経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

大麻が10月から 合法化 / カナダ (下)

2018-06-30 08:03:26 | 麻薬
◇ 日本人渡航者はご用心 = 日本は大麻取締法という法律で、大麻の流通を厳しく規制している。大量の密輸が空港で摘発されたり、芸能人が逮捕されてテレビ番組を降ろされたり。ニュースにはこと欠かない。15年には、2101人が大麻取締法にもとづいて逮捕された。ただ暴力団による売買は、なかなか撲滅できない。

この大麻取締法は、少し変わった法律だ。よく読むと、大麻の所持や譲渡は禁止され、違反すると罰則が適用される。しかし大麻の使用に関する罰則規定はない。これは七味とうがらしには大麻の実、神社の〆め縄には大麻の茎が使われるなど、古くから生活の場で使われているからだ。そこで使用については規定されていない。だが麻薬としての大麻を使用すれば、栽培あるいは譲渡の罪が問われる仕組みになっている。

また大麻取締法は、日本人が海外で大麻を所持したり譲渡したりすることを禁じている。だからカナダで大麻が解禁されたとしても、カナダへ旅行した日本人がカナダ人に勧められてマリファナを吸えば、立派な犯罪になる。吸ったことが罪になるわけではなく、大麻を譲渡されたことが法律違反になるわけだ。

世界の流れは、完全に大麻を解禁する方向に進んでいる。そうしたなかで、日本はどうするのだろうか。たしかに密輸や密売はなくなるかもしれないが、暴力団はもっとタチの悪い麻薬の流通に精を出すに違いない。東京オリンピックを前に、大麻は麻薬なのか、麻薬ではないのか。そんな議論が始まりそうである。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +34.12円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】  

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大麻が10月から 合法化 / カナダ (上)

2018-06-29 07:35:50 | 麻薬
◇ 世界の潮流は所持・使用OKへ = カナダのトルドー首相は先週「大麻の所持と使用を10月17日から合法化する」と発表した。その理由について、同首相は「規制しているため、犯罪組織に年60億カナダ・ドル(約5000億円)の利益を挙げさせている」「いまの禁止制度では、子どもたちを守れない」からだと説明している。与野党も合法化に賛成しており、大麻が10月に解禁されることは確実だ。

世界を見渡すと、多くの国や地域が大麻を条件付きで解禁している。大麻というのはスペイン語でマリファナ。そのスペインでは個人が栽培したり使用することは合法だが、販売することは禁じている。またウルグアイは完全に合法。オランダも事実上は規制がないといわれる。アメリカは州によってバラバラ。ワシントンDCやカリフォルニア州など10州は少量なら所持できる。全面禁止の州は減っており、いまや10州を残すのみだ。

大麻の所持や使用を規制すれば、密輸がはびこり値段は高騰する。そこに犯罪組織が介入してくるが、規制をはずせば価格が下がり闇市場も消滅する。これがトルドー首相の考え方だ。その背景には、大麻は他の麻薬に比べて中毒性や依存性が低く、過剰摂取による死亡例もないという医学的な裏付けもあるようだ。

こうしたことから、大麻の解禁は世界的な広がりをみせている。ただ反対論も根強い。その多くは宗教的な規律によるもので、イスラム圏では大麻を所持しているだけで死刑になる国もあるという。また先進国でも「大麻の吸引は他の麻薬中毒の入り口になりやすい」という指摘がある。なおオリンピックでは、大麻の成分が検出されるとドーピングとみなされる。

                                 (続きは明日)

       ≪28日の日経平均 = 下げ -1.38円≫

       ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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景気対策に乗り出した 中国

2018-06-28 08:28:11 | 中国
◇ 心配な銀行の不良債権増加 = 中国人民銀行は24日、預金準備率を0.5%引き下げると発表した。大手銀行の場合、現行の16%が15.5%に下がる。預金準備率というのは、預金保有額の一部を強制的に中央銀行に預けさせる政策。その比率が下がれば銀行の貸し出し余力が増え、景気の下支えになると考えられている。人民銀行によると、今回の引き下げで7000億元(約12兆円)の金融緩和効果があるという。

アメリカの中国に対する制裁関税は、7月6日に発効する。そのショックを和らげるための措置とも考えられるが、中国経済自体にも、いろいろ問題が起きてきたようだ。たとえば5月の経済指標は、軒並み悪化している。1-5月間の固定資産投資額は前年比6.1%の増加で、1-4月間の実績より0.9ポイント低下した。小売り売上高も15年ぶりの低い伸び。自動車の売れ行きは前年割れとなった。

