪還した。獲得した議席数は206。メルケル首相が率いた中道右派のCDU・CSU(キリスト教民主社会同盟)は議席数を大きく減らして186。そして環境問題を最重視する緑の党が躍進、118の議席を獲得して第3党に。あとは経済界寄りの自由民主党が92議席で続いた。

ドイツ連邦議会の議席数は735。したがって第1党のSPDも、過半数に達しない。連立を模索することになるが、大いに難航しそうだ。現地のマスコミが伝える連立の組み合わせは3通り。①SPD+緑の党+自民党②CDU・CSU+緑の党+自民党③SPD+CDU・CSU。ここで最大の難問は、緑の党と自民党の政策綱領が全く相反すること。この両党を一緒に取り込めなければ、再びSPDとCDU・CSUが連立するしかない。

ここから判ることは、緑の党の重要性だ。3党連立の場合は、必ず閣内に入る。2党連立のときは、野党第1党になる。いずれにしても、ドイツ国内での発言力は強まるに違いない。すると脱炭素に向けた動きは加速する。すでに緑の党は、30年までに石炭火力発電をなくす。30年の温暖化ガス排出量を90年比で70%にすることを公約している。

EU内部におけるドイツの発言力は、きわめて大きい。したがってドイツ国内の変化は、ただちにEUの政策にも影響を及ぼす。たとえばEUは、35年までにガソリン車とHV(ハイブリッド車)の販売を全面的に禁止することを決めている。この目標年次が、さらに繰り上げられる可能性も小さくはない。緑の党の衝撃は、すぐ日本にも到達するだろう。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -639.67円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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恒大ショックの 勘どころ (下)

2021-09-29 08:23:19 | 中国
◇ ドル建て債務の返済は後回し? = 北京政府が恒大集団を救済しようと思えば、簡単にできる。金融機関に追加融資を命令すればいい。だが2つの理由から、この方法は取れない。1つは不動産バブルの抑制が困難になること。もう1つは、国民の間から「富裕層を助けるのか」と反発の声が上がるからだ。特に習近平主席が「共同富裕(貧富の格差是正)」のスローガンを掲げているいま、安易な救済は難しい。では、どうするか。

最も可能性が大きい対策は、こうだろう。まず恒大集団が保有する土地や建物、株式や債券を売り払い、返済に充てる。それが出来なくなったら、資産を細かく分割して、地方政府や国有企業に買い取らせる。その結果、恒大集団は消滅するが、事業の多くは形を変えて継続される。連鎖倒産も、かなり防げることになるだろう。

だが、それで一件落着というわけにはいかない。恒大集団のドル建て債務は約2兆1000億ドル。ほとんどは海外投資家が保有する社債と株式だが、その利払いや元本償還は後回しにされる公算が大きい。すると欧米の中小金融機関のなかには、経営困難に陥るところが出てくるかもしれない。また中国国内で、別の不動産会社が行き詰まる可能性もある。なにしろ1-6月期には、不動産を中心に約2兆円のデフォルト(債務不履行)が発生しているのだ。

他の不動産大手が経営不振に陥ったとき、習政権はどうするのか。この点については、非常に不鮮明な解説が飛び交っている。それは「恒大集団は共産党のなかで習近平氏と対立する勢力に近かった」という指摘。もしそうなら、次に行き詰まる企業が習氏に近ければ救済されることになる。だが、この点に関する真実は藪の中だ。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -56.10円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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恒大ショックの 勘どころ (上)

2021-09-28 07:16:04 | 中国
◇ 政府が潰す巨大不動産会社 = 中国の不動産業最大手・恒大集団の経営行き詰まりが報じられ、世界の株価は先週いっせいに急落した。ただ週の後半、期日が来ていた社債の利子が支払われたため、株価は大きく戻している。しかし、これで一件落着と考える人はいない。次々と迫ってくる巨額の債務返済に対応できる可能性は、きわめて低いと予想されるためである。

恒大集団は1996年、広州市で創業。小型マンションの建築・販売で不動産ブームに乗り、急成長を遂げた。最近は従業員20万人、取り引き先企業は8000社、飲料水からEV(電気自動車)までを手掛ける巨大コンツェルンに変貌している。ただ、その商法は建築したビルやマンションを抵当に借金し、そのカネで次のプロジェクトを進めるというやり方。

