◇ 女性の職場復帰が進む = 総人口が減り続けているのに、就業者数は増えている。最大の原因は、女性の職場復帰が進んだことだ。たとえば、ことし3月の就業者数は6687万人で、10年前の09年3月に比べると442万人増えている。増加したのは大半が女性で379万人、男性は63万人にすぎなかった。女性のなかでも、特に子育て世代といわれる25-39歳の職場復帰が目立っている。
女性の労働化率を年齢層に分けてグラフにすると、かつては25-39歳のところが大きく凹んでいた。出産や育児のために離職する人が多かったことを表しており、その形状からM字カーブと呼ばれている。アメリカやヨーロッパ諸国では台形に近く、日本だけの特異な現象として知られていた。だが、このM字カーブはいまほとんど消えようとしている。
人口に占める就業者の割合は、男性が69.3%なのに対して、女性は51.9%となお低い。しかし5割を超えて、急速に増加中というのが現状だ。ところが量はともかく、質という点になると問題も多い。たとえば非正規雇用者の割合は、男性が22.4%なのに対して女性は57.5%。それだけ生産性が低いわけで、今後は正規雇用への転換が課題になる。
M字カーブが消えようとしていることは、女性の労働力化が限界に近付きつつあることを示唆しているだろう。その意味でも女性労働力の生産性向上は、きわめて重要だ。しかし、この方向を追求しすぎると、女性の結婚や出産を妨げる結果にもなりかねない。すると少子化による人口減少は加速してしまう。働く女性の結婚や出産を促進するような環境作りが、いちばん大切なのだろう。
(続きは明日)
女性の労働化率を年齢層に分けてグラフにすると、かつては25-39歳のところが大きく凹んでいた。出産や育児のために離職する人が多かったことを表しており、その形状からM字カーブと呼ばれている。アメリカやヨーロッパ諸国では台形に近く、日本だけの特異な現象として知られていた。だが、このM字カーブはいまほとんど消えようとしている。
人口に占める就業者の割合は、男性が69.3%なのに対して、女性は51.9%となお低い。しかし5割を超えて、急速に増加中というのが現状だ。ところが量はともかく、質という点になると問題も多い。たとえば非正規雇用者の割合は、男性が22.4%なのに対して女性は57.5%。それだけ生産性が低いわけで、今後は正規雇用への転換が課題になる。
M字カーブが消えようとしていることは、女性の労働力化が限界に近付きつつあることを示唆しているだろう。その意味でも女性労働力の生産性向上は、きわめて重要だ。しかし、この方向を追求しすぎると、女性の結婚や出産を妨げる結果にもなりかねない。すると少子化による人口減少は加速してしまう。働く女性の結婚や出産を促進するような環境作りが、いちばん大切なのだろう。
(続きは明日)