中国では、景気対策の最初の手段に預金準備率を引き下げることが多い。しかも過去の経験では、間を置かずに何回か連続して下げる。今回もそうなる公算は大きいだろう。ところが中国経済の現状をみると、非常に心配な現象が生じている。それは企業の債務不履行が多発している点だ。1-6月間では、元建てとドル建てを合わせて4000億円超の不払いが発生している。

そこで銀行の貸し出し余力が増えると、どうなるか。おそらくは、経営に行き詰まった企業への貸し出しが増えるだろう。すると銀行は、不良債権のタネを抱え込むことになる。中国の場合は、政府が銀行の貸出先を規制することもできる。だが厳しく規制すれば、景気の浮揚効果は薄れるだろう。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -70.23円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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がんじがらめの 円・ドル相場 (下)

2018-06-27 07:39:05 | 円相場
◇ 円安の予想が強いけれど = アメリカの金利が上昇して日米間の金利差が拡大すれば、為替はドル高・円安の方向に動く。理屈のうえでは、その通りだ。いまはFRBが「年内あと2回の利上げ」を行うという予想が圧倒的に強い。だがらドル高・円安の要因とみられている。しかし何らかの理由でこの予想が「年内あと1回」に変わると、この要因はたちまちドル安・円高の要因にひっくり返る。北朝鮮を巡る情勢も、何か不安が持ち上がれば同様だ。

このように円相場を縛り付けている蜘蛛の糸は、意外に切れやすい。ただ現時点でみる限り、アメリカの金利も北朝鮮情勢も変化を生じる兆しはない。したがって円ドル相場が動くとすれば、円安の方向だという予想が強くなっている。一方、円高要因として考えられている貿易戦争は始まったばかり。すぐに終息する気配はない。したがって円安に大きく振れるという見方は少ない。

現在の1ドル=110円前後という相場は、日本経済にとって“適温”と言えるだろう。輸出企業は100-105円程度を想定しているから、採算的にはかなり有利だ。原油などの輸入価格も、何とか我慢できる範囲内に収まっている。しかし120円程度の円安状態が続くと、電気代やガソリン代が急騰し消費が圧迫されてしまう。

だから、いま膠着状態にある円ドル相場は、日本経済にとっては非常に好ましい。だが為替の世界では、そんな適温の状態が長続きすることはありえない。間もなく蜘蛛の糸の一本が切れ、全体がバランスを崩すことになるだろう。ただ、どの糸が切れるかは誰も予測できない。梅雨明けの相場は円高になるのだろうか。それとも円安に傾くのだろうか。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +3.85円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ

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がんじがらめの 円・ドル相場 (上)

2018-06-26 06:29:26 | 円相場
◇ 5月からずっと静止状態 = 円の対ドル相場が、全く動かない。東京外国為替市場の中心相場でみると、5月1日が109円30銭。先週22日が109円96銭だった。この間5月21日には111円台にまで下がったが、この2か月間は109円―111円の範囲内での小動きにとどまっている。さらに年初からの推移をみても、値動きは112円台から104円台の間に限られている。こんなに為替相場が動かないことは、きわめて珍しい。

その理由は、円相場を上昇させる要因と下落させる要因が均衡しているためだと考えられる。しかも、これらの要因はいくつも重なり合っている。最近の円ドル相場は、まるで複雑な蜘蛛の糸に絡めとられた獲物のように、身動きがとれなくなっているようだ。1ドル=110円前後の相場は、日本経済にとっては好ましい水準だと言えるだろう。だが、こうした膠着状態はやがて崩れる。

たとえばFRBが政策金利を2%に引き上げた。これは日米間の金利差が拡大することを意味するから、明らかにドル高・円安の大きな要因となる。にもかかわらず、そのときの円ドル相場はほとんど動かなかった。トランプ大統領が中国などに対する輸入関税の引き上げを発表。これがドル安・円高の要因となって、金融面からのドル高・円安効果を相殺してしまったからだと考えられている。

さらに朝鮮半島の緊張緩和は、円安要因として働く。原油の国際価格が上昇すれば、これも円安の要因。さらにECB(ヨーロッパ中央銀行)が金融緩和政策の終結を打ち出すと、これも円安要因。アメリカの高金利で新興国からの資金流出も、ドル高・円安の効果を持つ。しかし中国やEUなどが報復関税を発表すれば、円高要因に。国内の政治情勢が安定度を増すと、これも円高要因になりやすい。ところが、これらの要因はいつも同じ効果を発揮するとは限らないから厄介である。

                                (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 下げ -178.68円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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