経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

金(きん)の国内価格が 10000円に

2023-08-31 08:24:08 | なし
◇ インフレ・円安・国際緊張で = 金(きん)の国内取り引き価格が、初めて10000円を超えた。田中貴金属によると、29日の小売り価格は前日より28円上がって1グラム=10001円に。買い取り価格も9886円で、過去最高となった。日本が金の輸入を解禁したのは1973年、そのときの小売り価格は825円だった。その後の50年間で、12倍に値上がりしたことになる。

金の価格は基本的に、ニューヨーク市場で取り引きされる先物相場が基準となる。この相場もこの10年間に、2倍を超えて上昇した。その値上がりの原因は、インフレと国際緊張の2つ。インフレで通貨の価値が下がると、金の価格は相対的に上がる。だから人々はインフレが進行すると思えば、金を買う。また金は最終的な安全資産と考えられているから、ウクライナ戦争や台湾有事など国際緊張が高まるときも、金が買われる。

世界的にみて、いま金の需要はそれほど強くない。たとえば4-6月期でみると、産業用は前年比10%減、宝飾用は前年並みだった。ただ中央銀行と国際機関による買い入れが大きく、また個人の需要も根強かった。このため金の国際価格は、このところじり高基調を維持している。中央銀行の場合はインフレ、国際機関の場合は国際緊張を重視したためかもしれない。

日本の小売り価格は、金の輸入価格に消費税と手数料を加えて算出される。したがって日本の場合は、インフレと国際緊張のほか、円の対ドル相場が値上がりの要因となるわけだ。この3つの要因は、少なくとも今後6か月程度は弱まりそうにない。したがって専門家は「金価格の上昇はまだしばらく続く」と予測している。

        ≪30日の日経平均 = 上げ +106.49円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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世界は 高金利時代

2023-08-30 07:31:36 | 世界経済
◇ 異様な日本のゼロ金利政策 = 世界中の中央銀行がインフレと闘うため、次々と政策金利を引き上げている。世界はまさしく高金利時代。なかでも突出しているのが、南米のアルゼンチンだ。この14日にも中央銀行は、通貨ペソの2割切り下げと政策金利を118%に引き上げると発表した。物価上昇率が100%を超え、手が付けられなくなったからだ。このほかトルコの政策金利は25%、ブラジルが13.25%など。新興国の金利が総じて非常に高い。

先進国の金利も上昇を続けている。アメリカの政策金利は現在5.25%だが、FRBは9月も5.5%に引き上げるという見方が強い。このため10年もの国債の利回りは先週4.35%と、15年9か月ぶりの高さに上昇した。また物価騰貴が収まらないユーロ圏も、現在の政策金利4.5%をさらに引き上げる公算が大きい。イギリスの政策金利は5.25%、カナダは5.00%だが、アメリカやユーロ圏が利上げすれば追随することになりそうだ。

こうしたなかで、ひとり異彩を放っているのが日本。長期金利は日銀が1%までの上昇を容認したため、現在は0.7%に近付いている。しかし短期金利を対象とする政策金利は、なんとマイナス0.1%のまま。要するに世界のなかで、日本だけが‟金利のない国”となっている。日銀はこの‟ゼロ金利政策”を見直す考えを、全く持っていない。

世界は高金利、日本はゼロ金利。おカネは金利の高い方に流れるから、日本円は各国の通貨に対して安くなる。円の対ドル相場は先週146円後半にまで下落した。仮に日銀が金利を上げて円相場を117円に上昇させたとすると、輸入物価は2割ほど安くなる。そうせずに、政府はガソリンや電気・ガス料金の値上がりを抑えるために、何兆円もの税金を使う。どう考えても、おかしい。日銀は説明する責任があるだろう。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +56.98円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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パウエル発言の 真意を読む

2023-08-29 08:01:45 | アメリカ
◇ 少なくとも9月は利上げする? = 「パウエルFRB議長は、いったい何を言いたかったのだろうか」--ニューヨーク市場では、まだ頭をひねっている人たちが多い。別に金融技術用語を並べ立てて、難解だったわけではない。逆に平易な言葉で常識的すぎる説明をしたために、真意が汲み取りにくくなってしまった。パウエル議長は「適切ならば、さらに利上げする用意がある」と述べる一方で「景気動向も慎重に見極めて行く」とも言明した。金融引き締めを継続するのか、それとも早めの解除を考えているのか。

