経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

想定を超えた好成績 : 23年の株価

2023-12-30 07:37:35 | 株価
◇ 原動力はやっぱり‟カネ余り” = 日経平均株価は3万3464円で、大納会を終了した。この1年間の上げ幅は7369円。なんと年間としては、史上3番目の上昇幅である。1月4日の大発会は2万5717円、その時点でこんな好成績を予想した人は少なかったに違いない。そこから年の前半はコロナ規制の解除、円安の進行による企業の利益増大、それに著名投資家ウォーレン・パフェット氏の日本株買い入れなどがあって、株価は上昇。後半は上げ足を鈍らせたが、それでも高値圏で推移した。

ウクライナ戦争の長期化によって、エネルギー・資源・食料の国際価格が高騰。円安の影響も加わって、国内の物価も上昇を続けた。しかし日銀は超金融緩和政策を継続、‟カネ余り”状態がいぜん続く。外国人投資家にとっては超低金利で安い円を借り入れ、これを株式投資に回す。こんなに気楽な投資環境は、なかなか見つからなかったに違いない。そして、これまた予想をはるかに上回ったニューヨーク市場の株価も、常に東京市場の下支えとなった。

ダウ平均株価は28日の終り値が3万7710ドル、また史上最高値を更新している。ここまでで年初来の上げ幅は4563ドル。FRBが政策金利を急速に引き上げたにもかかわらず、上昇したのだから凄い。さすがに利上げがあると下げたが、すぐに利上げの終了を期待して上げた。FRBによる量的引き締めがまだ十分でなく、投資資金があり余っていたことが、株価を下支えしたと言える。

特に11月以降は、株価が急騰した。FRBが政策金利の据え置きを続けたためで、市場では来年の利下げに期待をかけるようになった。このため12月中旬からは、連日のように史上最高値を更新中。来年になってもニューヨーク市場の強気相場は続きそうだ。当面の目標は3万8000ドルだが、近く4万ドルの大台乗せも夢ではないとみる人が多い。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -75.45円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   
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国債は どこまで増やせるのか?

2023-12-28 07:14:11 | 国債
◇ 来年度も35兆円を新規に発行 = 政府が編成した24年度の予算案。一般会計の総額は112兆0717億円で、23年度の当初予算より約2兆円縮小している。これはコロナ関連の予備費を4兆円削減したため。内容を見ていちばん気になったのは、社会保障費と国債費が増大したこと。どちらも自然に増加してしまう費目で、いずれも過去最大に。両方を合わせると64兆7000億円と、歳出全体の57.8%を占めている。いわば6割近くが固定費であり、裁量的に動かせる費目は4割に減ってしまった。

このうち国債費は27兆0090億円。国債費というのは、国債の償還や利払いに充てる費用。国債の発行残高が増えたり、金利が上がると、この費用は増大する。ここで注目されるのは、想定される金利を7年ぶりに1.1%から1.9%に引き上げたことだ。要するに24年度は日銀がゼロ金利政策から脱却、金利が上がることを政府自らが想定していることになる。

新予算案によると、新規国債の発行額は34兆9490億円。歳入全体の31.2%を占める。つまり歳入の約3分の1は、借金で賄うわけだ。この結果、24年度末の国債発行総残高は1105兆円に。国と地方の長期債務残高は、GDPの212%となる見通しだ。こうした‟借金漬け”の財政政策は、いつまで続けられるのだろう。常識的には、もう限界に近い。

ところが日銀が多くの国債を買ってしまうから、話が見えにくくなる。日銀は13年に始めた異次元緩和政策で、国債を毎年50兆円-80兆円のペースで市場から買い入れている。22年は136兆円も買った。このため金利は上がらず、こんな状態なら何年でも続けられるように思われる。しかし金利が上がり出すと、そうはいかない。財務省も26年度の国債費は金利が1%上昇すれば3兆6000億円、2%上昇なら7兆2000億円増加すると試算した。そうなると、26年度以降の予算はどんな形になってしまうのだろうか。少々恐ろしい。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -141.62円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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贅沢すぎる悩み : NY株式市場

2023-12-26 07:19:08 | 株価
◇ 史上最高値でも利下げは可能なのか? = ニューヨーク市場では先行き安心感が広がり、株価は史上最高値の水準に達している。FRBが政策金利を据え置いたことから「利上げ局面は終わった。来年は利下げの年になる」という確信が急激に強まったためだ。ダウ平均は年内にも3万8000ドルを超えてもおかしくない。そんな高揚感のなかで、市場では「こんなにすんなりと上げてもいいのだろうか」という何とも贅沢な疑問さえ生じている。

