経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2023-07-31 07:55:25 | 株価
◇ 36年ぶりの記録・13日間の連騰 = ダウ平均は先週232ドルの値上がり。水曜日まで実に13日間の連騰という、36年ぶりの大記録を達成した。この水曜日にはFRBが0.25%の利上げを発表したが、それでも株価は82ドル上昇している。しかし木曜日には、さすがに利益確定売りに押されて反落した。企業の決算が予想以上に好調なこともあり、市場の空気は非常に強い。

日経平均は先週455円の値上がり。金曜日には、日銀が長期金利の変動幅を1%にまで拡大することを決定。現状維持を見込んでいた市場はショックを受け、株価は一時860円も下落した。しかし、すぐに戻して終り値では132円の下げまで切り返している。円相場も急上昇したあと、すぐに反落。ただ長期金利は0.540%に跳ね上がった。

パウエルFRB議長は利上げ決定後の記者会見で「景気後退は予測していない」と言い切った。ニューヨーク市場はこれで大いに安心、アメリカ経済の「軟着陸」あるいは「無着陸」への期待が一段と高まっている。高値圏で利益確定売りは増えそうだが、株価はさらなる高値を目指す勢い。東京市場も雰囲気は明るいが、まだ日銀の新政策を消化し切れていない。今週はその評価が、株価や円相場あるいは金利に表われることになるだろう。

今週は31日に、6月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、7月の消費動向調査。1日に、6月の労働力調査、7月の新車販売。アメリカでは1日に、7月のISM製造業景況指数。3日に、7月のISM非製造業景況指数。4日に、7月の雇用統計。またEUが31日に、4-6月期のGDP速報。中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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政策大転換の前触れか : 日銀

2023-07-29 07:56:20 | 日銀
◇ インフレ警戒で長期金利の上昇を許容 = 日銀は27-28日に政策決定会合を開き、長期金利に対して許容する変動幅を拡大することを決めた。現在の上限0.5%をメドとしつつも、一定程度の超過を認める。植田総裁は記者会見で「1%以上には上昇させない」と述べているので、変動幅を1%に拡大したと考えていい。ただ短期金利をマイナス0.1%に誘導したり、ETF(上場投資信託)を購入する現在の超金融緩和政策は継続する方針。

イールドカーブ・コントロールと呼ばれる長期金利の抑制策は、黒田前総裁が16年9月に導入した。10年もの国債を無制限に購入して、利回りの上昇を抑え付ける政策。長期金利市場が機能せず社債の発行に支障が出るなど、副作用も大きかった。このため昨年12月には、変動幅を0.25%から0.5%に拡大していた。それを今回は1%に広げたわけで、実質的な長期金利の利上げと考えてもいい。

最大の理由は、物価の上昇。日銀は同時に物価の見通しも発表したが、そこでは23年の物価見通しを4月時点の1.8%上昇から2.5%上昇へと大きく引き上げた。低すぎる長期金利は円安をもたらし、物価を上昇させる。これを警戒して、長期金利をやや引き上げることにした。もう1つの理由は、アメリカの利上げが終局に近付いたこと。もしアメリカが利下げに転じると、日銀はチャンスを逸してしまうかもしれない。

大問題は、これが本格的な政策転換の前触れかどうかという点。発表を受けて金利は上昇、株価は下落、円は上昇した。最初は大きく変動したが、政策転換に発展するかどうかはよく判らないので、その程度はすぐに小幅となっている。しかし長い目で見れば、政策転換への第一歩とみられなくもない。このため外国人投資家のなかには、その可能性に賭けて円買い・国債売りを仕掛けるものも少なくない。長期金利が1%の上限に張り付くかどうかを見て行きたい。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -131.93円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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FRB議長の 微妙な発言

2023-07-28 07:54:37 | アメリカ
◇ 「景気後退なし」はさらなる利上げの布石? = FRBは25-26日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の0.25%引き上げを決定した。これで政策金利は5.25%に。リーマン前のピークを上回り、22年ぶりの高水準となった。前回は金利を据え置いたFRBだが、いぜんとして強いインフレ圧力を重視、物価の安定を最優先する姿勢を貫いたことになる。

パウエル議長は記者会見で「今後の動向は経済データしだい」と、予想通りの発言。ただアメリカ経済の現状について「雇用は引き締まった状態が続いており、経済は堅調。景気後退の予測はしていない」と強調した。金融引き締めが景気の悪化をもたらすという心配を払拭するためとも考えられるが、さらなる利上げの布石と受け取れないこともない。

