経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

中国人観光客の急増は 望み薄

2023-09-01 07:43:25 | 外国人
◇ 処理水の放出で悪化した対日感情 = この9月からは、中国人観光客が大幅に増加する--旅行・宿泊業の関係者は、こう信じて疑わなかった。まず中国政府が、これまで禁止してきた日本向けの団体旅行を解禁した。そして10月になると、国慶節の大型連休。外国人観光客が殺到して、動きがとれなくなるのではないか。人手不足なので、対応し切れるだろうか。こんなことが、真剣に心配されていた。

ところが情勢は一変した。福島原発の敷地内に溜まった処理水の海洋放出が始まると、中国政府はこれを激しく非難。国民も日本製品の不買運動を始めるなど、対日感情がいっぺんに悪化してしまった。これでは、とても団体旅行どころではない。一部の裕福な個人がビジネス目的と称して来日するかもしれないが、中国人観光客の殺到という期待はあえなく吹き飛んでしまった。

観光局の集計によると、7月の外国人客数は232万6000人。コロナ前の19年7月に比べ77.6%の水準にまで回復した。地域別では韓国、台湾、中国、香港、アメリカの順となっている。中国を除くと、訪日客数はコロナ前を3.4%上回っている。コロナ前、中国からの観光客は全体の約3割を占めていたから、ここで中国人観光客が急増すれば、ことしの観光客数はコロナ前に匹敵する水準にまで回復すると考えられたわけだ。

福島原発の処理水放出は、今後30年にわたって続くという。だからと言って、中国の反日感情が30年も続くというわけではない。では、どこまで続くのだろうか。専門家の分析によると、中国政府の反発は「国内経済の不振から、国民の目をそらすためだ」という。だとすれば最低1年間、場合によっては2-3年続くのかもしれない。状況の改善を予測するには、中国経済の動向をみるしかないと言うことになる。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +285.88円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ガイコクジン in JAPAN

2023-08-10 06:59:34 | 外国人
◇ 全都道府県で増加した外国人 = 総務省が発表した人口動態調査によると、日本の総人口はことし1月1日時点で1億2541万6877人。前年比では51万1025人の減少だった。このうち日本人は1億2242万3038人で80万0523人の減少。その一方、外国人は299万3839人で28万9498人の増加。全人口に対する比率は2.39%となっている。日本人の人口は全都道府県で減少したが、外国人は全都道府県で増加した。

都道府県別にみて、最も外国人が多いのは東京都の58万1112人。続いて愛知県、大阪府の順となっている。逆に少ないのは秋田県の4512人。続いて鳥取県、高知県の順。東京都で外国人が全人口に占める比率は4.20%、秋田県は0.48%にすぎない。また市町村別にみると、外国人の居住者がいちばん多いのは群馬県大泉町の8215人だった。

日本に居住する外国人は、ほとんどが留学生か出稼ぎ労働者。日本側からみれば、人手不足を軽減する役割を担っている。その観点からすると、重要なのは生産年齢人口の動向だ。生産年齢人口というのは15歳―64歳の人口で、経済活動に携われる年齢層。日本の生産年齢人口は09年をピークに減少、ことし1月1日時点では7479万6041人に減っている。

このうち日本人は7226万2175人。1995年に比べると1439万人も減少した。一方、外国人の生産年齢人口はことし1月1日時点で253万3886人。この10年間で86万5000人も増えた。こうしてみると仮に外国人労働者がいなかったら、日本経済は人手不足で行き詰まっているに違いない。だから最低賃金の引き上げなど、外国人が働きやすい環境を整ることが大切になってくる。

        ≪9日の日経平均 = 下げ -172.96円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 
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急速に戻ってきた 外国人観光客

2023-04-22 08:30:34 | 外国人
◇ ‟おもてなし”の質を維持できるか = 観光局は19日、3月の訪日外国人客数を発表した。それによると推計値は181万7500人で、コロナ前19年3月の65.8%にまで回復した。コロナ禍で21年には24万人に落ち込んだが、各種の規制解除で予想以上に回復は早い。デパートなどでも、免税売り上げが急速に増加。JTBでは、ことし通年の訪日客数は2110万人に達すると予測している。

3月の訪日客数を国別にみると、トップは韓国で46万6800人。19年3月の79.7%まで回復した。続いて台湾、アメリカの順。中国は規制が残った影響で7万5700人、コロナ前の11.0%にしか戻していない。一方、アメリカ・シンガポール・ベトナム・オーストラリアからの客数は、すでに19年3月の実績を上回った。

