経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

人手不足は この先どうなる (2)

2019-04-29 08:18:07 | 人手不足
◇ 女性の職場復帰が進む = 総人口が減り続けているのに、就業者数は増えている。最大の原因は、女性の職場復帰が進んだことだ。たとえば、ことし3月の就業者数は6687万人で、10年前の09年3月に比べると442万人増えている。増加したのは大半が女性で379万人、男性は63万人にすぎなかった。女性のなかでも、特に子育て世代といわれる25-39歳の職場復帰が目立っている。

女性の労働化率を年齢層に分けてグラフにすると、かつては25-39歳のところが大きく凹んでいた。出産や育児のために離職する人が多かったことを表しており、その形状からM字カーブと呼ばれている。アメリカやヨーロッパ諸国では台形に近く、日本だけの特異な現象として知られていた。だが、このM字カーブはいまほとんど消えようとしている。

人口に占める就業者の割合は、男性が69.3%なのに対して、女性は51.9%となお低い。しかし5割を超えて、急速に増加中というのが現状だ。ところが量はともかく、質という点になると問題も多い。たとえば非正規雇用者の割合は、男性が22.4%なのに対して女性は57.5%。それだけ生産性が低いわけで、今後は正規雇用への転換が課題になる。

M字カーブが消えようとしていることは、女性の労働力化が限界に近付きつつあることを示唆しているだろう。その意味でも女性労働力の生産性向上は、きわめて重要だ。しかし、この方向を追求しすぎると、女性の結婚や出産を妨げる結果にもなりかねない。すると少子化による人口減少は加速してしまう。働く女性の結婚や出産を促進するような環境作りが、いちばん大切なのだろう。

                               (続きは明日)
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人手不足は この先どうなる (1)

2019-04-27 08:12:43 | 人手不足
◇ このままだと就業者は40年に2割減少 = 日本の総人口は、08年の1億2808万人をピークに減り始めた。今後も減少を続け、総務省の推計だと40年には1億1000万人になる見通し。総人口が減れば、働くのに適した生産年齢人口(15-64歳)も減ってしまう。にもかかわらず実際の就業人口は、最近やや増えている。たとえば18年の就業者数は6528万人で、前年を1%ほど上回った。これは女性や高齢者の就職が増えたためである。

しかし、その傾向も長くは続かない。厚生労働省の推計によると、40年には就業者数が大幅に減ってしまう。仮に経済がゼロ成長で、女性と高齢者の参入が現在程度だとすると、40年の就業者は5245万人。現在より20%も減少する。また2%程度の経済成長が続き、女性と高齢者の参入が増えると、6024万人で8%の減少になるという。

いずれにしても、働く人の数はこれから急速に減少する。この推計からみる限りは、人手不足はずっと続くということになるだろう。しかも働きたい人と実際の仕事の中身とは、必ずしも一致しない。たとえば医療や福祉関係の部門では雇用者が増えると見込まれるが、製造業や建設業では減ってしまうと推計されている。

では、どうしたら将来にわたる人手不足を解消ないしは緩和できるのか。まず女性と高齢者の働き手を増やす努力。次は、この厚労省の推計には含まれていない外国人の力を借りること。さらにはAI化やロボット化の推進など、あらゆる企業での生産性を向上させること。そして最後は厚労省の推計からも判るように、経済成長率を2%以上に高めることだ。

                            (続きは明日)  

       
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心配な 宴のあと : 10連休 (下)

2019-04-26 07:51:13 | 連休
◇ “寝て待つ”か“用心深く”か = なにしろ10日間も売買が出来ない。こんなことは初めての経験で、投資家は面食らっている。休み中に好材料があれば、休み明けの株価は上がる。だから株は売らずに持っていればいい。だが悪材料に見舞われれば株価は下がってしまう。だから事前に売っておくべきだ。要するに“果報は寝て待つ”か、それとも“用心に越したことはない”のかで、投資家は迷ったわけだ。

過去の経験からすると、長い連休の前には売りが出やすい。今回の場合も、野村證券の調査では機関投資家や大企業の42.6%が「事前に保有残高を減らす予定」と回答していた。海外市場の急変に備えて、利益を確定しておくためである。だが実際は、売りが予想以上に出なかった。“寝て待つ″派が多かったのだろう。

