経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

‟太陽光”に 集中せよ (上)

2022-11-30 07:47:22 | エネルギー
◇ まだ総発電量の8.3%しかない = ウクライナ戦争の影響で、原油や天然ガスの価格が高騰している。その一方で気候変動対策は待ったなし、CO₂の排出は減らさなければならない。それならば、やるべきことはただ一つ。再生可能エネルギーを急速に増やすことだ。特にエネルギーの自給率が低い日本にとっては、エネルギー安全保障の観点からも、重要かつ必然のとるべき道である。だが現実は、そうなっていない。

経済産業省が発表した21年度の電源構成によると、総発電量は1兆0327億㌔㍗時で前年度比3.2%の増加だった。このうち化石燃料による発電量が全体の72.9%を占めている。内訳は天然ガスが34.4%、石炭が31.0%、石油が7.4%。これによるCO₂の排出量は9億8000万トンで、前年比1.2%の増加。残念ながら8年ぶりに増加してしまった。

非化石燃料による発電の比率は27.1%で、前年より3.5%増加した。内訳は太陽光が8.3%、原子力が6.9%、風力が0.9%、水力が7.5%となっている。太陽光は前年比0.4%のわずかな伸び、風力は全く増加していない。エネルギー全体の自給率は13.4%、東日本大震災前2010年の20.2%に比べると、大きく落ち込んだままである。エネルギー安保は、全く心許ない。

原油や天然ガスの高騰で、再生エネルギーの価格が相対的に安くなった。それでも、なかなか伸びない。20年の統計でみても、ドイツは再生エネルギーの比率が43.6%、イギリスは43.1%、中国でさえも27.7%で、日本を上回る。この際は太陽光発電の普及に、全力を傾注したらどうか。それには送配電網の整備と蓄電池の開発が必須の条件。政府が音頭を取って、官学民の開発・普及母体を創設して欲しい。

                            (続きは明日)

        ≪29日の日経平均 = 下げ -134.99円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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強気派 vs 弱気派 近づく対決のとき : NY市場

2022-11-29 07:06:17 | 株価
◇ 勝敗の決め手はやはり物価と雇用 = ダウ平均株価は先週600ドル上昇、終り値は3万4000ドル台と4月の水準に戻している。市場では強気派の声が高まり、クリスマス相場への期待も膨らんだ。理由は「FRBが利上げペースの減速に傾いている」ことが、明らかにされたため。多くの関係者が「12月の利上げは0.5%、来年1月は0.25%」だと確信するようになった。このため債券市場では、長期金利も急激に下がっている。

しかしアメリカ経済は、確実に下降し始めている。たとえば先週も、11月のPMI(購買担当者景況指数)が5か月連続で50を割り込んだり、10月の住宅着工戸数が前年比8.8%減少するなどの数字が発表された。ところが、株価はこうした実体経済の状況を全く無視している。また中国経済の低迷が報じられても、市場は動揺しなかった。「これはおかしい」と弱気派の人は考えているが、まだ声は小さい。

たしかにFRBによる金利引き上げのペースが落ちることは、先が見えてくるという点で明るい材料かもしれない。しかし仮に12月が0.5%、1月が0.25%の利上げになるとしても、1月時点の政策金利は4.75%に。けっこう高い金利水準で、景気は下降せざるをえない。そう考えれば、利上げのペースが減速するといっても喜んではいられないのでは。弱気派はこうも考えている。

強気派と弱気派の対決は、間もなくやってくる。それは物価と雇用の数字が発表されるときだろう。仮に予想通り物価上昇の勢いが鈍化し、雇用情勢にも落ち着きがみられたとき、強気派は「利上げの減速がさらに確実になった」と解釈する。その一方、弱気派は「景気の悪化が現実のものになった」と警戒するに違いない。もちろん、勝敗は株価が決める。年末高になれば強気派の勝ち、年末安になれば弱気派の勝ちになる。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -120.20円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2022-11-28 07:50:48 | 株価
◇ 「利上げペース緩む」観測で上昇ムード = ダウ平均は先週601ドルの値上がり。終り値の3万4347ドルは4月以来の高値となった。FRBが今月2-3日に開いた政策決定会合の議事要旨を公表。このなかで多くの出席者が「近いうちに利上げペースを減速させることが適切になる可能性は大きい」という点で一致したことが判明。ここから市場では「12月の利上げは0.5%、来年は0.25%になる」という観測が、一気に広がった。長期金利は下がり、株価は上昇した。

