経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

地方銀行の 憂うつ (下)

2020-09-25 08:06:21 | 地銀
◇ 地方の殿さま体質が最大の障害 = ひと口に地方銀行と言っても、その規模や内容はさまざまだ。なかには横浜や千葉などの中核都市に根付いて、大銀行の風格を持つ地銀もある。その一方では相互銀行から昇格した小規模な地銀も。そうしたなかで目立つのが、県庁所在地に本店を持つ文字通りの地方銀行。歴史も古く、その地域では長年”殿さま”扱いされてきた。だから現状変更には、気乗り薄だ。

同じ地域に存在する地方銀行は、ライバルになりやすい。その銀行同士が合併するのは、仲の悪い家同士の子女が結婚するようなもの。なかなか難しい。さらに経営状態の悪い地銀同士が合併すれば、状態はもっと悪くなる。また経営状態のいい地銀が悪い地銀を合併しても、あまりメリットはない。その場合は両行の給与水準の違いも、現実的なネックになる。

銀行が合併するメリットは、重複する店舗を統廃合し、コンピューター・システムなどを一元化することで生まれる。だが地銀の場合は、このメリットがそう大きくない。したがって政府が地銀の再編成を進めようとするなら、預金保険料の引下げぐらいではダメ。もっと大きなアメ玉が必要になってくるだろう。

菅首相の「地銀改革→中小企業支援→地域活性化」という考え方は、もしかすると逆なのかもしれない。政府は先に中小企業の改革に努力を集中し、その結果として地銀の経営もよくなるという方が現実的なのではないか。健全な中小企業がカネを借り、地銀が本業の預貸業務で利益を出せるようになれば、脱落する弱小地銀の救済合併も可能になってくるだろう。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -258.67円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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地方銀行の 憂うつ (上)

2020-09-24 08:19:05 | 地銀
◇ 政府が合併を暗に要請 = 「地方銀行は、地域経済の底上げに十分な役割を果たしていない」「将来的には数も多すぎるのではないか」ー-就任したばかりの菅新首相の口から、こんな発言が飛び出した。地方経済の再生を重視する菅首相。そのためには中小企業の活性化ガ重要、そのためには地方銀行の改革が欠かせないという論理である。麻生財務相も金融庁に対して「地銀改革の環境造りを急ぐよう」指示した。政府の地銀に対する合併要請だと言ってもいい。

金融庁によると、19年度の地銀の最終利益は合計しても6901億円。この4年間で4割も減少した。人口の減少で顧客が縮小、中小企業の経営難で不良債権の処理費が急増。超低金利で預貸業務の採算が悪化、国債や外債の売買でも損失。あらゆる面で地銀の経営は行き詰まっている。しかし経営の改革は、一部を除いて遅々として進んでいない。

ことし1月、徳島銀行と大正銀行が合併。これで地方銀行の数は102行になった。しかし、この10年間で総数は4行しか減っていない。また10月には十八銀行と親和銀行、来年1月には第四銀行と北越銀行が合併する予定。これで総数は100行になるが、まだ多すぎるというのが政府の見解だ。

この11月には、独占禁止法の特例法が施行される。合併によって地域における銀行の寡占が進んでも、お咎めなしという内容だ。また合併や提携した地銀については、預金保険の保険料を安くする対策も検討されている。政府はアメとムチで、地銀の集約を促進する構え。しかし地銀の多くは、再編成には気乗り薄だ。政府の思惑通りには動きそうにない。

                               (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 下げ -13.81円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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氷河期に突入した地方銀行(下)

2018-08-31 08:19:09 | 地銀
◇ 地方銀行の数は半減する = 高度成長期には賃金が上がり、預金も増加した。世の中はカネ不足だったから、資金需要も旺盛だった。金融機関が本業で、十分な利益をあげられた時代である。その後の低成長期には金融機関の淘汰が進み、金融機関の数も減った。だが巨大銀行と中小金融機関の間に挟まれた、地方銀行の立ち位置は変わっていない。

経済の低成長に加えて、日本の人口は減少中。当然ながら金融機関同士の競争は、どんどん激しくなった。こうしたなかで地銀の多くは、メガバンクには太刀打ちできない。信用金庫や信用組合は狭い地域にがっちり根付いており、その地盤も食い荒らせない。上を向いても下を向いても、戦線を広げにくい。この宿命が、ゼロ金利によって際立つようになった。

経営不振を打開する1つの手段は、統合・合併である。近隣の銀行同士が合併すれば、競合が回避される。また重複店舗を廃止してコストを下げられる。ここ数年をみても、足利+常陽=めぶきFG、東京都民+八千代+新銀行東京=東京きらぼしFG、肥後+鹿児島=九州FGなど。だが、まだその動きは鈍い。

高度成長期に、全国を基盤とする都市銀行は15行あった。それが現在では、3つのメガバンクに集約されている。しかし当時130を数えた地銀は、いまなお106もある。氷河期に突入し、地銀を巡る統合・合併の流れは加速するだろう。そのなかで最終的にいくつの銀行に集約されるのか。少なくとも半減はするに違いない。

       ≪30日の日経平均 = 上げ +21.28円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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氷河期に突入した 地方銀行 (上)

2018-08-30 07:51:46 | 地銀
◇ ゼロ金利政策が命取り = このところ、地方銀行に関する新聞記事が異常に多くなった。公正取引委員会が、ふくおかFGと十八銀行の経営統合を承認。3月決算では、地銀106行のうち40行が本業で赤字。スルガ銀行が融資の審査資料を改ざん。金融庁が福島銀行に業務改善命令・・・。まだまだあるが悪い話ばかりで、いいニュースはない。

ふくおかFGと十八銀行の経営統合も、このままでは経営が破たんしかねないと、公取委が判断した結果に他ならない。統合したあとの展望も決して明るくはないとみられている。スルガ銀行にしても福島銀行にしても、銀行自体の経営が緩んでいたことは確かだが、その根底に経営環境の悪化があったことも間違いないだろう。

ことし3月期の決算をみると、全106行のうち40行が本業で赤字を記録した。最大の原因は、日銀のゼロ金利政策がもたらした貸出金利の低下である。地銀の平均貸出金利は1%を割り込み、最近では0.5%前後にまで落ち込んでいる。カネ余りで競争が激化したことも、大きく影響した。これでは預金金利がゼロ近くに下がっても、利益は出しにくい。

預金を貸し出しに回して、利ザヤを稼ぐ。この本業で利益を出せなくなった地銀は、有価証券投資に活路を見出そうとした。ところが金利上昇で、アメリカの国債や社債は値下がり。痛手を蒙った地銀も少なくない。もちろん日本の国債も日銀が買い取ってしまい、商売にならない。苦し紛れに融資先を見付ければ、不良債権を抱え込んでしまう危険がある。

                                (続きは明日)

       ≪29日の日経平均 = 上げ +34.75円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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