経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人の1万倍も賢いAI 10年で実現

2024-06-29 07:28:53 | なし
◇ 孫正義SB社長が開発に全精力 = 「どんな天才よりも1万倍賢いASI(人工超知能)が、10年後には実現する。私はその開発のために生まれてきたのだと思う」--先週21日に開いたソフトバンク・グループの株主総会で、孫正義社長兼会長が、こんな話を披露した。生成AIの影響について議論が高まるなか、きわめて興味深い問題の提起である。でも、そんなに賢いAIが出現したら、人間の社会はどう変わるのだろう。素人ながら、いろいろ前向きな疑問も浮かんできた。

まず「賢い」とは、どういうことなのだろう。記憶力と計算力について言えば、すでにAIの能力は人間の1万倍を超えているだろう。ではAIはほかにどんな能力を取得すれば、賢くなるのか。答えは「広い意味での判断力」ではないのだろうか。たとえば人間は「美味しい・まずい」「好きだ・きらいだ」「気持ちいい・気持ち悪い」「やるか・やらないか」などなど。たくさんのことを判断することで、意志や感情を形成する。AIがこうした点で人間以上の判断力を持つようになれば、人より賢い領域に達したと考えられるのではないか。

AIが記憶した膨大なデータを分析、正しく判断できるようになると、まず勝負事で人間はロボットに勝てなくなる。将棋や囲碁をはじめ、野球やサッカーの試合についても、AIは事前に勝敗を予測してしまう。勝負事は成立しなくなる。さらに気象や経済の予測も、ほぼ完ぺきに。だから個人も企業も、さらには政治家までも、AIにお伺いを立ててから行動するようになる。

巨大ビルの1階を埋め尽くしていた超大型コンピューター。これが冷蔵庫ぐらいの大きさになれば、各家庭にASIが設置される。人型ロボットの身体に収納されれば、人間より1万倍賢いロボットが誕生する。すると人間とAIとの関係が、しだいに逆転するかもしれない。10年後に、この工程がどこまで進むのか。孫さんの見解を知りたいものである。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +241.54円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
    

驚くべき怪物! エヌビディア (下)

2024-06-28 07:25:54 | 株価
◇ ついに“独り勝ち”の状態に = 20年5月の日経新聞は「GAFAMの時価総額が東証1部全体の時価総額を上回った」と報じている。GAFAMというのは、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフトの頭文字。いずれもAI(人工知能)を駆使するアメリカの巨大企業だ。ニューヨーク株式市場に君臨して、相場を引き上げる原動力となっていた。それに昨年はEVのテスラとエヌビディアが加わって、MAG7(壮大な7社)に。ところが現在は、なんとエヌビディアだけが急成長を続けている。

ことし4月、ニューヨーク市場はFRBによる利下げが遠のいたことから、大幅に売り込まれた。MAG7の株価も急落、エヌビディアも10%下げている。ここからIT関連株は、全体として足踏み状態に陥った。ところがエヌビディアはだけは株価を上げ続け、世界一の時価総額を達成する。その原因は、エヌビディアが発表した恐るべき決算内容だった。

エヌビディアが発表したことし2-4月期の決算内容は、市場関係者に大きな衝撃を与えた。売上高は前年同期の3.6倍、純利益は7.3倍というとてつもない成績。市場の事前予測をはるかに上回った。このためダウ平均やナスダックの株価が下がっても、エヌビディアの株価は上昇。それでも利益が大幅に増加したため、PER(株価収益率)は40倍程度にとどまっている。アナリストの多くはまだ買い推奨の姿勢を崩していない。

いまエヌビディアが直面するリスクの一つは、アメリカ司法省が反トラスト法違反の疑いで調査の準備に入ったこと。実際に調査が始まれば、株価にとっても大きなマイナス材料になるだろう。もう1つは、やはりバブルの疑問。3か月で利益が何倍にもなる快進撃は、どこかで止まるだろう。止まれば、株価は大きく売られるかもしれない。5-7月期の決算発表は、8月下旬に予定されている。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -325.53円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

驚くべき怪物! エヌビディア (上)

2024-06-27 06:56:06 | 株価
◇ 日本のGDPに迫る時価総額 = もの凄い企業が出現した。アメリカの大手半導体会社エヌビディアである。先週18日、その時価総額が3兆3350億ドル(約526兆円)に達し、アップルやマイクロソフトを抜いて世界一となった。時価総額というのは、発行株式数に株価を掛け合わせた数値。その企業の全株式を市場で購入するのに必要な金額と言っていい。それがなんと日本のGDP、23年の名目値591兆円に迫ってきたのだから、全く驚いてしまう。

もっと凄いのは、その成長スピード。わずか2年前の22年6月、エヌビディアの株価はたったの18ドル。市場でも全く目立たない存在だった。それがことし6月には140ドルに急騰している。時価総額も23年5月に1兆ドル、24年2月に2兆ドル、そして6月には3兆ドルを超えた。スピードは尻上がりに速まっており、こんな調子だと日本のGDPもアッと言う間に追い越しそうだ。