ジャクソンホールで25日に行なったパウエル議長の講演。内容が伝えられたとき、ダウ平均株価は大きく値を下げた。しかし株価はすぐに反発。終り値では250ドル近く上昇した。これは市場が最初は「引き締めの継続」と受け取り、そのあとは「そうでもない」と解釈したことを示している。だが、その迷いは今週になっても続いているようだ。

パウエル議長は「インフレ率はいぜんとして高すぎる」「引き締め的な金融政策が、ますます重要な役割を演ずる」とも述べている。こうした発言からみれば、やはり引き締めの継続を市場に伝えたかったのではないか。すると少なくとも9月の利上げは避けられない。年内の利下げは完全に消滅した。こうした見方が、市場では強まって行きそうだ。

このため当面は、株価も調整色を強める。あるいはすぐに織り込んで、再び上昇軌道に乗る。そのどちらが優勢になるかは、物価と雇用の動向、企業の業績が決めることになるだろう。ジャクソンホール会議でECB(ヨーロッパ中央銀行)のラガルド総裁は「まだインフレに勝てていない」と言い切った。パウエル議長もそう言いたかったが、優しくオブラートに包んで表現したと解釈しておきたい。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +545.71円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2023-08-28 07:55:43 | 株価
◇ 金融政策の先行きは不透明 = ダウ平均は先週154ドルの値下がり。3万4000ドル台前半を行ったり来たりした。市場の関心は、ジャクソンホールで週末に行なわれたパウエルFRB議長の講演に集中。その予想を巡って一喜一憂した。ところがパウエル議長は「必要なら利上げを続ける」「景気動向にも配慮する」と、のらりくらり。政策の先行きについては、手がかりさえも与えなかった。このため市場では「やっぱり9月も利上げかな」といった空気に傾きつつあるようだ。

日経平均は先週174円の値上がり。ニューヨーク市場の軟調にもかかわらず週初から連騰、押し目買いの勢いを見せつけた。しかし金曜日には大きく反落している。アメリカの長期金利が一時4.35%と15年9か月ぶりの高さに上昇したため、ドル高・円安がさらに進んだ。また長期金利も押し上げられ、一時0.675%にまで上昇した。日銀は0.7%を上限にしようと、国債を買い支えているようだ。

ニューヨーク市場では今週、改めてパウエル演説の評価が噴出するだろう。その結果は「9月は利上げ」説が有力になるかもしれない。株価がそれを織り込むまでには少し時間がかかりそうだ。一方、東京市場はニューヨークしだい。中国経済は重荷になっているが、それでも下値を拾う買い物はチャンスを狙っている。ただ円相場と長期金利の動向には、注意が必要だ。

今週は29日に、7月の労働力調査。30日に、8月の消費動向調査。31日に、7月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは29日に、6月のFHFA住宅価格。30日に、4-6月期のGDP改定値、7月の中古住宅販売。1日に、8月の雇用統計、ISM製造業景況指数。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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コロナ感染症は 霧のなか

2023-08-26 07:32:37 | なし
◇ 新しい変異株も出現した = CDC(米疾病対策センター)は「アメリカでコロナ・ウイルスの新しい変異株が流行し始めた」と発表した。オミクロン型から派生した「エリス」と呼ばれる新種で、感染力が非常に強い。8月5日までの1週間で、入院患者は約1万人、前週より14%増加した。CDCでは「コロナ感染者の2割がエリスによるもの」と推定している。

日本でも、コロナ感染者が急増している。厚生労働省の発表によると、7月31日-8月6日の1週間に全国5000の医療機関から報告された感染者数は7万7937人。政府がコロナ感染症の扱いを5類に引き下げた5月上旬に比べると、ほぼ6倍に増加している。この増加スピードは、第7波や第8波のときと変わらない。第9波が進行していることは確実で、お盆休みによって流行が加速する恐れもある。

政府はコロナ感染症を5類に格下げしたのに伴い、全国の医療機関から即日集計する全数把握を止めてしまった。現在は5000の医療機関を指定し、そこからの報告だけを集計する定点把握に変えている。したがって実際の感染者数は、発表される数字よりもかなり多いはずだ。そのうえ集計は2週間遅れ。だから現時点での状況は、全く判らない。

5類というのは、季節性インフルエンザ並みの扱い。季節性インフルエンザは定点把握しかしていない。だからコロナ感染症も、全数・即日把握を止めてしまった。このため、たとえば新しい変異株が入ってきても、2週間後でなければ判明しない。こんなことで、いいのだろうか。この点については、専門家も何も言わない。無責任だと思う。

        ≪25日の日経平均 = 下げ -662.93円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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