経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

アポ電詐欺の多発は 日銀のせい??

2019-03-30 07:54:17 | 家計
◇ 個人は93兆円の現金を保有 = 日銀の集計によると、昨年末時点で個人が所有する金融資産は1830兆円だった。1年前に比べると1.3%減少している。これは株価の下落を反映したもので、年間を通じて減少したのは10年ぶり。たとえば株式の保有額は175兆円で、前年比15.3%の減少。投資信託は67兆円で12.4%減少している。

個人は相変わらず預金と現金が大好きだ。預金・現金の保有額は984兆円で、過去最大。前年より1.6%増えている。そのうち現金の保有額は93兆円、前年より2.1%増加した。特に現金の伸び率がいちじるしい。アベノミックスが始まった12年末と比較してみると、実に27%も増大した。理由は明快。銀行に預金しても、利子がほとんど付かないからである。

ゼロ金利政策のために、現在はメガバンクに1000万円を預金しても、年間の利子は税引きでたったの796円にしかならない。それなら自宅の金庫に眠らせておいた方がいい。そう考える人が多いのではないか。そして、それがアポ電詐欺に狙われる。仮に1年定期預金の金利が3%だとすると、年間の利息収入は税抜きで24万円近くになる。これならアポ電詐欺のターゲットは大幅に減るのではないか。

金利を引き上げて、預金金利を3%にしてみよう。その結果、個人の利子収入が増えれば、消費支出も活発になるだろう。高齢者にとっても、生活設計がぐんと楽になるはずだ。困るのはローンを借りている個人や中小企業だが、それは減税などの方策で補えばいい。財務省も国債の利子負担は増えるが、消費の増加で景気がよくなれば税収が増えるだろう。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +172.05円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   
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鬼が出るか蛇が出るか : 日銀短観

2019-03-29 08:30:44 | おカネ
◇ 業況判断の下がり方に注目 = 日銀が来週1日に発表する3月の企業短期経済観測調査に、いま大きな関心が集まっている。中国経済の減速で、日本の輸出や生産に陰りが見えてきた。したがって、製造業の業況判断が悪化することは避けられそうにない。だが、その悪化の程度が大きいと、景気の先行きに対する警戒感が一気に膨れ上がる可能性がある。どんな数字が出ると、危ないのだろうか。

短観では全国1万社の企業に対して「業況が良くなったか、悪くなったか」を、3か月ごとに聞いている。ここで「良くなった」という答えの比率から「悪くなった」という答えの比率を差し引いた数字が、業況判断指数だ。昨年12月の調査では、大企業・製造業の判断指数は、プラス19。大企業・非製造業の指数は、プラス24だった。

多くの民間調査機関が、3月調査の結果を予測している。最も多いのが、大企業・製造業の判断指数は5ポイント悪化するという予測。なかには9ポイントの悪化を予測したものもあった。大企業・非製造業については3ポイント程度の悪化が中心的な予測となっている。非製造業の場合は人手不足のほか、製造業の悪化に影響されるという見方が強い。

したがって、大企業・製造業の判断指数が5ポイント以下の悪化にとどまれば「織り込み済み」という受け取り方になるかもしれない。しかし悪化の幅が6ポイントを超えるようだと、心理的な悪影響は大きくなりそうだ。当面の株価に下げ要因となるほか、長期的な観点からも「政府の景気回復は続いているという判断は、おかしいのでは」といった疑念が強まる。こんな状態で「消費増税は可能なのか」という議論も熱を帯びるに違いない。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -344.97円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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追い詰められた イギリス (下)

2019-03-28 07:38:31 | EU
◇ 消えた大英帝国の面影 = イギリス議会が今週29日までに、メイ首相の離脱協定案を承認する可能性もゼロではない。その場合、イギリスは5月22日にEUを正式離脱することになる。だが、その公算はきわめて小さい。すると、こんどは欧州議会に参加するかどうかを、4月12日までに決めなければならない。そこで不参加となれば、4月12日に“合意なき離脱”となる。また参加と決めれば、離脱は長期的に延期される。

“合意なき離脱”について、イギリス議会は「反対」の動議をすでに可決している。このため残された道は「長期的な延期」しかないという見方が強まっている。しかし長期的な延期は、実際問題としては“残留”に等しい。だから、それに対する反発も決して小さくはない。すべての道が塞がれたときには、再び国民投票するしかないだろう。だがメイ首相は、国民投票の再現に反対し続けている。

