経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

ユーロ圏も 量的金融緩和を卒業

2017-10-31 08:07:15 | EU
◇ 日銀にみえる“忖度”の影 = ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週26日の理事会で、量的金融緩和政策の縮小と停止を正式に決定した。ECBは現在、ユーロ圏各国の国債や社債などを毎月600億ユーロ(約8兆円)買い入れている。これを来年1月からは300億ユーロに半減、さらに来年9月末には買い入れを停止する。ユーロ圏は過去4年以上にわたってプラス成長を達成、失業率も徐々に下がってきた。ただ物価は、ECBが目標としてきた2%上昇に届いていない。

アメリカはいち早く量的緩和政策を終了、一昨年末からは政策金利の引き上げを始めている。雇用の増大など景気の着実な回復が進んでいるためだ。ただしアメリカでも物価上昇は、FRBが目指した2%に達していない。それでもECBやFRBが量的緩和の停止に踏み切った理由は2つ。量的緩和で市場の機能が阻害され始めたこと。それに次の景気下降に備えて、金融緩和の余地を広げておくことである。

欧米の中央銀行が量的緩和政策を停止することにより、先進国のなかで量的緩和にしがみついているのは日本だけとなった。世界同時好況の影響を受けて、最近は景気もはっきり上向いている。だが日銀には量的緩和を停止するどころか、縮小する気配さえ全くない。黒田総裁は相変わらず「物価上昇が2%に達するまで、金融緩和を続ける」と息巻いている。

日本でも、量的金融緩和が市場機能を阻害していることは強く指摘されている。にもかかわらず日銀が緩和政策に固執するのは、なぜだろう。仮に緩和政策を変更すれば、株価が下落したり、景気が変調するかもしれない。そうなればアベノミックスに傷を付けかねない。それが心配だから、緩和政策を続けるしかない。そこには日銀の安倍首相に対する忖度の影がちらつく。

      ≪30日の日経平均 = 上げ +3.22円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ

今週のポイント

2017-10-30 06:48:59 | 株価
◇ 日経平均は2万2000円台載せ = 株価はいぜん上昇力を失っていない。ダウ平均は先週106ドルの値上がり。終り値でも2万3400ドル台の史上最高値圏を維持している。日経平均も先週は551円の大幅高。終り値は2万2000円台に顔を出した。これで日米の株価は、ともに7週連続の上昇。この間の上げ幅はダウ平均が1600ドル、日経平均は2700円を超えている。

世界同時好況のもとで、企業の業績はさらに好転する見通し。業績が上振れすれば、PER(株価利益率)もそれほど上がらない。ニューヨークの場合は18%弱、東京は14%台にとどまっている。高値警戒感からの売りも出ているが、外国人投資家はこの東京市場のPERに目を付け、積極的に買い進んでいるのが現状だ。

こうした株価にとっての好環境は、北朝鮮がおとなしくしている限り当面は続くだろう。ただ少し気になるのは、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が来年からの量的緩和縮小を決めたこと。いまのところは円の対ユーロ相場が上昇しただけだが、その心理的な影響はこれから年末にかけて拡散するだろう。要注意である。

今週は30日に、9月の商業動態統計。31日に、9月の労働力調査、家計調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、10月の新車販売。2日に、10月の消費動向調査。アメリカでは31日に、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、10月の新車販売とISM製造業景況指数。3日に、10月の雇用統計とISM非製造業景況指数、9月の貿易統計。またEUが31日に、7-9月期のGDP速報。中国が31日に、10月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお5日に、トランプ米大統領が来日する予定。

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2017-10-29 08:08:31 | SF
第1章  ダー ス ト ン 星 

≪5≫ UFOの正体 そのウラノス博士は、大きな声をあげながら両手を前に突き出した。そう、この星では両手を重ね合わすことが挨拶だと、車のなかでマーヤに教わったばり。ぼくも慌てて両手を差し伸べる。
「元気になったようじゃね。結構、結構。まあ、そこに座ってくれたまえ」

白髪で丸顔、広いおでこに鋭い眼。でも声は柔らかい。小太りの身体を黄色いローブのような衣服で覆っていた。まるでギリシャ時代の典型的な賢者に見える。左胸には青いプレート。数字は「12」だ。えっ、ということは88歳か。とても、そんな歳には見えない。顔や手にも皺がなく、つやつやしている。

ウラノス博士が低い声で、ゆっくりと話し始めた。隣に座ったマーヤが、即座に通訳する。
「われわれは、地球のことをかなり知っておるよ。だいぶ以前から、地球の周辺にUFOを飛ばして情報収集はしているんだ。ふだんは地球人の目に触れることはないんだが、緊急連絡のときに出力を上げると船体がどうしても光ってしまう。それで地球人に見られることもあるんじゃ」

なるほど、UFOというのはこの国のスパイ宇宙船だったのか。
「貴方の記憶も分析させてもらったよ。メタン・ガスが成層圏に滞留して、気温が低下したんだね」
――はい。最初は温室効果で気温が上昇しましたが、その後は太陽の光が届きにくくなり、赤道の真下でも雪が降るようになったのです。
「それで食料に困り、人間が大量に脱出できる別の星を探し始めた?」

