経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

利上げは 今月末? : 日本銀行

2024-07-13 07:30:36 | 金利
◇ 逃すとチャンスなくなる = 日銀が10日に発表した6月の企業物価は、前年比2.9%の上昇だった。5月の2.6%上昇より、上昇率が拡大した。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの価格動向。内訳をみると、電気・ガス・水道が0.1%の上昇。石炭・石油製品が4.5%の上昇だった。電気・ガスは政府の補助金が半減されたため、5月の7.2%下落から大きく上昇した。一方、企業向けサービス価格も5月は前年比2.5%の上昇。人件費の増加を反映して、宿泊サービス業は12.9%も上昇している。

企業間で取引されるモノやサービスの価格上昇は、いずれ消費者物価に転嫁される。このうちモノの価格は政府の補助金によって判りにくくなっているが、補助金がなければ上昇率は拡大しつつあるようだ。またサービス価格は人件費の増加が反映され、これまた上昇スピードが速まる可能性が高い。肝心の消費者物価は5月で前年比2.8%の上昇。まだ落ち着いているが、これから企業物価の影響を受けそうだ。

こんな状態にあって、慎重な日銀としては大いに迷うだろう。しかし7月の政策決定会合で利上げを見送ると、大変なことになる。日銀は政策決定会合の開催を7月、9月、10月、12月と決めている。ここで9月は自民党の総裁選挙があるから、利上げは難しそうだ。したがって7月に利上げしておかないと、10月まで動きが取れない。その間にアメリカが利下げをすると、まことに格好が悪いことになってしまう。

幸い現在は、株式市場が絶好調だ。いま利上げしても、株式投資家から文句は来ないだろう。だから今月30-31日に開く決定会合で、いま0%の政策金利を0.25%に引き上げるしかない。その結果、円の対ドル相場は10円近く上昇するかもしれない。経済なんでも研究会はこう考えたのだが、はたして・・・。

        ≪12日の日経平均 = 下げ -1033.34円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】    
      

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「金利のある時代」を生きる チエ  (下)

2024-07-12 07:00:55 | 金利
◇ 複利計算の怖さを知ること = いま日本は「金利のない世界」から「金利のある世界」への移行を始めたところ。なんだが未知の世界に入って行くようだが、もともと「金利のある世界」の方が正常な状態。無理やり金利をゼロにした日銀の政策の方が、異常だったと言えるだろう。しかし、そのゼロ金利時代が10年も続いたため、戸惑う人も多いに違いない。

中央銀行は一般に、インフレを抑え込むために政策金利を引き上げる。しかし大幅な引き上げは副作用も大きいから、小幅な引き上げを何回も続けることが多い。日銀が今回、どこまで金利を引き上げるかはまだ予測できない。だが1%や2%で止まるとは考えにくい。アメリカの場合もFRBは、政策金利をゼロから5.25%まで引き上げた。では1%と5%では、どんな違いがあるのだろう。

年利1%の債券Aと年利5%の債券Bがあったとする。これをみて「利息は5倍の差だな」と考えては落第。たしかに最初の1年だけは5倍の差になるが、2年目以降については加速度的にその差が拡大する。たとえば100万円の債券Aの元利合計は1年後で101万円、5年後は105万1010円。これに対して債券Bの元利合計は1年後で105万円だが、5年後は127万6281円に拡大する。これは利息で増えた分にも、毎年の利率が適用されるためだ。これが複利計算。

見方を変えてみよう。元金100万円が1%の金利で200万円になるまでには、69年半かかる。しかし5%の金利だと14年あまり。10%の金利なら7.27年で達成される。この複利計算は、おカネを借りた場合にも適用されるから、気を付けないと大変なことになる。ゼロ金利時代にはほとんど心配する必要もなかったが、これからは貯める場合にも借りる場合にも、最も注意しなければならない点だ。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +392.03円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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「金利のある時代」を生きる チエ  (上)

2024-07-11 07:27:37 | 金利
◇ “金利”を知らない30歳未満の若い人 = 利上げの季節が10年ぶりにやってきた。まず普通預金の金利。大手銀行は年0.001%だった金利を0.02%に引き上げ、地方銀行も追随した。これまでは100万円を預けておいても年に10円の利子しか付かなかったが、これからは200円の利子が付く。また定期預金の金利も引き上げられた。このほか国債や社債の金利など、いろいろな分野での金利引き上げがいま進行中だ。

