経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

増税を選挙対策に変えた 安倍首相

2019-01-31 08:57:07 | 消費税
◇ 増税分をすべて還元する妙手? = 増税というのは、ふつう国民に嫌われる政策である。ところが安倍首相の施政方針演説を聞いていると、そうでもないように思えてくるから妙だ。施政方針演説のなかで、安倍首相はまず「日本の持続的な成長にとっては、出生率の低下による少子高齢化が最大の課題だ」と指摘。この問題を克服するために「幼児教育・保育の無償化を実現する」と公約した。

そのための財源作りが、10月に実施する予定の消費税引き上げ。税率を8%から10%に引き上げることで、税収は年5兆7000億円増える。このうちの2兆円を幼児教育や保育の無償化に充て、残りの3兆7000億円も軽減税率やポイント還元などで使い切る。だから今回の消費増税は、実質的には増税ではない。安倍首相は、そう言っているように思われる。

財務省は増税によって、少しでも国債の発行を減らしたかったに違いない。しかし総理大臣の意向には逆らえない。また少子化対策の財源はこれで賄えるわけだから、文句も言えなかった。こうして結局のところ、今回の消費税引き上げは幼い子を抱える若い親たち向けの選挙対策に姿を変えた。安倍首相の優れた発想と言えるだろう。

だが問題はある。ここまで来たら、安倍首相も消費増税を予定通り断行せざるをえなくなった。しかし米中貿易戦争やイギリスのEU離脱で、ことしの世界経済がどう動くか。予断は許さない。仮に日本の景気がはっきりと下降局面に入っても、予定通り増税に踏み切るのか。下手をすると、安倍首相の妙手も悪手に一変する危険性がないでもない。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -108.10円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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景気に楽観的な 安倍内閣

2019-01-30 07:12:42 | 景気
◇ 参院選や消費増税で強気やむなし = 政府が28日の閣議で了承した「19年度の経済見通し」は、とても楽観的だ。まず19年度の名目GDPは566兆1000億円になると推定。名目成長率は2.4%、実質成長率は1.3%になると予測している。一方、間もなく終わる18年度については名目成長率も実質成長率も0.9%と見込んでいるから、景気の状態はかなり良くなると考えているわけだ。

その楽観的な予測の内容をみると、民間最終支出が18年度の0.7%増から19年度は1.2%増に。企業の設備投資も2.7%増から3.6%増へと改善する。また輸出額も18年度の83兆円が、19年度には86兆4000億円に伸びる。失業率は2.4%から2.3%に低下と、いいことばかり。米中貿易戦争やイギリスのEU離脱など、どこ吹く風のようだ。

さらに円の対ドル相場は、18年度平均の見込みが111円80銭なのに対して、19年度は113円40銭と円安を予測する。こうしなければ、輸出を増やせないからだろう。また原油の輸入価格についても、18年度の平均1バレル=73ドルが19年度は68.6ドルに下落すると、まことに理想的な姿を描き出している。

ことしは参院選や消費税の引き上げが予定されている。だから見通しを楽観的にせざるをえなかったのだろう。だが、この政府見通しを参考にする経営者も少なくはない。どの程度まで信用できるのか。その参考資料。1年前の政府経済見通しでは、18年度の成長率が名目2.5%、実質1.8%と予測されていた。それが現時点での見込みは、いずれも0.9%にとどまっている。

       ≪29日の日経平均 = 上げ +15.64円≫

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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アメリカを決める この3週間

2019-01-29 08:19:36 | アメリカ
◇ 常軌に戻れるかの一大試練 = あの“我が道を行く”トランプ大統領が、初めて屈服した。議会がまとめた2月15日までの暫定予算を受け入れ、署名したのである。これにより昨年12月22日から続いた政府機関の一部閉鎖は、3週間だけ解除されることになった。国立公園や博物館の閉鎖だけでなく、航空機の発着にも支障が出るなどして国民の不満が高まったため、さすがのトランプ氏も譲歩を余儀なくされた。

しかし脅しの文言も忘れてはいない。メキシコ国境に建てる壁の予算を認めなければ「2月15日には再び政府機関を閉鎖するか、あるいは非常事態宣言を発動して予算を執行する」と警告した。このため問題は単に3週間だけ先送りされたにすぎない、という見方も強まっている。また非常事態宣言を出せば憲法違反の疑いもあり、問題はいっそう複雑になると懸念する声も少なくない。