――その通りです。5機の高速宇宙船を造り、見当を付けた5つの星に向かって、各国の飛行士が飛び立ったのです。私はケンタウルス座の方向にある4.2光年離れた恒星プロキシマ・ケンタウリの惑星プロキシマb星に向かいました。
「地球人がプロキシマ・ケンタウリと呼んだ恒星は、われわれの言うべートンじゃよ。ほら、あそこに輝いておる。だから君は計画どおり、この星に到着したわけだ。宇宙船は壊れてしまったがね」

そうだ。宇宙船が壊れてしまったから、ぼくはもう地球に帰れない。でも命を助けてもらったんだから、お礼ぐらいは言っておかないと。
――言い遅れましたが、救助していただいて有難うございました。
「いや、礼には及ばんよ。困ったときは、お互いさまだ。それに君にはやってもらいたいことがあるんじゃ。いずれ、だんだんと説明するが、とにかくダーストンのことをよく勉強してほしい」

博士の目が妖しくキラリと光った。

                      (続きは来週日曜日)


 プ レ ー ト

2017-10-28 08:07:22 | SF
 ◇これまでの あらすじ ◇

1) 2050年のお話 = ぼくは2050年の7月、種子島の打ち上げ基地から光速宇宙船で発射された。しかし目的の星に到着する直前、自動操縦装置が故障。その星の大気圏に激突したため、重傷を負って意識不明になってしまう。

目が覚めたのは、病院のベッドの上。最初に見えたのは、白衣の女性看護師だった。その看護師の話によると、ぼくはこの病院で手術を受け、一命をとり止めたのだという。

その星の名前はダーストン。ベートンという名の恒星の周りを回っている惑星だ。住民はむかし別の星から移住してきた人たちの子孫で、人口は1000万人ほどしかいない。

2) マーヤはロボットだった = 美人の女性看護師は、完璧な日本語を話す。この病院の医師たちが手術中にぼくの言語中枢をコピーし、彼女の頭にインストールしたからだ。名前はマーヤ。そう、彼女はロボット。ぼくの世話をするために、改造されたという。

白衣を着た身体の形状、顔かたち、それに動作を見ても、とてもロボットとは思えない。愛くるしい目と張りのある小麦色の皮膚。それでも彼女は、やっぱりロボットなのだ。

3)完璧な医療技術 = この星の医療技術は素晴らしい。病気でも怪我でも完全に治してしまう。このため人が死ななくなった。昔それが大問題になったのだそうだ。

4) 胸に付けたプレートの数字 = この星の人たちは、みんな左胸に小さなプレートを付けている。いや、人間だけではない。ロボットも付けている。マーヤは71。長身の医師は、白衣のうえに48の数字。ただマーヤのプレートは黄色だが、医者のプレートは青色だ。驚いたのは、その数字の意味。「100からその人の年齢を引いた数字」だという。なんで、そんなことをしているのだろう。

                       (続きは明日)

      ≪27日の日経平均 = 上げ +268.67円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     

小池百合子さんへの 直言

2017-10-27 08:11:05 | 都知事
◇ 都政に専念するしかない = 貴女の率いる希望の党は、総選挙で惨敗しました。大きな原因は2つ。1つは全国の有権者に、もう1つは東京都民に「裏切られた」と感じさせてしまったことです。まず希望の党の代表に座って、リベラル保守層の支持を集約しようとしたことは正しい。だから民進党の右派だけを誘致し、左派は“排除”しようとした。だが、そこで功を焦りすぎましたね。候補者数を増やしたいあまりに左派も取り込んでしまったので新党の色彩がぼやけ、有権者の目には「民進党と何も変わらない」と映ってしまったのです。

選挙戦の公約も、準備不足で中途半端でした。貴女はアベノミックスを攻撃しようとしましたが、景気は最近になって上昇中。経済に詳しい貴女はこれを察知して、攻撃の的を「森友・加計問題」に集中しました。しかし、この戦術も選挙民の「民進党と同じ」という感じを上塗りしたに過ぎませんでした。

さらに結果として野党候補が乱立し、自民党を楽勝させました。貴女が他の野党と協力して候補者の調整をしていれば、選挙の結果は大きく変わっていたでしょう。それをしなかった貴女は、反自民の有権者からは“戦犯”だとみられたのです。同じ考えの人たちが集まって政党を作るという発想はよかった。しかし安倍一強体制を打破するためには、野党は結束すべきだったのです。

東京都民が裏切られたと感じた理由は、説明しなくてもいいでしょう。都内で希望の党がほぼ絶滅したのは、都民の怒りの反映でした。都知事である貴女は、まずここから信頼の回復を図ってください。そのためには国政からいっさい手を引く。オリンピック終了まで、都政に全力を尽くす。そこで成果を挙げれば、再び国政に乗り出すチャンスは訪れるでしょう。いまは潔く希望の党から身を引くこと。それが率直なアドバイスです。

      ≪26日の日経平均 = 上げ +32.16円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

Zenback

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