経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2022-10-31 07:33:13 | 株価
◇ 市場の典型的な口実づくりで急騰 = ダウ平均は先週1779ドルの値上がり。10月に入ってからは4週間の連騰で、この間の上げ幅は4156ドルに達した。特に金曜日は829ドルも上げている。理由はアップルの7-9月期決算が予想を上回ったこと。他の大手IT企業は減益だったが、予想ほど悪くなかったこと。これで「景気の先行きも、それほど落ち込まないかもしれない」という楽観的な見方が市場に広がった。

日経平均は先週215円の値上がり。終り値はかろうじて2万7000円を維持している。ニューヨークに乗り切れず、2万7000円を上回ると売られる展開が続いているようだ。驚いたのは、岸田内閣が事業規模71兆6000億円の超大型対策を発表した28日に240円も下げたこと。たしかに対策の中身には問題もあるが、それにしても冷ややかすぎる反応だった。

景気の落ち込みが小さいと予想されれば、FRBは強力な金融引き締めの手を緩めない。だから株は売りというのが、ニューヨーク市場の論理だった。それがここへきて全く反転、大きな買い材料となっている。株式市場独特の‟口実づくり”と言ってしまえばそれまでだが、やっぱりまだ投資資金が豊富なことの証明でもある。日経平均は今週ニューヨークを追って、上げで始まる。だがニューヨークの方は、反落してしまう公算が大きい。

今週は31日に、9月の鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。1日に、10月の新車販売。アメリカでは1日に、10月のISM製造業景況指数。3日に、9月の貿易統計、10月のISM非製造業景況指数。4日に、10月の雇用統計。またEUが31日に、7-9月期のGDP速報。中国が31日に、10月のPMI製造業・非製造業景況指数を発表する。なお2日には、FRBが0.75%の利上げを決定する見込み。

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (136)

2022-10-29 08:04:17 | なし
◇ コロナの現状は落ち着いている = 世界の感染者は累計6億3309万人、この1週間で260万人増加した。死亡者は659万1353人、週間1万0663人の増加だった。感染者、死亡者ともに増加数は前週より縮小している。まだ高水準の横ばい状態だが、北半球が冬に向かっても拡大する兆しは見えない。このままの落ち着いた状態が続くのだろうか。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計106万9449人。この1週間で2865人増加した。この増加数は前週よりやや拡大している。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシア・フランス・ドイツが15万人台となっている。各国ともに大きな変動はない。そうしたなかで一時は大流行したインド、メキシコの増加数が100人を切っている。

日本の感染者は累計2218万5337人、この1週間で25万4066人増加した。前週より1万5633人多い。死亡者は4万6568人で、週間364人の増加だった。この増加数は前週より47人少ない。増加数は8週連続で縮小している。今月11日からは水際対策がほぼ撤廃され、旅行支援も始まった。その影響で感染者はやや増加しているが、死亡者は減っている。

世界の感染者増加数は7月のピークに比べると、36%に縮小した。死亡者も32%に落ちている。日本の場合は感染者が第7波のピークに比べて16%に。死亡者も18%に縮小した。改善の度合いは、世界平均より大きい。しかし専門家の多くは、第8波の到来を警告している。その予想が当たるかどうかは、あと2-3週間のうちに判明するだろう。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -240.04円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドイツとの 大きな差 : 原発政策

2022-10-28 07:34:15 | 原発
◇ 緊急対策は岸田首相が決断を = ドイツ政府は国内に現存する原発3基を「来年4月まで稼働できる状態にする」ことを決めた。東日本大震災を受けて、ドイツは11年に「原発を22年中に無くす」方針を決定したが、これを修正する。ロシアからの天然ガス輸入が不安定さを増し、この冬の電力供給に不安が出たための緊急措置。原発ゼロを公約に掲げる緑の党も反対しなかった。

片や日本。経産省はいま専門家を集めた審議会で「原発の活用を進めるため」の議論を始めた。その内容は明らかでないが、再稼働する原発を増やす。原発の新増設や建て替え、最長60年という規制の見直し、さらに次世代型の開発までが議題となっているようだ。だが、これでは緊急対策と将来計画がごっちゃ混ぜ。この冬のピンチに間に合うのだろうか。

原発を将来どうするかは大問題。いまの計画では30年に25基程度の稼働を目標としている。しかし地元の同意が得られるかは、全く不明。新増設や建て替え、次世代型の開発については、放射性廃棄物の最終処理問題を含めてじっくりと検討する必要がある。その一方で、すでに地元の同意を得ている14基の原発を再稼働させることは、緊急を要する問題だ。