このため債務総額は、日本円に換算すると33兆4000億円に膨れていた。その内容は、借入金・社債・株式。さらには下請けへの未払い金・マンションなどの契約収入金ということになる。こんな状況のなか、昨年夏に雷が落ちた。政府・中央銀行が、行きすぎた不動産バブルを抑制するため、金融機関に対して不動産融資の規制を断行したのである。これで恒大集団の経営は、一挙に揺らぐことになった。

見方を変えると、恒大集団の経営破たんは政府が意図的に仕組んだ結果。不動産バブルを終息させるための“見せしめ”と考えてもいい。ただし、それが連鎖的な企業倒産を引き起こすことは避けなければならない。中国の不動産産業はGDPの約7%を占める。仮にそれが2割も縮小すれば、GDPは1.5%減少してしまう。では習近平政権は、どのようにこの問題を解決しようとしているのか。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -8.75円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2021-09-27 08:05:30 | 株価
◇ 中国発の余震はまだ続く = 世界の株式市場は先週、中国発の大地震に見舞われた。発端は20日に伝わった「不動産開発大手・恒大集団の行き詰まり」観測ニュース。まず香港市場の株価が急落。ヨーロッパからアメリカ市場にも、激震が伝わった。このためダウ平均は、先週前半に600ドルを超す値下がりとなっている。つれて日経平均も860円の下落となった。

ところが恒大集団は21日、期限がきていた社債の利子について元建ての部分だけを支払った。これで緊迫感は一気に解消、株価は反発に転じている。その結果、週間を通してみると、ダウ平均は213ドルの上昇。日経平均も251円の下落にとどまった。地震は震度5程度に収まり、被害は出なかったことになる。

しかし安心はできない。恒大集団の負債は33兆円にものぼり、返済期日が次々とやってくる。いつ債務不履行になるか、見当がつかない。また他の不動産大手が行き詰まる可能性もないではない。余震は必ず来るし、震度も大きくなると考える専門家は多い。こうした状況のなかで特に注目されるのが、中国政府の姿勢。だが、いまのところ恒大集団を助けるのか助けないのか、全く判らない。

今週は27日に、8月の企業向けサービス価格。30日に8月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、8月の労働力調査、9月の日銀短観、消費動向調査、新車販売。アメリカでは28日に、7月のFHFA住宅価格、9月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、8月の中古住宅販売。30日に、4-6月期のGDP確定値。1日に、9月のISM製造業景況指数。また中国が30日に、9月の製造業・非製造業のPMIを発表する。なお29日には、自民党の総裁選挙。

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (80)

2021-09-25 07:40:24 | なし
◇ 原因不明なコロナ感染の落ち着き = 世界の感染者は累計2億3009万人、この1週間で370万人増加した。死亡者は471万9697人、1週間で5万9277人増えている。感染者の増加数は4週連続でやや縮小、死亡者の増加数は前週より約4000人減った。コロナ・ウイルスの勢いはまだ強いが、加速はしていない。特に新興国での落ち着きが目立っている。

アメリカの感染者は累計4255万人、この1週間で93万9000人増えた。死亡者は68万1253人で、1週間前より1万4623人増加している。規制の解除で、全体としての状況は悪化した。国別の死亡者数をみると、ブラジルが59万人台、インドが44万人台、メキシコが27万人台。続いてロシアが19万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランとフランスが11万人台の順。アメリカとロシアのほかは、総じて死亡者の増加数が縮小している。

この1週間の死亡者増加数をみると、ブラジルとメキシコが3000人台、インドが2000人台、インドネシアが1000人台に減少している。8月上旬にはブラジルが6万5000人台、インドが3万人台、インドネシアが1万3000人台だったのに比べると、驚くべき縮小ぶりだ。これらの新興国では、ワクチンの接種も進んでいない。移動制限も十分とは言えない。にもかかわらず、感染者や死亡者の増加が激減した。その原因は全く不明で、専門家も首をひねっている。

日本でも状況は急激に改善した。感染者は累計168万7905人。この1週間で2万4004人の増加。増加数は前週の約半分、この3週間で10万人以上も減っている。死亡者は1万7386人で、増加数は341人。前週より66人縮小した。ワクチンの接種は進んだが、専門家も驚くほどの好転である。政府は緊急事態宣言を解除し、規制を段階的に緩める方針のようだ。ただ改善した原因は、日本の場合もはっきりしない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +609.41円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝0敗】     
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