エヌビディアは1993年に設立された若い会社。高機能半導体の開発に特化し、製造はTSMC(台湾積体電路製造)に委託している。結果として、生成AIやデータセンターで使われる先端半導体の世界シェアが8割に。売上高営業利益率が65%という高収益体質を産み出した。だから売上高はアップルの3分の1にも満たないのに、利益はアップルよりも大きくなっている。株価も上がるはずだ。

日本のGDPに匹敵するような巨大会社。そんな話になると、やっぱりバブルの臭いがしてくる。たとえば経済紙ウオールストリート・ジャーナルは「90年代のITバブルを彷彿とさせる」と警鐘を鳴らした。市場では「有名な投資家がエヌビディア株を手放した」といった情報も乱れ飛んでいる。しかしエヌビディアという怪物は、いまのところ元気いっぱい。株式市場でも売られるどころか、むしろ‟一人勝ち”の様相さえ見せ始めた。

                   (続きは明日)

        ≪26日の日経平均 = 上げ +493.92円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

またしても 補助金の線状降水帯

2024-06-25 07:11:19 | 物価
◇ 岸田首相の近視眼は治らない = 岸田首相は21日夜の記者会見で、緊急の物価対策と新たな生活支援対策を実施すると発表した。物価対策としては、電気・ガス料金の追加軽減策を8月から3か月間。ガソリン代の補助も12月まで継続する。また生活支援対策は年金世帯や低所得世帯を対象に、新たな給付金の支給を検討するという内容。わざわざ記者会見で自ら発表したのは、これで内閣支持率を少しでも上げたいという思惑がありあり。しかし、これで人気は上昇するだろうか。

電気・ガス料金の軽減策は、国際的にエネルギー価格が高騰したことを受けて、23年1月から実施された。標準的な家庭で、月3700円程度の負担減になったと試算されている。だが、この軽減策はことし5月の使用分で終了。消費者物価のうちの電気代をみると、5月は14.7%、1年4か月ぶりの上昇となった。軽減策がなければ、今後も上昇は避けられない。そこで、とりあえず猛暑の3か月間だけ軽減策を復活することになった。

ガソリン代金に対する補助金は、22年1月に開始。輸入エネルギーの高騰などでガソリンの小売り価格が1リットル=175円を超えそうになると、政府が元売り会社に補助金を支給して価格を抑える仕組み。何度となく延長されて今日に至っているが、また12月まで延長することになった。すでに6兆円もの税金をつぎ込んでおり、脱炭素の方向とは全く矛盾するという批判も強い。

補助金や給付金は、目の前の物価高や生活苦を軽減させるための一時的な措置にすぎない。ところが岸田首相は、この補助金というバラマキが大好きだ。その半面、将来を見据える目は常にぼやけている。その好例は、同じ日に政府が閣議決定した「骨太の方針」にある「国と地方の基礎的財政収支を25年度に黒字化する」という目標。だれもこんなことが出来るとは思っていない。岸田さんは近くばかり見ていて、遠くが見えない。だから将来に対する国民の不安が消えず、支持率も上がらない。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +368.50円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2024-06-24 07:32:58 | 株価
◇ 利下げ期待と‟半導体”で粘る株価 = ダウ平均は先週561ドルの値上がり。4営業日連続の上昇で、終り値は3万9150ドルに。5月の消費者物価と卸売り物価がともに予想を下回る上昇、さらに小売り売上高も伸びが目立って鈍化した。物価高で消費者が節約に走り、小売店は値下げしたところも多く売り上げが減少した。市場では、これで利下げが早まるとの期待が株価を下支え、加えて絶好調の半導体関連銘柄が全体を押し上げた。18日にはSP500とナスダックが、史上最高値を更新している。

日経平均は先週218円の値下がり。終り値は3万8596円に。5月に入ってからは、ほぼ3万8000円台で推移している。17日は一時800円以上も下げた。ヨーロッパの政治情勢を不安視したためと解説されたが、この見方はややうがちすぎ。日銀の金融政策に関する不透明感を嫌気したという説の方が、もっともらしい。いずれにしても、東京市場の弱気ムードを反映している。

ニューヨークの株価は、利下げ期待と半導体で底堅い。しかし物価高→節約志向→値下げ→売り上げ減少の動きが鮮明になってくると、利上げ期待にばかりしがみ付いてもいられない。やはり上値は重たくなってきているのではないか。東京市場は都知事選を皮切りに政治の季節に入る。いつもだと財政支出を期待して株価は上がりやすいが、今回はどうだろう。円相場は160円に達しそうだし、あまり明るい局面がやって来る感じはない。

今週は25日に、5月の企業向けサービス価格。27日に、5月の商業動態統計。28日に、5月の労働力調査、鉱工業生産、6月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは25日に、4月のFHFA住宅価格指数、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、5月の新築住宅販売。27日に、1-3月期のGDP確定値、5月の中古住宅販売。28日に、5月の個人消費支出が発表される。

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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