日経平均は先週383円の値上がり。終り値は2万8000円台を維持した。ニューヨークの活況に乗った形で、市場では年末高への期待も広がっている。企業業績が予想を上回り、円安の勢いが止まったことも好感された。ただコロナ‟第8波”に対する警戒感は、いぜんとして消えない。またコロナは中国で再燃、経済・社会に大混乱を惹き起こしている。その悪影響は、これから日本へも及んでくるだろう。

アメリカではクリスマス商戦が、すでに本格化している。物価高の影響で、いまのところはやや低調気味のようだ。これが好調に転じれば、年末に向けて株価の一段高も期待できる。だが不調の色が濃くなると、株価と実体経済との乖離が目立ち始める。一方、東京市場では「岸田内閣の支持率」の行く方に注目が集まりそうだ。年末に向けて‟政局”が話題になるようだと、株価は上を向けない。

今週は29日に、10月の労働力調査、商業動態統計。30日に、10月の鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、7-9月期の法人企業統計、新車販売、消費動向調査。アメリカでは29日に、FHFA住宅価格指数、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、7-9月期のGDP改定値、10月の中古住宅販売。1日に、ISM製造業景況指数。2日に、11月の雇用統計。また中国が30日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ》
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (140)

2022-11-26 07:38:27 | なし
◇ 大混乱に陥った中国 = 世界の感染者は累計6億4308万人、この1週間で284万人増加した。この増加数は前週より17万人多く、4週連続で増加数が拡大している。死亡者は663万4199人、週間1万0773人の増加だった。この増加数は前週より468人多く、2週連続で拡大している。感染者、死亡者ともに増勢をやや強めており、北半球が冬を迎えて傾向的に増加する兆しかもしれない。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計107万8929人。この1週間で2978人増加した。次いでブラジルが68万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・インドネシア・ドイツが15万人台となっている。アメリカ、ブラジル、フランスで増加数がやや増えており、イタリアの死亡者数が18万人台に乗せた。

日本の感染者は累計2416万2730人、この1週間で60万8252人増加した。この増加数は前週より4万4667人多い。6週連続で増加数が拡大している。死亡者は4万8908人、週間820人の増加だった。増加数は4週連続で拡大している。水際対策の撤廃、旅行支援の開始などによるとみられるが、政府はいまのところ「行動規制などを実施するつもりはない」と言明している。

中国が大混乱に陥っている。感染者は累計137万8335人、死亡者は5232人で週間6人の増加が確認された。23日には新規の感染者が初めて3万人を超え、広東省・重慶市・北京市・河南省など全国2万か所で都市封鎖。4億人が行動規制されている。河南省では暴動事件も発生、経済・社会面への悪影響も大きい。長期化する公算もあり、世界経済へのインパクトが懸念される。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -100.06円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     
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小麦が 足りなァ~い! (下)

2022-11-25 07:27:00 | なし
◇ 輸入品への補助金は国産にとって痛手 = 最近はコメのごはんよりパンや麺類を食べる人が多い。そのパンや麺類の値上がりが、人々の生活を脅かしている。政府は補助金を出して小麦価格の上昇を抑えているが、店頭価格の上昇を防げない。食用油や包装費、光熱費や輸送費が上がっているためだ。それでも補助金がなければ、パンヤ麺類の小売り価格がもっと上がっていたことは確かだろう。

国産の小麦は全消費量の17%しかない。あとは主としてアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入に頼っている。政府は小麦をコメと同等の重要な主食と位置づけ、この輸入業務を一括して引き受け製粉業者に売り渡している。大量の契約をした方が、価格が安くなるからだ。それでも国際価格が上昇、ことし4月には売り渡し価格を17.3%引き上げた。買い付け価格は10月にも上がったが、政府は補助金を出して小売り価格が上昇しないようにした。

補助金の総額は10-3月間で300億円にのぼるとみられる。来年4月以降も継続する方針。しかし補助金によって輸入小麦の小売価格が上がらないと、国産小麦の値段も上がらない。小麦を生産する農家にとっては、痛手となるわけだ。その一方で政府は、国内の小麦生産を増大する施策も講じている。大きな矛盾であり、製粉業者に対する補助金は長く続けられないだろう。

ピンチは小麦に限ったことではない。化学肥料も飼料も、すべて輸入頼み。なにしろ日本の食料自給率は38%で、先進国のなかでも断トツに低い。世界的に食料が不足したとき、いったいどうなるのだろうか。岸田首相は農林水産省に「食料安全保障の強化策」を検討するように命じたが、答えがまとまるまでには1年もかかるという。なんとも悠長な話に聞こえる。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +267.35円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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