経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

誇大広告には 課税せよ!

2024-03-30 07:43:42 | なし
◇ 消費者庁は手ぬる過ぎる = 悪質な誇大広告が、テレビやSNSで野放しになっている。全く効果がないのに、飲むだけで痩せるとか、病気が治るとか。こういう広告がよく使う表現が「何万個売れた」とか「業界一の売り上げ」とか。消費者庁ではこうした事例を規制するために、景品表示法を改正。悪質な事例に対しては、罰則を強化する方針だ。しかし摘発には時間と人手がかかるため、措置命令を出す件数はごく僅か。実効はきわめて小さい。

消費者庁によると、誇大広告には①性能を優れていると思わせる優良誤認②他社製品より安いと思わせる有利誤認--の2つがあるという。いちばん目立つのが、いわゆる「ナンバー・ワン広告」と呼ばれるCM。たとえば「業界一の売り上げ」とか「満足度いちばん」などの表現。この「ナンバー・ワン広告」は、そういう調査を行ったと称する会社が企業に売り込む事例も多い。消費者庁はそこまで監視の手を伸ばす方針だ。

だが、そうした調査と摘発には時間がかかる。そこで提案を一つ。こうした広告を出した企業に対して、消費者庁は国税庁と手を組んだらどうか。たとえば「何万個売れた」と広告した企業の納税申告と照合し、何万個分の申告がなければ、直ちにその差について課税。延滞料もきちんと取る。こうすれば、企業もうっかり広告に過大な表現を使えなくなるだろう。「日本一」という表現も危なくなる。もちろん本当にその分を納税している企業は表現を使えるし、国税庁のお墨付きを貰えることになる。

また最近、目立つのは「初回限定の安売り」だろう。申し込むと長期契約が成立したことになって、トラブルが多く発生しているという。消費者庁はこれについて何も言っていないが、明らかに景品表示法が禁じる「二重価格」に抵触するのではないか。この際、消費者庁は「初回限定の安売り」を禁止する方向で、法律の改正に当たってほしい。

        ≪29日の日経平均 = 上げ +201.37円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガソリン補助金 またも延長 (下)

2024-03-29 07:41:43 | ガソリン
◇ 岸田内閣はバラマキ依存症 = ガソリン補助金は延長せず、代わりにトリガー条項の凍結を解除したらどうか。トリガー条項というのは、ガソリン価格が高騰した場合に、ガソリン税の暫定上乗せ分の約25%分を免除できる仕組み。現在は東日本大震災の復興財源とするため凍結されている。国民民主党がこの方式を強く主張、予算の成立に協力までして自民党に迫ったが、結局は“裏ガネ問題”で霧消してしまった。

この交渉の自民党の責任者は、当時の萩生田政調会長だった。その責任者が“裏ガネ問題”で失脚してしまったのだから、どうにも仕方がない。自民党のなかでも、ガソリン補助金問題に対する意見集約ができなくなってしまった。岸田首相が補助金の延長を示唆したのも、このためだったと考えられる。だが延長はせず、4月末をもって補助金を止める選択肢はなかったのだろうか。

補助金を止めれば、ガソリンの小売り価格は200円近くに跳ね上がる。消費者にとってみれば、突然の大幅値上げとなるわけだ。当然、不満の大合唱が起きるだろう。岸田内閣としては、これが怖い。かつてG7(主要7か国)首脳会議では「エネルギーに対する補助金は脱炭素にも反するから、出来るだけ早く停止する」ことで合意した。そのとき議長国は日本だから、国際的にも批判は免れない。にもかかわらず補助金を延長するのは、これでまた支持率が下がることを警戒するためである。

コロナ被害に対する補助金に始まり、電気やガス、それにガソリン。とにかく岸田内閣は、補助金をバラ播いてきた。たしかに補助金の恩恵に浴した人たちは喜ぶだろう。だが停止すると、不満が高じる。だから、なかなか止められない。長期になると必要経費がかさみ、財政の圧迫要因となってしまう。それでも止められないのは、一種の依存症だ。その治療薬は、まだない。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -594.66円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガソリン補助金 またも延長 (上)

2024-03-28 07:56:31 | エネルギー
◇ 予算規模は防衛費並みに膨張 = 岸田首相は先週の参院予算委員会で、ガソリンに対する補助金について「国民経済や経済活動への影響を考慮して、検討して行くことが重要だ」と述べ、4月末で終了する予定の補助金政策を延長することに前向きな姿勢をみせた。この制度で、たしかにガソリンの小売り価格は1リットル=175円程度に抑えられている。しかし反対論も多いなかで、補助金はまたしても延長されることになりそうだ。