振り返ってみると、FRBが引き締め政策に転じる直前、22年1月4日のダウ平均は3万6799ドルだった。現在は3万7000ドル台で、それを超えている。ということはFRBが急テンポの利上げを実施したにもかかわらず、結果的に株価は下落しなかったことになる。これはFRBによる量的な引き締めが、まだ十分な効果を発揮していないことを示すのかもしれない。

その1つの証拠は、株式購入の待機資金受け皿と言われるMMF(マネー・マーケット・ファンド)の残高。米投資信託協会の集計によると、12月13日時点の残高は5兆9000億ドルで過去最大となった。この残高はリーマン・ショック時の3兆8000億ドルをはるかに上回る。もちろん、この残高がすべて株式市場に投入されるわけではないが、余裕資金の大きさをみるには十分な数字だ。

FRBは「引き締めの効果は来年になってから現われる」とも解説している。だが一方で、株価は利下げとともにさらに上昇するだろう。株価が史上最高値を更新し続ける状態で、FRBは利下げできるのだろうか。もしかすると、株高が利下げを遅らせる原因になるかもしれない。ニューヨーク市場の贅沢な悩みは、まだまだ続きそうだ。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +51.82円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   
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今週のポイント

2023-12-25 07:42:28 | 株価
◇ 年末相場に期待する株式市場 = ダウ平均は先週81ドルの値上がり。火曜日の終り値3万7558ドルまで、5日連続で史上最高値を更新し続けた。あとはさすがにやや反落したが、11月から8週連続の上昇。4年10か月ぶりの記録も作っている。最大の原因は、FRBによる政策金利の据え置き決定。これで来年は利下げが始まるという観測が拡大、市場の空気が一挙に明るくなった。

日経平均は先週199円の値上がり。日銀がマイナス金利政策の据え置きを決めたため、19-20日の2日間で900円以上も上昇。あとは確定売りが出て反落した。しかし終り値でも3万3000円台を確保、日銀の政策修正は当分ないという見方が広がっている。大手証券3社の発表だと、今3月期の経常利益は前年比7.3-8.1%の増益。これもプラス材料になった。

ニューヨーク市場では年末相場が盛り上がり、ダウは3万8000ドルに達するかどうかが焦点。紅海での航路不安と高値警戒の確定売りがカベになりそう。一方、東京市場では7月に付けたバブル崩壊後の高値を抜けるかどうか。こちらは円高、操業を完全ストップしたダイハツ。それに裏金問題に揺れる政局がカベになるだろう。

今週は26日に、11月の労働力調査、企業向けサービス価格。28日に、11月の商業動態統計、鉱工業生産。アメリカでは26日に、10月のFHFA住宅価格指数。28日に、11月の中古住宅販売が発表される。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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金融政策は 誰のため?

2023-12-23 07:24:22 | 日銀
◇ 日銀はどこを向いてるんだ = 日銀は19日に開いた政策決定会合で「現行の超金融緩和政策を維持する」ことを決めた。植田総裁は記者会見で「もう少し賃金と物価の状況を見極めたい」と語ったが、そうすると緩和政策の修正は来春の春闘後ということになりそうだ。この決定を受けて円安が進み、株価は大幅に上昇した。だが日銀はいったい何を恐れて、金融政策の正常化に踏み出せないのだろうか。

仮に、日銀が「マイナス金利政策の修正」を決定したと想定してみよう。円相場は大きく上昇し、株価は大幅に下落したに違いない。それがきっかけで、景気が下降したら大変だ。それより円安で企業の利益を増やし、それが賃上げに回ることを期待した方がいい。これが日銀の考え方なのだろう。要するに、日銀の顔はいま大企業に向いている。

だが円安は輸入物価を上昇させる。エネルギー・食料品・原材料が高騰、価格転嫁が出来ない中小企業や家計を苦しめていることは周知のとおり。これに対して、政府が電気・ガス・ガソリンに補助金を支出するという奇妙な状況を産み出した。日銀が金融政策の正常化に踏み切り、異常な円安が是正されれば、物価の上昇をかなり抑制できるに違いない。

さらに金利がプラスになれば、家計には膨大な利子所得が発生する。たとえば94年の利子所得は26兆円もあった。それが21年は6兆円に減少している。もし94年並みの金利水準になれば、年間20兆円もの利子所得が家計に流入するわけだ。日銀が家計の方に顔を向ければ、国民の暮らしはぐっと楽になる。円高で物価が抑制され、家計の利子所得が拡大すれば、実質所得も確実にプラスになるだろう。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +28.58円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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