いま現在、日本の原発は4基しか動いていない。これを14基動かせば、発電量は940万㌔㍗増える。実現できれば、冬の電力不足はなくなるだろう。また原油の輸入量もその分だけ減るから、光熱費の上昇もいくぶんは抑えられる。政府は緊急対策と将来計画を分離し、岸田首相は「原発14基を24年春まで稼働させる」緊急措置を自ら決断し、号令すべきである。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -86.60円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どう考えても 愚策 : 為替介入 (下)

2022-10-27 07:30:05 | 円相場
◇ 弱い国の通貨は弱い = 財務省が発表した4-9月期の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は11兆円の赤字だった。これは輸入が前年比44.5%も伸びたため。特に原油・LNG(液化天然ガス)は、前年の2.2倍に増大した。価格の高騰に円安の効果が加わったことによる。この11兆円の大半はドルで支払われるから、それだけでもドル高・円安の大きな圧力になるわけだ。

この巨額の貿易赤字は、エネルギーや食料の輸入依存度が高すぎるという日本の弱点を浮き彫りにした。また円安にもかかわらず、日本の輸出が大幅には伸びないことも実証している。半年で11兆円という赤字は、それだけ国内の購買力が海外に流出したことを意味する。輸出がそれほど伸びないことは、競争力の低下を意味する。要するに、日本は経済的に弱い国。弱い国の通貨は弱いはず。投機筋はこう考えて、円を売ってくる。

日銀のゼロ金利政策は日米間の金利差を拡大し、円売り・ドル買いのきっかけとなった。さらに金融の超緩和政策は、本来ならば淘汰されるはずのゾンビ企業を生き残らせた。このため人や資源が非効率な部門に滞留し、経済全体の競争力を低下させている。そのうえ政府も明確な成長戦略を示さないから、企業も個人も守りに入ってしまう。

そんな状況下で、小手先の為替介入をやっても意味がない。政府・日銀がやるべきことは2つ。まず日銀のゼロ金利政策についての徹底検証。プラス面とマイナス面の大きさを比較すること。もう1つは、政府が明確な成長戦略を提示すること。それによって将来展望が見えてくれば、投資も消費も上向くだろう。そのとき円相場は、ひとりでに上昇する。

        ≪26日の日経平均 = 上げ +181.56円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どう考えても 愚策 : 為替介入 (上)

2022-10-26 07:46:44 | 円相場
◇ 世界が笑う矛盾に満ちた政策 = 政府・日銀は先週21日、ニューヨーク為替市場で円買い・ドル売りの為替介入を実施した。円の対ドル相場が152円に接近したためで、介入により相場は7円ほど急騰した。ニューヨーク連銀に介入を委託するという異例の形式。だがアメリカ政府・FRBは全く無関係で、やっぱり単独介入ということになる。ECB(ヨーロッパ中央銀行)などは、わざわざ「介入していない」と声明を出した。

政府・日銀は9月22日にも、円買い・ドル売りの介入を実施した。しかし1か月後に、相場はその時点よりも下落。効果はきわめて一時的だった。今回も相場はすぐに148円台まで下がっており、専門家の多くが「効果は期待できない」とみている。前回は財源に2兆8382億円相当の外貨準備を使ったが、今回の規模はもっと大きかった模様。効果がなければ、大事な外貨準備の使い捨てということになりかねない。

内外の専門家が、日本政府・日銀の為替介入を冷ややかな目で見る大きな理由の一つは「これが政策的に矛盾している」こと。介入は行き過ぎた円安を抑制するためだが、その一方で日銀は超金融緩和・ゼロ金利政策に固執している。欧米先進国がみなインフレ退治のため金融引き締めに乗り出した。そんななかでゼロ金利を続ければ内外の金利差が広がり、円相場は下落するに決まっている。

要するに日本政府・日銀は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態。危なくて見ていられないというのが、正直な感想だろう。じっさい、来週2日にはFRBがまた0.75%の利上げを決定する公算が大きい。日米の金利差はさらに拡大するから、円の対ドル相場は再び150円を超える危険性がある。それでも日本政府・日銀は、効果の薄い介入を実施し続けるのだろうか。

                        (続きは明日)

       ≪25日の日経平均 = 上げ +275.38円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>