今回の政府機関閉鎖で、トランプ大統領の支持率は40%を割るところまで低下した。その一方、熱烈な保守層は「壁建設の公約を果たさなければ、来年の大統領選挙ではトランプ氏を支持しない」とまで言い放っている。トランプ大統領としても、引くに引けない事情があるわけだ。壁を巡る世論の分断は、予想以上に深い。

こうした状況を打開しようと、議会は超党派の特別委員会を設置した。この委員会はこの3週間以内に、何らかの妥協案を取りまとめることになる。その内容がどうであれ、トランプ大統領や民主党幹部がそれに反対するようだと、問題の解決はまた遠のく。その結果はアメリカ国民の分断の深さをいっそう浮き彫りにし、アメリカの民主主義そのものに対する不信感を増すことになるだろう。この3週間は、アメリカが正常な方向に戻れるかどうかの重大な試練の時と言えそうだ。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -124.56円≫

       ≪29日の日経平均は? = 下げ≫
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今週のポイント

2019-01-28 08:49:02 | 株価
◇ 静かになった株式市場 = 株式市場の動きが、急に鈍くなった。一日の値幅が小さくなり、東京市場では出来高が2兆円に届かない日も多かった。投資家が買いか売りかで、迷っている証拠だろう。ダウ平均は週間31ドルの値上がり。日経平均も107円の上昇にとどまった。ことしの世界経済は成長が鈍化し、企業業績も減益を免れない。だが市場では、その程度の後退はすでに織り込み済みという見方も出始めている。

日米両国で、企業の12月決算発表が佳境に入る。ニューヨークではアップル、アマゾン、キャタピラー、ボーイングなど。なかでも中国関連企業の業績見通しに、関心が集中するだろう。またアメリカとEUが、昨年10-12月期のGDP速報を発表する。そこに米中貿易戦争やイギリスのEU離脱が、早くも影を落とし始めているかどうか。

トランプ大統領は先週末、3週間分の予算執行に署名すると発表した。長引く政府機関の一部閉鎖に対する国民の抗議が高まったため、譲歩を余儀なくされたもの。しかしメキシコ国境のカベを巡る民主党との対立は少しも解消しておらず、2月15日には再び政府機関が閉鎖される公算は大きい。今週の市場は、このトランプ大統領の一時的な譲歩をどう評価するのか。

今週は28日に、12月の企業サービス価格。30日に、12月の商業販売統計と1月の消費動向調査。31日に、12月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、12月の労働力調査と1月の新車販売。アメリカでは29日に、1月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、10-12月期のGDP速報。1日に、1月の雇用統計とISM製造業景況指数。またEUが31日に、10-12月期のGDP速報。中国が31日に、製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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壁にぶち当たった コンビニ

2019-01-26 08:21:23 | コンビニ
◇ 既存店ベースの客数が前年割れ = 日本フランチャイズ・チェーン協会の集計によると、昨年の大手コンビニ7社の全国売上高は9兆7000億円で前年を0.6%上回った。しかし来店した客数は延べ157億0700万人、前年を1.3%下回っている。来客数の前年割れは、これで3年連続。人口が減少するなかで、ドラッグ・ストアや宅配業者などとの競争が激化。さらにコンビニ自体の店舗数増加が輪をかけた。

昨年末時点で、全国にあるコンビニの数は5万5743店舗。前年より1%増加した。この10年間では、3割以上も増えている。 店舗が増えた分、全体としての客数はなんとか増加しているが、1店舗当たりの客数は明らかに減り始めた。各店舗は客集めにチエを絞っているが、問題点もいろいろ。

たとえば最近は高齢の客が増え、65歳以上のお客が2割を超えた。そこで年寄り向きの商品を並べると、こんどは若者の客が減ってしまう。また特色のある商品を充実させると、共同仕入れ・製造の路線からはみ出してしまいがちだ。結局、フランチャイズとしては店舗の新設で売り上げを維持するしか方策がない。すると既存の店舗はお客を奪われることになりかねない。

さらに人手不足が、経営を脅かしている。まず店長が高齢化しているが、24時間営業で体がきついために、なかなか後継者のなり手が見付からない。従業員も時給を上げないと、集まらない。そして消費増税が実施されると、店内での飲食と持ち帰りで税率が変わる。新しいレジを導入し、従業員の教育もしなければ。日本で独特の進化を遂げたコンビニは、いま大きなカベにぶち当たったようである。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +198.93円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】  
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