ガソリンに対する補助金制度は、22年1月に導入された。原油の輸入価格が上昇した場合、政府が元売り会社に補助金を支給することで小売り価格を抑制する仕組み。たとえば最近の小売り価格は、レギュラーの全国平均が1リットル=174.3円。もし補助金がなければ196.0円になっているはずだと試算されている。当初はごく短期で終える計画だったが、これまで6回も延長された。現在は4月末で終了の予定になっているが、これをまたまた延長する。

必要な経費は、想像以上に多い。この4月末までに支給される補助金の総額は、約4兆4000億円にのぼる。予算ベースでみると、累計は6兆4000億円。1年間の防衛費にほぼ匹敵する。これだけ巨額の税金を使うわけだが、その恩恵は黒字を出している企業や大金持ちの個人にも及ぶ。これが反対論の一つの根拠だ。

ガソリンの値段が上昇すれば、消費が抑えられるはず。しかし価格を抑えれば、その機能が働かない。したがって補助金政策は、脱炭素の方向と矛盾する。また価格が175円前後で統一されるため、小売り市場ではほとんど競争がなくなった。と言うより、ガソリンの小売り市場は消滅してしまった。このように副作用も大きく、反対論は根強い。

                   (続きは明日)

        ≪27日の日経平均 = 上げ +364.70円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

次の焦点は 円相場の転換点

2024-03-26 06:24:09 | 円相場
◇ 早ければ4月にも円高へ向かう可能性 = 日銀がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。一方、FRBは金利を据え置いたから、日米間の金利差はわずかに縮小。したがって理論的には、円高が進むはずだった。ところが実際は円安が進行。円の対ドル相場は151円台にまで下落している。株式市場はこれを好感して日経平均は先週、史上最高値を更新した。この円安は、いつまで続くのだろうか。

アメリカのインフレは予想以上に根強く、FRBはなかなか利下げが出来ない。日銀はマイナス金利を止めても、緩和政策は続けると説明している。すると日米間の金利差は縮小しないから、円安は当分続く。--これが市場の見方であり、株高の材料ともなっている。だが、はたしてそうだろうか。たしかに日銀には、物価の急騰でもない限り、追加の利上げをするだけの度胸はない。

しかしアメリカの事情は少し違う。FRBは先週の政策決定会合で「ことし中に3回の利下げ」という見通しを維持した。市場では「最初の利下げは6月」という推測が、しだいに強まっている。さらに11月の大統領選挙を控えて、バイデン政権としては景気をよくしておきたい。だからFRBに対しても、早く金利を下げるようシグナルを送っている。

トランプ前大統領はFRBによる急激な利上げ政策を酷評し、パウエル議長の再選には反対だと言っている。もちろん、FRBがこうした政治的な風圧に動かされることはないだろう。しかし建前は建前、出来れば早く利下げをしたいに違いない。こうした見方が強まれば、6月の利下げは実現性を増す。市場がそんな空気を察知するのは、早ければ4月にも。そこが円相場の転換点になる可能性は十分にある。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -16.09円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週のポイント

2024-03-25 07:21:24 | 株価
◇ 日米市場で最高値更新ラッシュ = ダウ平均は先週761ドルの値上がり。水曜日と木曜日には、ダウ・ナスダック・SP500の3指数がそろって史上最高値を更新という素晴らしい記録を作っている。FRBが政策金利を据え置き、さらに年内3回の利下げ可能性を維持したことを好感した。ニューヨーク市場では「当面の懸案事項はすべて消滅した」という感じが広まっている。高値警戒感はあるが、4万ドルを狙う勢いは衰えていない。

日経平均は先週2181円の大幅な値上がり。こちらも木曜日と金曜日に、続けて最高値を更新した。終り値は4万0888円まで上昇している。日銀がマイナス金利の解除を決め、当面は緩和政策を続けると発表した。このため東京市場でも安心感が広がった。加えて円安が進行。金利上昇を見込んで金融株が買われ、円安で輸出関連株が物色されている。

ダウ平均は着実な上昇ぶりをみせているが、それでも年初来の上げ幅は1800ドルに満たない。一方の日経平均は年初来7400円も上昇しており、スピードがかなり速い。このため日経平均の今期予想ベースPER(株価収益率)は17.3倍にまで上昇した。専門家によると、市場は今期どころか25年3月期の増益予想まで織り込んでいるという。当然、高値警戒感は強くなる。それを乗り越えて行けるかどうかは、今後の企業業績にかかっていると言えるだろう。

今週は26日に、2月の企業向けサービス価格。29日に、3月の東京都区部・消費者物価、2月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは25日に、2月の新築住宅販売。26日に、1月のFHFA住宅価格指数、3月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、10-12月期のGDP確定値、2月の中古住宅販売が発表される。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>