◇ 国債増発で超大型減税の危うさ = 9月6日に就任したばかりの女性首相が、世界経済を揺るがしている。イギリスのメアリー・トラス首相(47)が、その人だ。コトの発端は、新首相が9月23日に発表した新経済政策。その内容は、エネルギー高騰対策に半年で600億ポンド(9兆3000億円)、法人税や所得税を5年間で1610億ポンド(25兆円)減税するなど。財政の大盤振る舞いだった。しかも財源はすべて国債の増発で賄うという、大胆きわまる計画。
これには世界中が驚いた。インフレの火に油を注ぐようなものだし、国債価格も暴落する。さっそく金利は急上昇、ポンドは売られた。これまでインフレ対策で金融を引き締めてきたイングランド銀行は、逆に利上げと国債の買い入れを余儀なくされている。ヨーロッパ市場の株価は急落、影響はアメリカにも飛び火して金利の上昇と株価の下落を招いている。
IMF(国際通貨基金)も「この政策は危険であり、撤回するように」と、異例の警告を発した。このためトラス首相は、所得税の最高税率引き下げだけは撤回した。しかし、こうした財政の大盤振る舞いは彼女の選挙公約であり、あとは撤回しない姿勢。こうして世界中がインフレ対策を強化しているなか、イギリスだけが反対方向の政策を進めようとしている。
イギリスはいまでも金融大国だ。そんな国が不協和音を発すれば、世界の金融システムは動揺する。リーマン・ショックのような金融不安が、どこで起こるか判らない。トラス首相の経済政策はポピュリズムの典型。これまでは左派系の政権が、そして最近は右派系の政権がよくスローガンに掲げてきた。それがイギリスにまで広がったことは、やはりショックである。
≪4日の日経平均 = 上げ +776.42円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
これには世界中が驚いた。インフレの火に油を注ぐようなものだし、国債価格も暴落する。さっそく金利は急上昇、ポンドは売られた。これまでインフレ対策で金融を引き締めてきたイングランド銀行は、逆に利上げと国債の買い入れを余儀なくされている。ヨーロッパ市場の株価は急落、影響はアメリカにも飛び火して金利の上昇と株価の下落を招いている。
IMF(国際通貨基金)も「この政策は危険であり、撤回するように」と、異例の警告を発した。このためトラス首相は、所得税の最高税率引き下げだけは撤回した。しかし、こうした財政の大盤振る舞いは彼女の選挙公約であり、あとは撤回しない姿勢。こうして世界中がインフレ対策を強化しているなか、イギリスだけが反対方向の政策を進めようとしている。
イギリスはいまでも金融大国だ。そんな国が不協和音を発すれば、世界の金融システムは動揺する。リーマン・ショックのような金融不安が、どこで起こるか判らない。トラス首相の経済政策はポピュリズムの典型。これまでは左派系の政権が、そして最近は右派系の政権がよくスローガンに掲げてきた。それがイギリスにまで広がったことは、やはりショックである。
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≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