仮に連休中に好材料が出て、海外市場の株価が上昇したとする。すると休日明けの東京市場では、追随買いに買い戻しの動きも加わって株価は急騰する可能性が大きい。ずっと開いているニューヨーク市場では、ダウ平均が史上最高値を更新する可能性が十分にある。そうなれば日本株の割安感が、いっそう目立つだろう。そう考える人が多かったに違いない。

東京では為替市場も10連休だが、海外では取り引きが続く。米中貿易戦争やイギリスのEU離脱に関係した大きな動きがあれば、円相場は上下するだろう。ただ東京市場が休むだけに、日本円の取引高は縮小するに違いない。商いが細ったときに投機資金が投入されると、相場の変動は拡大しやすい。ここは要注意である。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +107.58円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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心配な 宴のあと : 10連休 (上)

2019-04-25 08:53:10 | 連休
◇ 読めない反動の大きさ = いよいよ初体験の10連休に入る。天候にも恵まれて、旅行客が増えることは確実。JTBの予測によると、国内外へ旅行する人は2467万人で、前年より1.2%増加する。このうち国内旅行者は2401万人で、前年比1.1%の増加。海外旅行者は66万2000人で6.9%増加する見通し。また旅行者が国内で消費する金額は8836億円、海外では1774億円を消費すると計算した。

旅行者が海外でおカネを使っても、日本の景気には影響しない。また国内の消費額は景気を押し上げるが、その計算では旅行しなかった場合の生活費を差し引いて考えなければならない。それでも三菱UFJ証券のように、国内旅行者の消費額が9265億円に達すると試算したところもある。短期間に1兆円近くのおカネが使われるとしたら、その景気浮揚効果はバカにならない。

問題は旅行でおカネを使った人々が、そのあとどのくらい節約するかだ。この節約の部分には、海外旅行者も計算に入れなければならない。常識的に言って、旅行の支出が多ければ多いほど、節約する金額は増えるだろう。しかし旅行支出の金額が正確に試算できないから、節約の金額も判らない。

10連休した企業で働くパートやバイトの従業員は、所得が減ったはず。また関連する下請けの中小企業も、仕事がなかったに違いない。こうした人たちは、支出を増やさなかったにもかかわらず、連休明けには節約を余儀なくされるかもしれない。ここまで見てくると、宴のあとの個人消費は予想以上に減退する可能性もなくはない。

                             (続きは明日)

       ≪24日の日経平均 = 下げ -59.74円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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円相場は なぜ静止しているのか

2019-04-24 07:12:28 | 円相場
◇ 有力説は貿易黒字の縮小 = 円の対ドル相場が、ほとんど動かなくなった。今月15-16日にはワシントンで、閣僚級の日米貿易交渉が開かれた。それを前にアメリカのムニューシン財務長官は「為替条項の挿入を求める」と発言したが、円相場は動かなかった。ふつうなら、この発言で1-2円は高くなったはず。その会議が終わっても、円は動かない。不思議と言えば、きわめて不思議である。

年初の円相場は108円だった。そこから少し下落し、1月21日からはずっと109-112円の間で足踏みしている。イギリスのEU離脱や米中貿易戦争のニュースが入っても、動かない。こんな現象はかつてなかった。調べてみると、円相場の動きは昨年を通じても鈍かった。年間の高値と安値の差は、わずか10円にとどまっている。なぜなのか。

この点について、日経新聞は「貿易収支の黒字が減り、所得収支の黒字が増えたため」と解説している。たとえば昨年の場合、貿易収支の黒字は1兆2000億円。04年の14兆4000億円から大きく減少した。その半面、所得収支はこの間9兆5000億円から18兆8000億円に急増している。貿易黒字は企業が円に転換するが、投資などで得た所得収支の黒字は転換することが少ない。だから円高になりにくいというわけだ。

なるほどとは思うが、それだけで説明するのは少々ムリ。ほかに国際緊張の緩和で、安全資産としての円の重要性が低下したとも考えられる。そこまで考えに入れても、説明は困難。なぜ110円前後で静止するのかも判らない。原因が解明できないから、今後の見通しも不透明になる。だから専門家でも、見通しは口にしない。

       ≪23日の日経平均 = 上げ +41.84円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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