ただ市場はきわめて冷静に評価し、この日のダウ平均は82ドルの上昇。36年ぶりの13日間連騰という記録を達成している。また今後の見通しについても「次回9月は利上げしない。来年の早い時期に利下げ」という観測を崩していない。一方、外国為替市場ではドルが各国通貨に対して値下がり。円の対ドル相場も139円台に上昇した。

こうした状況のもとで日銀はきょう28日午後、政策決定会合の結果を発表する。注目点は、長期金利に対して許容する変動幅を現在の0.5%から広げるかどうか。仮に1%に広げれば、実質的にそれだけ利上げすることになる。もし現状維持ということになれば、日米間の金利差が拡大するので理論上は円安となりやすい。だがアメリカの利上げはドルを下落させているから、現実にはどんな動きになるのか。外国人による国債売りは増えるかもしれない。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +222.82円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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植田さん、ちゃんと教えて!

2023-07-27 07:31:24 | 金融
◇ ゼロ金利政策のプラスとマイナス = 日本の物価高が、アメリカのそれを上回った。6月の消費者物価はアメリカが前年比3.0%の上昇だったのに対して、日本は3.3%という結果。つまりインフレの度合いは、日本の方がアメリカよりも強くなった。ところがアメリカの中央銀行であるFRBは着々と金融引き締めを続け、政策金利を引き上げている。一方の日本は、日銀が相変わらずゼロ金利政策を死守している格好。反対ではないのか、なぜだろう。

この疑問に対して、日銀は「ゼロ金利政策には、それなりのプラス面があるからだ」と答えるに違いない。たしかに金融機関から借り入れている企業や個人は、超低金利で大いに助かっている。政府も国債の利払いが抑えられ、絶大な恩恵を受けている。また株価が上昇、このおかげで高額商品の売れ行きがいい。円安が進み、輸出関連企業の利益も増加した。

その一方で、超金融緩和のマイナス面も目立っている。長期金利が政策的に押さえつけられ、社債の発行に支障が出ている。金融機関は、貸し出しても儲からない。超低金利の融資で、ゾンビ企業が生きながらえている。預金しても利子が付かず、企業や個人は莫大な利子収入を失っている。その額は年4兆5000億円に達するという試算もある。

日銀は今週27-28日に開く政策決定会合で、金融政策を決める。長期金利に対して許容する変動幅を拡大するかどうかが、注目のマト。だが、こうした修正をしてもしなくても、丁寧な説明だけはしてもらいたい。特にゼロ金利政策のプラス面とマイナス面の比較。これは植田氏が総裁に就任する際に、公表すると明言した一種の公約ではなかったか。経済学者である植田総裁に期待が集まったことを、忘れてもらっては困る。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -14.17円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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大学は 氷河期入り : 少子化の影響大

2023-07-26 07:40:42 | 人口
◇ 入学は楽になる? 難しくなる? = 文部科学省は「大学の生存競争が激しくなる」ことを裏付ける数値を発表した。その推計は「大学への入学者数は40年に51万人、50年に49万人まで減少する」という内容。22年の入学者数は63万人だったから、今後17年間で12万人も減ることになる。現在、全国の大学は約800校。定員の総数は62万人なので、このままなら約2割の定員割れが発生するわけだ。原因はもちろん少子化の進行。

すでに大学は氷河期に入っている。日本私立学校振興・共済事業団によると、22年に定員割れとなった私立大学は284校に達した。私立大学の3割が赤字経営に陥っている。なかにはことし新入生を採らず、撤退の準備に入った学校もあるという。政府が大学設立の基準を大幅に緩和したため、この30年間で私立大学は1.5倍に増えた。いま、その巻き戻しが始まったと言えるだろう。

多くの大学が、生き残るための方策を考えている。たとえば電子工学・環境問題・地域経済などに特化した学部を新設、独自性を高めようと考え始めた。こうして大学間での切磋琢磨が始まると、学校の教育水準は向上するに違いない。だが競争に負けた学校は、退出を余儀なくされる。こうして学校数が大幅に減ると、入学者は少なくなっても大学への入学はむしろ難しくなるかもしれない。

その一方、入学試験を極端に易しくして生き残りを図ろうとする学校も現れるだろう。そんな学校が乱立すれば、大学全体の評価は上がらない。入学は楽になるかもしれないが、あまり意味はない。氷河期に入った大学が、どんな方向に流れるのか。そのかじ取りは、文科省が引き受けることになる。ことし生まれた赤ちゃんが、いい環境で大学生となれるように。文科省はしっかり方針を立ててもらいたいものだ。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -18.43円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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