イギリスのEU離脱は、EUの移民拡大政策に対する反発から始まった。しかし、その根底に「大陸側の指揮・命令には従いたくない」というイギリス人の感情が作用したことも確かだろう。要するに「イギリスはドイツやフランスの下であってはならない」という歴史的あるいは民族的な自尊心の発露である。その半面、EU内にとどまり経済的な恩恵は享受したいと考える人も多い。

この2つの矛盾する思考が、イギリスを混迷に陥れた。いまのイギリスは対EUの姿勢で、国民が完全に分断されてしまっている。だから“合意ある離脱”でも“合意なき離脱”でも、あるいは“長期的な離脱延期”でも再度の国民投票でも、国民の半数は不満を持つことになる。第2次大戦中のイギリスをまとめたウィンストン・チャーチルのような人物が出現しないと、イギリスという国家は威信を回復できないのではないか。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -49.66円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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追い詰められた イギリス (上)

2019-03-27 08:17:13 | EU
◇ EUが最後通告を突きつける = EUは先週21日に開いた首脳会議で、イギリスの離脱問題に関する態度を決定。イギリス政府に通告した。その内容は、①イギリス議会が3月29日までに離脱協定案を承認すれば、離脱の期限を5月22日まで延長する②もし議会が承認しなければ、4月12日までに合意なき離脱か、離脱の期限を長期的に延長するかを選んでほしい――というもの。要するに最後通告であり、とうとうイギリスは全くの瀬戸際に追い詰められた。

まずはイギリス議会が、離脱予定日の3月29日までに離脱協定案を承認した場合。混乱を避けるために離脱日を先送りし、イギリスは5月22日にEUから正式に脱退することになる。ここで言う離脱協定案というのは、メイ首相とEU首脳が合意したもの。その中核は「アイルランド国境管理の問題が解決されるまで、現状を維持する」という内容だ。

これだと国境問題が片付くまで、イギリスはEUから離脱できない。このため反対意見が強く、議会はこれまで2度にわたってこの協定案を否決している。したがってメイ首相が今週中に協定案を提出しても、議会の承認を得ることは難しいという見方が強い。それ以前に、バーコウ下院議長は「同じ協定案を3度も審議することは許されない」と言明しているし、議会内部ではメイ首相の辞任を求める動きも出てきている。

次に議会が今週中に協定案を承認しないと、どうなるか。EUは5月23日から欧州議会を開く予定で、このことが問題を複雑にしている。もしイギリスがEUに残留すれば、この欧州議会に議員を送り込まなければならない。EU首脳は、その決断を4月12日までにしろとイギリスに迫ったわけだ。欧州議会に不参加なら、イギリスの脱退は合意がないまま4月12日。参加するなら、離脱の長期的な延長を認めることになる。

                              (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 上げ +451.28円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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裏目に出た FRBの利上げ停止

2019-03-26 07:46:40 | イギリス
◇ 市場に景気不安を意識づける = アメリカの中央銀行であるFRBは先週20日、突如として「ことしは利上げしない。資産の縮小も9月には停止する」と発表した。FRBは15年末から政策金利を徐々に引き上げ、国債などを市場に売り戻して量的引き締めも進めてきた。その政策をすべて中止するのは、ヨーロッパ経済の悪化など景気の先行きに心配な状況が生じてきたため。市場では金融政策が中立的な段階を飛び越えて、一気に“景気警戒モード”に入ったと受け止めている。

この発表の直後からアメリカの10年もの国債利回りは下げ始め、22日のニューヨーク市場では2.41%と1年3か月ぶりの水準にまで低下した。ヨーロッパ諸国や日本の国債も買われ、22日の東京市場では10年もの国債の利回りがマイナス0.80%にまで下がっている。ドイツの長期金利も、一時はマイナスに陥った。そして各国の市場で、株価は下落した。

金利が下がれば、金融機関の利ザヤは縮小する。このため銀行株が、軒並み下落した。さらに市場には「FRBはかなり景気の先行きを心配している」という観測が流れ、株価の下落を加速した。FRBとしては「引き締め政策をストップすれば、株価は上昇する」と考えたのだろうが、結果は裏目に出た。

長期金利が下落し、短期金利を下回る逆転現象が11年半ぶりに起こったことも、市場の空気を暗くした。過去の経験則からみると、この逆転現象のあとには必ず景気後退がやってくるというから、投資家も考え込んでしまうだろう。そこで安全な国債に逃避すれば、長期金利はさらに下がる。円相場は上がるという構図になる。こんな状況から市場が抜け出すには、時間がかかりそうだ。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -650.23円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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