おカネを借りるときの金利も上昇している。日銀の集計によると、金融機関が企業に貸し出す際の金利は5月の平均で0.818%。1月の0.781%から、わずかに上昇した。また個人が借りる住宅ローンについても、大手銀行は固定型の基準金利を6月から引き上げた。引き上げ幅は銀行によって異なり、0.05%-0.14%となっている。このほか消費者ローン金利なども、引き上げられた。

利上げの風が吹き始めたきっかけは、日銀が3月にマイナス金利政策を解除したこと。政策金利をマイナス0.1%から0%に引き上げた。こんな小さな変更でも、その影響はきわめて大きい。経済界では日銀がさらに金利を引き上げるだろうという観測が一気に強まり、各方面で利上げが始まった。日銀は7月30-31日に開く政策決定会合で、国債買い入れの縮小計画を決める。市場では同時に、政策金利を0.25%に引き上げるのではないかという見方が強まっている。

仮に政策金利が0.25%に引き上げられると、預金金利や貸出金利はもっと大きく引き上げられるに違いない。そうなれば預金金利も1%を超えてくるだろう。ようやく「金利のある世界」に戻るわけだ。しかし、この10年間、日本は「金利のない時代」を過ごしてきた。つまり30歳未満の若い人は、金利と初めて付き合うことになる。そういう人たちが知らないと損をする「金利のある世界」を生きるためのチエとは・・・。

                    (続きは明日)

        ≪10日の日経平均 = 上げ +251.82円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
  
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長期金利が 1%を超えた!

2024-05-25 07:33:29 | 金利
◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。

市場の観測はまだ収斂していないが、政策金利の引き上げは0.25%。時期は7月説がいちばん強い。ほかに9月説、10月説も飛び交っている。企業も利上げに備えるところが出始めた。銀行や海外投資家はまだ国債の価格は下がるとみており、買い入れには慎重。これも国債価格の下落につながってくるだろう。

だが当の日銀がどんな考え方なのかは、全く判らない。たとえば1か月前と比べてみると、1-3月期のGDP成長率がマイナスになるなど、利上げには向かない環境になっている。また物価高が特に進行したわけでもない。さらに政府が実施する減税の効果を、相殺することにもなりかねない。それなのに、なぜ利上げなのか。

植田総裁は先日、官邸に呼ばれて岸田首相と密談した。ここで岸田首相は「物価高の原因となっている円安をなんとかしてほしい」と要請したとも言われている。その結果の政策変更とみられるのはマズイ。そこで市場が利上げさせたように、みせたいのではないか。こんな見方さえ出始めた。日銀はなぜ、もっと自分の‟意志”を市場に示そうとしないのか。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -457.11円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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4差路に向かう 日米の金利政策

2023-07-19 07:30:26 | 金利
◇ いずれの道でも円高は進行する = アメリカでは6月の消費者物価が3.0%上昇まで鈍化、このため長期金利が3.75%前後に低下した。一方、日本では日銀が金利政策の修正を実施するのではないかという観測が強まり、日米間の金利差がぐっと縮小。為替市場ではこれまでの円安から、風向きが一気に円高へと変わった。そんななかで、FRBは来週25-26日に、日銀は27-28日に金融政策決定会合を開く。

そこでは①FRBが0.25%の利上げ、日銀は現状維持②FRBは0.25%の利上げ、日銀は政策の修正③FRB、日銀ともに現状維持④FRBは現状維持、日銀は修正--の4パターンが可能性として考えられる。日銀の政策修正というのは、長期金利の誘導ワクを広げること。昨年12月に0.25%から0.5%に拡大。今回もし実施すれば0.75%までの変動を容認、それだけ実質的には利上げすることになると考えていい。

最も可能性が大きいのは、①のパターン。しかしFRBが0.25%利上げし、これが最後という見通しが固まった場合、日銀は政策修正のチャンスを失ってしまう危険性がある。その場合は直前のFRBの決定を見て、日銀が修正に踏み切る可能性も小さくはない。またFRBが現状を維持する③④のケースでは、日米間の金利差は大きく縮まるに違いない。

つまり、いずれの道を進むことになっても、円の対ドル相場は上昇する可能性が大きい。唯一の例外は、パウエル議長が会見で「9月も利上げすること」を、かなり明確に示唆した場合だけだろう。そうでない場合は、ニューヨーク株式は上昇軌道に乗りやすい。半面、円は120円を超えて上昇するかもしれない。もちろん東京株式市場にとっては、重荷になるだろう。

        ≪18日の日経平均 = 上げ +102.63円≫

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫   
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