経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

最悪のバラマキ : 大学無償化

2019-04-20 08:52:03 | 無償教育
◇ 日本の将来を危うくする = 低所得世帯の学生に大学教育を受けさせるため、授業料を免除する。こういう触れ込みの「大学等就学支援法案」が衆院で可決され、参院に送られた。必要な財源は年7600億円。消費税引き上げによる増収分で賄う方針。一見すると良さそうな内容だが、考え方はズサン極まりない。下手をすると、日本国の将来に大きな悪影響を及ぼしかねない危険性を持っている。

法案によると、対象となるのは年収が380万円未満の世帯。具体的には、国公立大学の学生には最大年54万円、私立大学の場合は70万円の給付型奨学金を支給する。実施は来年4月からの予定。本人の学力や学習意欲、進学目的などで奨学金に差を付けるというが、いったい誰がどんな基準で審査をするのだろうか。

いま日本には768の大学が存在する。そのうちの約8割が私立大学だ。この私立大学のうち300校近くが赤字経営で、学生の数が定員に達していない。つい最近も定員不足を補うため、外国人留学生を大量に入学させて問題を起こした大学もあった。こんな大学なら、勉強しなくても入学できる。そして奨学金をもらって、遊んで暮らす。こんな若者が増える可能性は否定できない。

日本の伝統技術を継承して行くためには、高校出の若者も必要だ。そういう人たちが奨学金につられて、大学に進学したら。大学無償制度が普及しているヨーロッパ諸国の例をみると、中学・高校の時代から生徒の選別が始まる。その過程で選ばれた若者に奨学金を与えている。今回の法案とは、全く考え方が違う。今回の法案は選挙を控えたバラマキであって、若者を重視した政策ではない。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +110.44円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

自縄自縛の 2兆円政策パック

2017-12-14 07:25:32 | 無償教育
◇ もし消費増税ができないと = 政府は8日の臨時閣議で、人づくり革命のための2兆円政策パッケージを決定した。幼児教育・保育の無償化に8000億円、待機児童対策に3000億円、高等教育の無償化に8000億円、介護人材の処遇改善に1000億円を投入する。これから細部にわたって検討し、関連法案を来年の通常国会に提出する方針。

その財源も確定した。2兆円のうちの1兆7000億円は、消費増税による税収増加分から支出。残りの3000億円は、経済界が負担することになった。こうみてくると、安倍首相が熱心に打ち出した人づくり革命の具体策は、まことにスムースに動き出したように思われる。しかし問題は、財源の大半を消費増税に頼っていることだ。

政府・与党は、消費税率を19年10月に現在の8%から10%に引き上げる方針。だが19年春の時点で景気が下降局面に入っていたら、増税は困難だろう。と言って風呂敷をここまで広げてしまったから、増税ができないので2兆円政策パッケージも止めるというわけにはいかないだろう。そんなことをすれば、国民は裏切られたと感じてしまう。

景気が1年以上も先に、どんな状態にあるのか。誰にも正確な予想は困難だ。にもかかわらず政府・与党が2兆円政策パッケージの完成を急ぐ姿を見ていると「たとえ景気が悪くなっても消費増税は断行する」と言っているようにもみえる。あるいは景気上昇が19年春まで続くことに、賭けているのかもしれない。いずれにしても、自縄自縛のようにも見受けられるのだが。

      ≪13日の日経平均 = 下げ -108.10円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


危うい「全世代型社会保障」の 財源

2017-10-26 08:17:09 | 無償教育
◇ 誰が負担することになるのか = 総選挙で自民党が圧勝したことによって、安倍首相が公約した「全世代型社会保障」が動き出す。公約の内容は①3-5歳児については幼稚園・保育園の完全無償化②0-2歳児については所得制限を設けて無償化③低所得者層については大学までの高等教育を無償化――するというもの。さらに待機児童対策として、32万人分の受け皿を20年度末までに整備する計画だ。

政府は年末までにパッケージ法案を作り、来年の通常国会に提出する方針。若い世代を経済的に支援し、子どもたちの教育水準を引き上げる。大変いいことだから野党も原則的には賛成しており、法案はすんなりと成立するだろう。だが問題は、その財源をどう作るかだ。安倍首相は消費増税による税収増5兆6000億円のうち、1兆7000億円を充当すると表明した。しかし、それだけではとても足りない。

内閣府の試算によると、幼稚園・保育園の無償化だけで年間1兆1700億円の財源が必要。高等教育の無償化には、やり方にもよるが最大3兆7000億円が必要だ。さらに保育園の拡充にも相当な費用がかかる。この不足分を、どこから調達するのか。たとえば国債の増発でも賄えるが、これでは財政再建の目標を放棄することになりかねない。

政府部内では教育国債の発行という手段も話題にのぼっているが、これも国債の増発であることに変わりはない。また子ども保険の構想も出ているが、この場合は企業と現役サラリーマンが負担することになる。最も可能性が大きいのは、高齢者向けの年金や医療費の削減。そう考えると「全世代型」という言い方が「世代間のバランス調整型」とも読めてくる。

      ≪25日の日経平均 = 下げ -97.55円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ

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