観光庁は19日、ことし1-3月に来日した外国人客の1人当たり支出額を発表した。それによると、旅行中の消費支出額は18万5616円でコロナ前に比べて28.3%増加している。政府はこの支出額を24年度に20万円にする目標を打ち出しており、その目標にぐっと近づいた。ただし1-3月の増加には、物価高と円安の影響が大きく作用している。こうした一種のバブルで目標が達成されても、あまり意味はない。

最大の問題は、観光客を迎える側の人手不足。各種の調査によると、飲食・宿泊サービス業界では8割以上の企業が人手不足に陥っている。観光客が増えるのは喜ばしいが「日本の‟おもてなし”は質が落ちた」と言われたら大変。ベトナム人のツアー客が日本料理屋に入ったら、応対したのはベトナム人のアルバイトだったなどというのは、笑い飛ばせる話ではないだろう。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -93.20円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】      
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遅すぎた 技能実習制度の見直し

2023-04-14 07:41:37 | 外国人
◇ 日本は魅力の少ない国になっている = 政府の有識者会議は10日、技能実習制度の廃止を提案する中間報告書をまとめた。途上国への技術移転という本来の目的と実態とが、乖離してしまったからだという。実態は労働者不足を補うための補完的労働者に。管理も十分でなく、給料の不払いや酷使、暴力行為もしばしば問題となっている。現在の人数は約34万人。21年には約7000人が失踪した。

こうした問題は早くから指摘されていた。だから廃止の提案は遅きに失したと言えるだろう。しかも制度をどう変えるかの方向性は、なお疑問だらけだ。有識者会議は「人材確保を目的とする制度の新設を検討すべし」と主張している。だが、これでは「技術移転という衣を脱いで、労働力が欲しいという鎧を見せつける」ようなもの。どう考えても、制度の改善につながるとは思えない。

外国人実習生を雇用した企業に対しては、監理団体が監督することになっている。だが機能していないケースも多く、それが過酷な労働環境の放置につながる原因となっている。しかし有識者会議は、この監理団体による監督のやり方を続けることにした。どうも目指している方向が労働力確保の一点張りであり、日本で働こうとする若い外国人の方を向いていない。

外国人実習生に対しては、日本の最低賃金制度が適用される。しかし日本の賃金水準は、すでに台湾や韓国よりも低くなってしまった。東南アジアの若者が出稼ぎに行く国として、日本の魅力は低下している。そんな状況で、人材確保だけを目的とした新制度を作るのは考えものだ。「日本で真面目に働いたら、こんないいことがあるよ」と言われるような制度を作ってもらいたい。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +74.27円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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回復はゆっくりがいい : インバウンド

2023-03-18 07:49:46 | 外国人
◇ 人手不足でサービス低下の恐れ = 観光局の発表によると、ことし2月の訪日外国人客数は147万5300人だった。コロナ前の19年2月に比べると56.6%にまで回復している。1月の水準とほぼ同じだが、日数が少なかった分だけ増加したと考えていい。3月は中国人に対する水際対策も解除されたので、150万人を超えることは確実だろう。この調子なら、23年は2000万人に達するという予測も出ている。

いちばん多かったのは韓国人で56万8000人、19年2月比では79%まで回復した。次いで台湾、アメリカの順。東南アジアの4か国は実数は少ないものの、そろってコロナ前の水準を上回った。なかでもベトナムからの旅行客は5万5800人で、19年2月の実績を41.7%上回っている。フィリピン、インドネシア、シンガポールもコロナ前を超えた。

大きく出遅れているのは中国。旅行客数は3万6200人にとどまり、19年2月比ではわずか5%にすぎない。これは中国が日本向けの団体旅行を規制、日本側もこの2月まで中国からの入国者に水際対策を実施していたため。この両方の規制が解除されたため、3月は中国からの旅行客が目立って増える可能性が大きい。

政府も関連業界も、ことしの外国人客数がV字型に回復することを期待している。だが重大な問題が1つ。それは受け入れる業界の深刻な人手不足だ。各種の調査をみても、飲食物の調理、接客、給仕の分野では、求人倍率がものすごく高い。この点はコロナ前と様変わりな状態となっている。V字型の回復はいいが、「コロナ後の日本の‟おもてなし”は悪くなった」と言われたら一大事だ。インバウンドはゆっくり回復し、長続きするのが何よりだろう。

        ≪17日の日経平均 = 上げ +323.18円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】       
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